猫の先祖リビアヤマネコのペット飼育は可能?特徴と歴史、飼育のための規制を解説

リビアヤマネコ 猫 祖先

リビアヤマネコは猫の祖先

Wild forest cat リビアヤマネコ

リビアヤマネコ(African wildcat)は現在の飼い猫(イエネコ)の祖先だと考えられている動物です。

イエネコに進化したことでリビアヤマネコという種が絶滅したわけではなく、現在もアフリカや中近東の砂漠地帯に生息しています。

リビアヤマネコと進化した現在の飼い猫(イエネコ)とでは、見た目や行動などそれぞれどんな特徴や違いがあるのでしょうか。

リビアヤマネコとイエネコの違い

身体的な違い

リビアヤマネコとイエネコは、見た目や体の特徴に大きな違いがあるわけではありません。写真と比べても、現在のイエネコと姿は非常に似ていることがわかります(正直、私は写真を見ても普通のイエネコと区別つきません)。

寿命に関しては具体的なデータがあるわけではありませんが、野生化で生活するリビアヤマネコは、イエネコと比較するとだいぶ寿命が短いと考えられます。

性格の違い

外見に大きな違いはないものの、リビアヤマネコは人になつきにくく、警戒心や攻撃性が高い性格で、人と暮らすのが難しい性格とされています。

ただリビアヤマネコも小さい頃から人に育てられると人になつく場合もあるようです。また、野良猫もイエネコではありますが、警戒心が強く人になつきにくい性格であることが多いので、生物的な違いというより環境によるところが大きいとも言われています。

鳴き声の違い

リビアヤマネコの場合、大人になると威嚇や警戒の時に出す低い鳴き声しか出さなくなります。イエネコの場合、大人になっても「ニャー」と可愛らしく鳴いてくれますが、リビアヤマネコが愛らしい声で鳴くのは母猫に甘える子猫時代で卒業です。

性格の違いの延長線上になるかもしれませんが、これはイエネコが飼い主を母親のような存在と認識して子どものように甘えるためで、野生化で暮らす大人のリビアヤマネコは親から離れ単独行動になるので甘える声で鳴く機会はなくなります。

飼い猫の始まりと歴史

世界最古の飼い猫は約9500年前

現在知られている世界最古の飼い猫は、約9500年前にキプロス島の「シロウロカンボス遺跡」で人骨と一緒に埋葬されていた猫と言われています。

遺体の状態や埋葬のされ方などから、猫と一緒に埋葬されていた人骨は身分の高い人物であると予想されています。そして猫もその高い位の人物と同じように埋葬されていたことから、身分の高い人間に愛玩動物として飼われていたということが分かりました。

日本では弥生時代(新石器時代)から

リビアヤマネコ

日本では農耕が盛んになる新石器時代(弥生時代)から猫が人と関わるようになったと言われています。

新石器時代大陸から農耕や稲作が伝来したことで穀物の耕作が可能になり大量の穀物が倉庫に保管されるようになりましたが、穀物がネズミに食い荒らされる被害が多発したことで、猫がネズミを撃退する穀物を守る番人役として注目されるようになりました。猫は大陸から農耕や稲作の方法が伝来した際に、豚やニワトリなどと一緒に連れてこられたと考えられます。

猫は小動物を狩って食べる肉食性動物のため、穀物は食い荒らすことはなくネズミを狩り追い払うのには最適の動物でした。また猫にとっても、エサを探し回る手間なく穀物に寄ってくるネズミや小動物を効率よく狩って食べられるので、お互いにとってWin-Winな関係だったようです。

しかしこの時点ではまだお互い利用し合う関係で「飼われていた」とは考えられておらず、愛玩動物として飼われ出すのはまだ先の話です。

平安時代ついに猫が愛玩動物に

猫が日本でペットや愛玩のために飼われ出すのは平安時代(8~10世紀)です。平安時代といえば、華やかな貴族文化が栄える時代ですが、まさに暇を持て余した貴族たちが愛玩動物として飼い出したのが日本での飼い猫の始まりです。どの国でも愛玩動物を飼い始めるのは裕福な王族や貴族からのようですね。

貴族文化で栄えた絵画や書物には、愛玩動物として猫が描かれています。かの有名な枕草子や源氏物語などにも愛玩動物として飼われる猫について書かれています。

プライドが高い猫が人と暮らせている理由

本質的な意味で家畜化はできていない

現在、猫は何食わぬ顔で人と共に生活できていますが、それは今も本質的な意味で猫は家畜化できていないからだと言われています。

猫は野生化の単独性や縄張り性を今も残しており、犬と比べてもプライドが高く従順的な反応を見せることはまずありません。そこが魅力的であるという方も多いかと思いますが、このような性質を持った猫は人と暮らすのは困難と言われてきました。

