目次
実は最近は、手術が必要なシュウ酸カルシウム結石の尿路結石商の方が増えてきているんです!
ここでは尿路結石について、原因やシュウ酸カルシウム結石が増えた背景、そして毎日与えるキャットフードでできる尿路結石予防についてご紹介していきたいと思います。
猫の尿路結石とは
尿管・膀胱・尿道に結石ができる病気
猫の尿路結石とは、腎臓でつくられた尿が排泄されるまでに通る尿路(尿管・膀胱・尿道)に結石ができる病気です。尿石症、尿路結石症とも言われます。
尿路結石は、猫が最もかかりやすいFLUTD(猫下部尿路疾患)の代表的な病気のひとつです。
0~12歳の猫たち74,337頭を対象に調査したアニコムのデータを見ると、泌尿器系の疾患が群を抜いて多い疾患であることがわかります。
画像引用:アニコム 家庭どうぶつ白書2017
12歳以上を合わせればさらに割合は高いのではないでしょうか。
さらにその中でも尿路結石症の割合は非常に高いため、現在尿路結石の傾向がなくても将来、愛猫が尿路結石にかかる可能性は十分にあると言えます。
尿路結石の症状
- 頻尿
- 排尿困難
- 血尿
一般的に猫は1日2回トイレに行きますが、その回数が増えたり残尿感を感じているように見られた場合、頻尿でしっかりと尿を出せていない場合があります。
おしっこをしている時に痛がる仕草、声を出していたら、既に尿路結石になっている場合があります。
また猫がした尿が血尿だった場合も、既に尿路結石症が進行していることが考えられます。血尿の色が赤や茶だった場合は黄色信号です。
数日で死に至ることも
また尿路結石はよくある病気として知られていますが、尿路結石の状態が続くと数日で死に至る場合もあるため、よくある病気だと油断してはいけません。
下記で紹介するような症状に気づかず尿路結石を放置しておくと、尿が出ない状況が続き「尿毒症」という非常に危険な状態に発展してしまうので、愛猫の尿が出ていないことに気づいたらすぐにでも病院に連れて行ってください。
尿路結石は再発しやすい病気
尿管結石は再発しやすい病気なので、猫が一度尿路結石になった場合、飼い主さんは日頃から愛猫の尿のpHバランスを意識するようにしましょう。
2つの尿路結石症と原因
猫の尿路結石の原因は相反する原因による2つの種類があります。猫の場合、この2つの尿石症以外はほとんど発生しません。
- ストルバイト結石
- シュウ酸カルシウム結石
1つ目は尿のpH値がアルカリ性に傾くことでできる「ストルバイト結石」。2つ目は尿が酸性に傾くとできる「シュウ酸カルシウム結石」です。
尿石症1:ストルバイト結石
尿pHがアルカリ性に偏ると発症
尿がアルカリ性に傾くことでおこるのがストルバイト結石症です。下記のような原因で形成されやすくなります。
- マグネシウムの過剰摂取
- トイレの回数が少ない
- 水分補給が十分ではない
食事や薬で溶かせる
ストルバイト結石は初期段階であれば食事療法で溶かすこともできますし、薬を用いて溶かすこともできます。
ストルバイト結石は1960~1990年代に多かった結石症ですが、ストルバイト結石に配慮した低マグネシウム・酸性よりのフードが増えたため1980年代からストルバイト結石の猫は大きく減りました。
尿石症2:シュウ酸カルシウム結石
尿pH酸性で形成されやすい
ストルバイト結石が減っている一方、増えたのが酸性に傾くことで形成されるシュウ酸カルシウム結石です。
シュウ酸カルシウムは、ストルバイトとは対称的に尿が酸性に傾くことでつくられる結石です。
シュウ酸カルシウム毛石勝は、下記のような原因で発症します。
- ナトリウムの過剰摂取
- ビタミンDの過剰摂取
- 消化性の低い食物の摂取が多い
- カルシウム不足
- 酸性寄りの食事
- トイレの回数が少ない
- 水分補給が十分ではない
シュウ酸カルシウム結石は昔より増えている
1981年に分析された尿石のうち、大半がストルバイト結石(○)で、シュウ酸カルシウム(△)の割合はわずか2%でした。
しかし80年代中盤からシュウ酸カルシウムが増加し、1994年にはシュウ酸カルシウムとストルバイトの割合が逆転しています。
現在はストルバイト結石もシュウ酸カルシウム結石もそこまで割合に大きな差はないと言われていますが、1980年代に比べて数として増えていることは間違いありません。
