
タンパク質は20種類のアミノ酸によって構成され、体内でアミノ酸に分解されて働いています。
同じアミノ酸でも猫に必要なアミノ酸とその働きについて学んでみましょう。
猫は食事から様々なアミノ酸を摂らなければならない
アミノ酸は生物に必要不可欠
「アミノ酸」は体をつくるために生物にとって必要不可欠な成分です。
その生物の体に必要で、かつ体内で合成できないアミノ酸を「必須アミノ酸」といい、十分な量を合成できないアミノ酸を「準必須アミノ酸」と言います。
猫は必要なアミノ酸が多い
アミノ酸は体内で合成して作り出すことも可能ですが、生物によって合成できるアミノ酸の種類また量は異なります。
猫は犬や人、ネズミなど他の動物と比べて体内で合成できるアミノ酸が少なく、このため特にキャットフードや毎日の食事で必要なアミノ酸をバランスよく摂取しなければなりません。
必須・準必須アミノ酸の種類 | |
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ネコ | 13種類 |
ニワトリ | 11種類 |
イヌ | 11種類 |
ラット | 10種類 |
ブタ | 10種類 |
ヒト | 9種類 |
猫の必須アミノ酸
必須アミノ酸は10種類
猫の必須アミノ酸は10種類です。必須アミノ酸は猫が体内で合成できない栄養素なので、キャットフードの最低基準もAAFCOで定められています。
- アルギニン
- ヒスチジン
- ロイシン
- イソロイシン
- バリン
- リジン
- メチオニン
- フェニルアラニン
- トレオニン
- トリプトファン
猫の準必須アミノ酸
猫の準必須アミノ酸は3つですが、AAFCOの最低基準はありません。
- グリシン(+セリン)
- アスパラギン
- システイン
例外のタウリン
これに加えて、アミノ酸から合成されるタウリンが猫の必須アミノ酸として有名です。タウリンを合わせて必須アミノ酸は11種類とも聞かれますが、厳密にはアミノ酸の区分には分類されません。
ですがタウリンは猫にとって非常に重要な栄養成分なので、下の記事で詳しく解説しています。
アミノ酸の働きと欠乏した時の症状
猫の必須アミノ酸 | 働き | 欠乏 |
---|---|---|
バリン | ・筋肉のタンパク質合成促進 ・筋肉のタンパク質分解抑制 | ・体重減少 ・嗜眠傾向 |
ロイシン | ||
イソロイシン | ・体重減少 ・嗜眠傾向 ・被毛粗剛 ・肉球の乾燥・ひび割れ ・歩行失調 |
|
スレオニン | ・エネルギー産生に関与して働く | ・体重減少 ・拒食 ・神経症状 |
メチオニン | ・被毛の主成分の構成成分として働く | ・脱毛 ・被毛の成長の遅れ |
フェニルアラニン | ・甲状腺ホルモンの合成に不可欠 ・代謝物の合成に不可欠 ・被毛と虹彩の色素になる | ・歩行失調 ・過度の活発性 |
トリプトファン | ・神経伝達物質として働く | ・体重減少 ・拒食 |
リジン | ・タンパク質の合成に必要 ・ヘルペスウイルスの増殖を抑制 ・(排泄の減少) | ・食欲低下 ・拒食 |
ヒスチジン | ・細胞の構造タンパク質として働く ・神経伝達物質として働く | ・体重減少 ・拒食 ・白内障(長期) |
アルギニン | ・アンモニア排泄をする尿路回路の中間体として働く | ・白内障の進行(軽度) ・高アンモニウム血症(重度) 猫は重症化しやすい |
タウリン | ・細胞内外へのカルシウム移動を調節 ・心筋の収縮運動に必要不可欠 ・胆汁酸塩の合成に必要 | ・心筋症 ・中心性網膜萎縮 ・免疫機能不全 ・成長遅延 ・繁殖機能低下 |
アミノ酸は旨み成分でもある
猫は旨みを感じる
また、グルタミン酸やアルギン酸などのアミノ酸は「旨み成分」を示すことが分かっています。
旨み成分とは第五の味覚と言われ、最近まであまり認知されていませんでしたが、猫は「旨み成分」を感じ、アミノ酸に対して嗜好性を示すことも分かっています。
ダシ昆布やかつお節、またダシの香りが強い味噌汁を使った「ねこまんま」を猫が好んで食べたのも、アミノ酸による旨み成分を感じたからと考えると納得です。
猫の必須アミノ酸まとめ

以上、今回は猫の必須アミノ酸とタウリンについてまとめてきました。
- アミノ酸は生物にとって必要不可欠
- 猫は合成できるアミノ酸が少ない
- アミノ酸は旨み成分でもある

