キャットフードの原材料:マグロ(Tuna)
マグロは、猫缶やパウチなどのウェットフードで使用されることが多く、香りや味付けとしてマグロ風味のキャットフードも販売されています。
海外産のキャットフードではマグロは「ツナ(Tuna)」と表記されますが、英語で「ツナ」はマグロの仲間全般を指す英単語のため、カツオなどもツナと呼ばれます。
また日本で販売されているキャットフードは、マグロを使用していることが多いです。これはマグロを愛する日本人の印象やマグロへのイメージが良いことも理由の1つとして考えられます。
たとえば日本の方の場合、「イエローパーチ」のキャットフードと、「マグロ」のキャットフードが並んでいた場合、イメージしにくいイエローパーチは、無意識のうちにキャットフードの選択肢から外れてしまいやすく、美味しそうなイメージが膨らみやすいマグロの方を手に取りやすくなるかと思います。
よく知らない未知のお魚よりも、自分たちがよく食べている魚の方が、消費者にも安心して買ってもらいやすいという心理が、日本にマグロのキャットフードが多い理由ではないかと思います。
マグロをおやつに与えても大丈夫?
与え方に気を付ければ問題なし
マグロは猫が食べても問題ない食材です。マグロには動物性タンパク質やオメガ3脂肪酸(DHA・EPA)、ビタミンやミネラルが豊富に含まれています。
猫に与える時は、刺身で与えようと思う方も多いかとは思いますが、チアミン(ビタミンB1)を分解するチアミナーゼという酵素が多く含まれるので、基本的には加熱して火を通してから与えましょう。
ツナ缶はオイルと塩分に注意
ツナ缶はマグロしか入っていない缶詰で、さらに猫にとって危険はなさそうですが、オイルにひたひたになったツナ缶や塩分が多いものには注意です。
魚油を摂り過ぎるとイエローファットの原因になるので、ノンオイルのツナ缶を選んだり、他調味料が混入していないか確認してから与えましょう。
マグロの栄養素
タンパク質 | 26.4g | |
脂質 | 1.4g | |
ビタミン | ビタミンA | 166μg |
ビタミンD | 10μg | |
ビタミンE | 1.6mg | |
ナイアシン | 28.4mg | |
ビタミンB6 | 1.7mg | |
ビタミンB12 | 2.6μg | |
ミネラル | カリウム | 760mg |
マグネシウム | 90mg | |
リン | 540mg | |
鉄 | 2.2mg | |
ヨウ素 | 28μg | |
セレン | 220μg | |
カロリー | 100g | 125kcal |
チキンのタンパク質量に匹敵
マグロは他の魚と比べても特にタンパク質が豊富な魚です。100gあたりのタンパク質量は上記の表でも分かるとおり26.4g。これは鶏肉100gのタンパク質25gに匹敵する量です。
赤身は低脂質でヘルシー
マグロは赤身やトロなど部位によって脂質量が大きく変わる魚ですが、赤身部分は身が引き締まっていて脂質量も少ないヘルシーな食材となっています。
ビタミンD、ナイアシン、セレンが豊富
マグロはビタミンやミネラルも豊富です。中でも、ビタミンD、ナイアシン(ビタミンB3)、セレンは特にマグロに多く含まれています。
マグロは特にナイアシンの供給源として有効な食材です。植物原料にもナイアシンは配合されていますが、動物原料ほど利用性は高くありません。
セレンは抗酸化のために働く成分で、不足すると食欲がなくなったり、呼吸困難などを引き起こすことも。ただ多すぎるのも問題で、過剰摂取もまた食欲がなくなったり、体重増加を抑制してしまうなどの問題が出てきます。
マグロのキャットフードによる水銀の心配はある?
メチル水銀をためやすいマグロ
画像引用:日本生活協同組合連合会:食品のQ&A
日本生活協同組合連合会がまとめた魚介類の水銀濃度を見てみるとマグロはクジラやイルカ、カジキに次いで水銀濃度の高い魚ということがわかります。
大型の魚は食物連鎖の中でメチル水銀の植物を食べた魚を食べて大きく成長していることから、小さい魚に比べて水銀の毒性が高くなっています。
水銀が原因で発症する水俣病
水銀によって熊本県水俣市で重大な健康被害が引き起こされた水俣病。水俣病は水銀をたくさん摂取したことで発症した病気です。
水俣病はメチル水銀の中毒によって引き起こされる病気で、中枢神経系疾患による手足の手足の震え、感覚障害、運動失調、視野が狭まる(網膜異常)、聴力障害、平衡機能障害、言語障害などの症状が報告されています。
水銀による水俣病の症状は人だけでなく猫にも現れたと言われています。水俣病がおこなった水俣市では、猫にも痙攣やふらつき、手足のしびれなどの中毒症状が確認されたそうです。
公害や食べ過ぎがなければ水俣病の心配はない
しかし熊本県水俣市で発生した水俣病は工業災害が原因となって引き起こされています。
現代において、国内でこのような問題が起こる可能性は極めて低く、平均的なマグロの摂取量であれば、ただちに水銀の影響が懸念されることはないとされています。
ペットフードには水銀の規定がない
ただしキャットフードなどのペットフードでは水銀に関する決まりはありません。
そのため公害の可能性がある国のマグロを使用したキャットフードについては、水銀のチェックが行われてフードに利用されているのか気になるところです。
京都大学が論文として認めたネコにおける重金属類の研究では、市販の海で獲れる魚を主原料につかったウェットフードには重金属が高濃度で蓄積ひており、健康被害を検証する必要があると書かれています。
ウェットタイプの市販キャットフード30製品およびドライタイプの市販キャットフード40製品に含まれる水銀、ヒ素、カドミウムおよび鉛濃度を誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS)により定量分析した。大型機産魚類を主原料とするウェットタイプのフードは畜肉を主原料とするウェットタイプのフードやドライタイプのフードと比べヒ素および水銀濃度が著しく高かった。
この研究論文は博士の学位論文として認められており、可能性が水銀などの重金属による健康被害の可能性が示されています。
マグロを使用したキャットフードまとめ
そうですね。そのことが関係しているのかどうかはわかりませんが、海外ではマグロが高配合されたキャットフードはあまり見られませんね。
ただおやつや一般食にはマグロがメインになったキャットフードも多くあります。気になる方は重金属問題についても詳しく調べてみるといいと思います。