キャットフードの加工助剤。抽出溶剤、消泡剤など表示義務のない添加物

キャットフード 加工助剤
鈴木さん
ペットフードでは添加物の表示義務がありますが、表示義務のない添加物もあるって本当ですか?
猫田
はい、ペットフード安全法の中にも「いわゆる加工助剤については表示を省略することができます」と明記されています。

キャットフードの添加物:加工助剤

加工助剤とは

加工助剤とは、食品加工に使用される添加物のうち、ある条件のもと表示の省略が認められている添加物をいいます。

よく聞く有名な加工助剤の例では、スーパーやコンビニに並ぶカット野菜やサラダなどがあります。通常カットされた野菜はすぐに黒ずんだり変色してしまいますが、殺菌剤(加工助剤)の洗浄により、店頭で何日も見た目を保っています。ただ加工助剤は表示義務がないため、原材料表示には野菜のみで添加物の表示はありません。

キャットフードにおいてもペットフード安全法でいわゆる「加工助剤」はフード製品の原材料名欄への表示義務が免除されています。

A.12 使用した原材料(添加物を含む)を全て記載する必要があります。 ただし、いわゆる加工助剤については表示を省略することができます。加工助剤とはペットフードの加工の際に添加される物であって、次のいずれかに該当するものをいいます。

  • ペットフードの製造の過程において除去されるもの
  • 当該ペットフードの原材料に起因してそのペットフード中に通常含まれる成分と同じ成分に変えられ、かつ、その成分の量を明らかに増加させるものではないもの
  • 当該ペットフード中に含まれる量が少なく、かつ、その成分による影響を当該ペットフードに及ぼさないもの

なお、事業者が科学的・合理的根拠等に基づき加工助剤であることを説明できない場合には、表示の省略はできませんので注意してください。

引用元:ペットフード安全法 表示に関するQ&A

キャットフードに使用される加工助剤

殺菌剤、抽出溶剤、消泡剤などが挙げられる

ペットフードで使用される加工助剤には、殺菌剤、酵素、食品原料から油を抽出する抽出溶剤、泡を消す消泡剤などがあります。

キャットフード 加工助剤画像引用元:添加物 島田真美 (株)サンラボ|ペット栄養学会誌

消泡剤としてはシリコーン樹脂やグリセリン脂肪酸エステルなどの加工助剤が一般的で、油を抽出するために使用される抽出溶媒にはヘキサンなどがあります。

上記では、ペットフードではほとんど使用される例はないとありますが、加工助剤は表示義務がないため正確には分かりません。

キャットフードの加工助剤の危険性

加工助剤による犬猫への健康被害の心配は?

加工助剤は、過程において除去されるものや影響を与えないものと定義されているため、キャットフードの加工助剤による犬猫への健康被害は基本的に心配ないと考えていいかもしれません。

ただ、ペットフード安全法にある「影響」は犬や猫にかかっているのではなく、あくまで「ペットフードに」影響を及ぼさないものと記載されており、「犬猫に」影響がないとしているわけではありません。

先ほど加工助剤の例として挙げた「ヘキサン」について毒性等を調べたところ、ヘキサンは通常6か月以上の反復投与によって生じる亜慢性毒性が認められています。もちろん影響のない量や最終的に除去されるという根拠のもと使用されていると思いますが、ヘキサンは経口摂取では腹痛、めまい、し眠、感覚鈍麻、頭痛、吐き気、脱力感、意識喪失が急性症状及び遅発性症状として推察されています。

また、加工助剤で使用される酵素についても、酵素はタンパク質なので酵素の加工助剤によって犬猫にアレルギー症状が起こる可能性も0ではありません。この場合アレルゲンの特定は難しいと言えます。

また、そもそも表示義務がないため、ペットフードでは通常食品では使用されないような加工助剤が用いられている可能性もあります。

キャットフードや製品の加工助剤を調べる方法は今のところない

加工助剤については、キャットフードの原材料名欄を見ただけでは、何が使用されているのか、安全な添加物なのか、残存しているのか突き止めることは不可能です。

また、加工品の場合、製造メーカーであっても加工助剤の有無を完全に把握できない場合があります。たとえば、キャットフードには様々な食材が使用されるので、フードの製造工場も様々な業者から食材を仕入れています。状況によって仕入れ先が変わることもあります。その仕入れ先の業者が食材に対して加工助剤をすでに使用していた場合、表記の義務がないため、仕入れた工場や製造メーカーも加工助剤の有無や種類を把握することはできません

ただこれはキャットフードや犬猫用の食品に限らず、私たちが食べている食品も同様で、分かり得ない部分として加工助剤については触れられないのが一般的です。

オーガニック認証を受けたキャットフード

もしどうしても心配な場合は、オーガニック(有機)キャットフードを選ぶことでその対策になる可能性があります。

日本ではペットフードは食品に分類されないため、そもそもオーガニック認証を得ることはできませんが、海外産、特にドイツのオーガニック認証を受けたキャットフードは添加物や残留農薬に関して非常に厳しいため、加工助剤を含め、添加物の犬猫に対する健康被害の心配がある方は、海外のオーガニック認証を受けたキャットフードを選んでもいいかもしれません。

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2018年9月3日

まとめ

  • 加工助剤は表示義務がない
  • 殺菌剤、油抽出用の溶剤、泡を消す消泡剤などがある
  • 基本的に害はないと考えられているが表示義務がないため不確か
  • オーガニック認証を受けたキャットフードもおすすめ

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。