pH値を公開していないメーカーが多いため定かではありませんが、ストルバイト結石へ配慮して低マグネシウム・酸性寄りにする傾向になった結果、今度はシュウ酸カルシウム結石が形成されやすいキャットフードが増えてしまったとも考えられています。
今後、どのように数や割合が変化していくかは注目ですね。
手術で取り除く必要がある
一度、尿路結石ができると食事や薬で溶かすことができないため、手術で取り出さなければなりません。
食事療法で結石が溶けることはありませんが、手術で結石を取り除いた後は、シュウ酸カルシウム用の療法食やpHコントロールの食事を与えて、再発しないように予防します。
尿路結石症の予防と対策方法
水分補給とトイレの回数が重要
ストルバイト結石、シュウ酸カルシウム結石、このどちらにも共通している原因が水分補給とトイレの回数であることにはお気づきいただけたでしょうか。
pH値の調整も大切ですが、より重視したいのは、尿が尿路に停滞することを防ぐこと、そして尿自体を濃くしないことです。
水分補給を十分に行い、排尿の回数を増やすことで、物理的に結晶や結石が形成されにくい状態をつくることができます。
具体的には、ウェットフードを用いることが良いとされています。水を積極的に飲まない猫の場合は、野菜や肉・魚をつかったダシスープで水分を多く摂らせることも有効です。
またトイレを清潔に保ることも大切です。なるべく猫が気持ちよくトイレをすることを覚えてくれるようにすると、猫もトイレに行く回数が多くなりやすいです。
毎日の食事管理や健康な体作りも大切
猫の尿のpH値は日頃の食生活に大きく関係しており、尿の数値によってできやすい結石を知ることもできます。
どちらかに偏り過ぎないよう程度を考えることは大切ですが、どちらかにpH値が傾いている場合はpHコントロールのキャットフードを用いたり、フードのミネラル量をチェックするといいでしょう。
キャットフードの注意点
キャットフードのミネラルの中でもカルシウム:リン:マグネシウム=1.2:1:0.1のバランスを守ることが尿路結石対策のポイントです。
このバランスが崩れると尿のpHが崩れて尿路結石ができやすくなります。もちろんこれで尿路結石にならない訳ではありませんが、気をつけておくべき最低限のラインとして覚えておくといいかと思います。
尿路結石にかかりやすい性別・猫種・特徴
オス猫の方がかかりやすい
尿路結石は性別関係なくかかる病気ですが、オス猫の方が結石が形成されやすく重症化もしやすいです。
それはオス猫の尿道が、メス猫に比べて細くカーブしていることが理由です。メス猫は尿道が短くまっすぐで太いため、オスより詰まることが少なく重症化しにくいです。
純血種がかかりやすい
また猫の種類でいえば、雑種の猫よりも下記のような純血種がかかりやすいという研究結果が出ています。
- ヒマラヤン
- アメリカンショートヘア
- スコティッシュフォールド
その他の特徴
その他には3歳~5歳の成猫、水を飲まない猫、シニア猫、肥満気味の猫もかかりやすいと言われています。
肥満になると尿道がせまくなるため、より尿道がつまりやすく尿路結石が重症化しやすくなります。
尿路結石は必ず獣医師の診断を受けてください
猫の尿管結石の治療方法は重症度や結石の種類によって変わります。軽度のストルバイト結石の場合には、動物病院から出される薬や尿管結石の猫向け療法食を摂ることで、1カ月ほどで治療可能です。
結石が大きく、重度の場合には動物病院で結石を除去する手術を受け、その後1週間程度入院する必要があります。入院費用は10万円以上かかるので、ペット保険に加入して、いざという時に備えるというのも手です。
猫の尿路結石まとめ
そうですね。最新の研究や統計をみないとなんとも言えませんが、尿路結石を気にする時は、ストルバイトだけでなくシュウ酸カルシウムにも注意しなければならないということです。
たとえばクランベリーは尿を酸性に傾けるということでストルバイトには有効ですが、これをシュウ酸カルシウム結石でしたら余計に酸性に傾けてしまうので、きちんと猫が今どちらの状態にあるのか分かった上でフードやサプリ、療法食を選ぶことが大切です。