リビアヤマネコは適応力が高かった

それでもリビアヤマネコがイエネコ(飼い猫)として人と共に暮らせるようになったのは、リビアヤマネコの適応力の高さと、広く様々な地域で暮らすことができる多様性があったからだと言われています。

リビアヤマネコはイエネコとして人と共存していく中で、アフリカ以外の国や地域でも広く分布し、様々な環境で繁殖を続けてきました。アフリカのような暖かい地域からロシアやカナダのような雪が降るような寒い地域でも暮らすことができた多様性がイエネコとして広まった一つの理由とも言われています。

野生化で暮らす世界のヤマネコ

世界のヤマネコ

リビアヤマネコ

リビアヤマネコ(アフリカンワイルドキャット)の他にも国や地域によってヤマネコは様々な種類がいます。ヨーロッパ、アジア、アフリカ(リビアヤマネコ)など住んでいる地域によって特徴や呼ばれ方が異なるようです。

  • リビアヤマネコ(アフリカ)
  • ヨーロッパヤマネコ(ヨーロッパ)
  • オオヤマネコ(アメリカ、ユーラシア)
  • ステップヤマネコ(アジア)
  • ベンガルヤマネコ(アジア)

リビアヤマネコは写真のようなしなやかな筋肉と一般的な肉付きのイエネコに近いようなイメージ。ヨーロッパヤマネコは寒い地域のためか、少しふっくらしていて被毛は長毛に近いふわふわとした印象を受けます。ベンガルヤマネコはアジアに住んでいるということで短毛で手足が長くすらっとした体型の傾向という感じでしょうか。

日本に生息するヤマネコ

  • ツシマヤマネコ(日本)
  • イリオモテヤマネコ(日本)

日本のヤマネコはイリオモテヤマネコとツシマヤマネコの2種類です。どちらもベンガルヤマネコの一種で、濃い縞模様が入るのが特徴です。

イリオモテヤマネコは有名かと思いますが、現在個体数が減少し続けていることから国際自然保護連盟から絶滅危惧種「絶滅危惧ⅠA種」に登録されています。国の特別天然記念物にも登録されていて日本の野生猫として知らない人は少ないかと思います。

またツシマヤマネコは、日本では名前の通り長崎県の「対馬」にしか生息しないヤマネコで、イリオモテヤマネコに比べて知名度は低いですが、イリオモテヤマネコ同様に希少性が高く、絶滅が危惧されています。

ヤマネコのペット飼育は可能

種類によってペット飼育可能

動物園ではヤマネコを見ることはありますが、ヤマネコは日本の一般家庭でペットとして飼育していいのでしょうか。

ヤマネコはペットとして飼育可能です。イリオモテヤマネコのような絶滅危惧種もいるので、種類によって飼育できませんが、輸入規制や飼育規制のない種類のヤマネコもいるので、ヤマネコの飼育は不可能ではありません。

オオヤマネコとリビアヤマネコは飼育可能

ヤマネコの中で、リビアヤマネコとオオヤマネコはペットとして日本でも飼育が可能です。

オオヤマネコはイエネコに比べて体が大きくがっしりしていてワイルドな印象があるので、ヤマネコっぽい見た目に心惹かれる人も多いのではないでしょうか。ただしオオヤマネコは特定動物に指定されているため、飼育するためにはその基準をクリアする必要があり、無許可で飼育すると法律違反で6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられます。

リビアヤマネコは特定動物に指定されていないのでイエネコと同じように許可なしで飼育することが可能です。ただしリビアヤマネコを販売しているペットショップは稀なので、購入や譲渡が難しいかもしれません。またリビアヤマネコはイエネコの祖先ということで見た目がとても似ているので、よっぽどのこだわりがなければ大型種の猫の方がおすすめかもしれません。

まとめ

猫田
以上、猫の祖先であるリビアヤマネコから、現在のイエネコになるまでの歴史についてお話してきました。
鈴木さん

確かに猫は犬に比べて、自由奔放ですし「飼われてやってる」という感じはありますよね。でもそんな自由でこちらに媚びを売ってこないところが魅力の一つだと思いますし、犬のようになる必要はないかなと思います。

ヤマネコが飼育できるのは意外でした。

ABOUTこの記事をかいた人

【監修・執筆】鈴木利奈

一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。