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キャットフードの原材料:カボチャ(squash)
ウリ科カボチャ属の果菜
ハロウィンや冬至でお馴染みのカボチャ。煮物やスープ、スイーツなどさまざまな料理に利用されています。
鮮やかな緑とオレンジ色の見た目や強い甘味が特徴で、旬は秋から冬になります。カボチャは腐りにくく貯蔵しやすいため収穫後にしばらく寝かせることが多く、寝かせることで甘味も増します。
カボチャは他の野菜に比べて食べたときに満腹感を感じやすく食感も芋に似ていることから、しばしば芋類の仲間に間違われることがあります。しかし芋類は根が成長して養分を蓄えてできる根菜、カボチャはウリ科カボチャ属の果菜であるため、カボチャは芋類とは別の種類の野菜になります。
ちなみにカボチャの英語表記は「パンプキン」というイメージが強いですが、パンプキンはハロウィンにお馴染みのオレンジ色の皮のカボチャのことで、私たちがよく食べる緑色の皮のカボチャは「Squash(スクワッシュ)」といいます。
カボチャはキャットフードの原材料としてよく使用される
カボチャの配合量は少量
キャットフードの原材料としてカボチャを使用しているメーカーは多いですが、カボチャの果肉部分を使用する場合は他の野菜と一緒に少量が含まれたり、カボチャパウダーとして少量を配合されることが多くみられます。
原材料の欄にはカボチャだけでなく、乾燥カボチャやスクワッシュ、カボチャの種、パンプキンシードと表記されることもあります。
カボチャの種の天然成分ククルビチンとは?
キャットフードの原材料には、カボチャの果肉部分だけでなくカボチャの種(パンプキンシード)が使用されることがあります。
カボチャの種にはククルビチン(cucurbitin)とよばれる植物由来の天然成分が含まれており、リノール酸やオレイン酸などの不飽和脂肪酸、ビタミン、βカロテンなどが豊富です。
ククルビチンは腸内の回虫や鉤虫などの寄生虫の駆除に効果があり、寄生虫の神経系に作用し、運動を麻痺させることで体外への排出を促します。
カボチャの種は人間の食用としては殻を取り除いた状態で販売されていますが、キャットフードの原材料に使用される場合は猫が安全に食べられる形状に加工されています。天然の健康サポート成分として使用され、穀物不使用(グレインフリー)や自然派志向のキャットフードに含まれることが多い傾向にあります。
カボチャが原材料のキャットフード
- ジャガー/キャットフード(カボチャパウダー)
- シェフ/チキン・カボチャ成猫用(カボチャ)
- プレイアーデン/チキンとかぼちゃ(カボチャ)
- ファルミナN&D/オーシャンニシン・パンプキン オレンジ入り(乾燥カボチャ)
- アカナ/グラスランドキャット(パンプキンシード)
カボチャの栄養素と健康効果
日本カボチャ/ゆで 100gあたりの栄養素 | |||
---|---|---|---|
エネルギー | 55 | kcal | |
水分 | 84.0 | g | |
タンパク質 | 1.9 | g | |
脂質 | 0.1 | g | |
炭水化物 | 13.3 | g | |
ミネラル | カリウム | 350 | mg |
食物繊維 | 水溶性食物繊維 | 0.8 | g |
不溶性食物繊維 | 2.8 | g | |
ビタミン | βカロテン | 1100 | μg |
ビタミンE | 4.3 | mg | |
ビタミンC | 16 | mg |
※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
不溶性食物繊維が豊富
カボチャは野菜の中でもとくに炭水化物が多く含まれます。炭水化物のうち、食物繊維では水溶性食物繊維よりも不溶性食物繊維の方が多く含まれます。
不溶性食物繊維は猫の腸内環境を整え、便通を促進したり腸内を刺激して蠕動運動を促すなどの働きがあります。
カボチャは中GI値
カボチャは糖質が豊富に含まれています。カボチャの糖質は野菜にしては高いですが、炭水化物源の穀物や芋類に比べれば低いです。
また、糖質から影響をもろに受ける血糖値の上がりやすさについては、カボチャは中間ほどに位置しています。
血糖値の上昇度を示すGI値によると、カボチャのGI値は65と、中GI値となります。高GI食材といわれるじゃがいも(GI値90)よりは低いですが、低GI食材といわれるサツマイモ(GI値55)と比べると高い値です。
βカロテン、ビタミンC、ビタミンEが豊富
カボチャは緑黄色野菜なので、βカロテンやビタミンE、ビタミンK、ビタミンCが豊富に含まれています。とくにβカロテンについては他の野菜に比べても飛び抜けて多く含まれています。
猫はβカロテンをビタミンAに分解して利用することはできませんが、βカロテンは強い抗酸化作用を持つため、体内の活性酵素を除去し、免疫機能や防御力の向上、がんや老化の予防などに効果があります。
カボチャをキャットフードの原材料に使うメリット
腸内環境の改善
カボチャには不溶性食物繊維が豊富に含まれているので、腸内の不要物の掃除をして腸内環境を整える働きがあります。
便通の促進
不溶性食物繊維は便の量を増やして便通を促進したり、水分を吸収して便を固める効果があり、便通の促進が期待できます。
下痢ぎみ・軟便ぎみの猫には不溶性食物繊維が適度に含まれたキャットフードがおすすめといえます。
カボチャをキャットフードの原材料に使うデメリット
炭水化物を消化しにくい
カボチャは猫にとって消化が苦手な炭水化物が豊富に含まれているため、キャットフードではあまりたくさんの量は使用されない傾向にあります。
とくに不溶性食物繊維は消化されにくく体内に残る時間が長いので、カボチャをあまり多く摂取しすぎると消化器官に負担をかけてしまったり、便秘を悪化させてしまう可能性もあります。
ご家庭でカボチャを与える場合
細かく切って加熱し、柔らかくして与える
猫にカボチャを与える場合、種とワタ、皮を取り除いて小さく切って柔らかくなるまで火を通してからであれば与えても問題ありません。
ただ上記でも説明した通り、多くを摂取させすぎると猫の消化器官に負担がかかるので、小さく切ったカボチャを数個与える程度で、おやつ感覚やご褒美として与えることがおすすめです。
キャットフードの原材料カボチャまとめ
今回はキャットフードの原材料、カボチャについてまとめてきました。
- カボチャはキャットフードの原材料によく使われるが、配合量は少ない
- 炭水化物やβカロテンが豊富
- 与えすぎに注意