キャットフードと家畜用飼料の違いは?成分規格や添加物、製造方法の違いを解説

家畜用飼料 ペットフード 違い

キャットフードと家畜用飼料の違い

鈴木さん
猫や犬に与えるペットフードと、牛・豚・鶏のような家畜に与える飼料。どちらも動物用のごはんですが、どんな違いがあるんでしょうか。
猫田
キャットフードが猫のために、ドッグフードが犬のために作られているように、ペットフードと家畜用飼料では「目的」に大きな違いあります。

キャットフードと家畜用飼料の目的の違い

キャットフードは健康や長生きが第一

キャットフードは、猫の生涯の健康や長生きすることを目的にレシピが設計され製造されています。また栄養摂取を第一の目的としながら、それだけでなく人生を豊かにする楽しみの一つにするという目的もあります。特に猫は好き嫌いが多いので、キャットフードでは猫の嗜好性(美味しさ)や食べやすさも重視されています。

猫や犬などの愛玩動物は十数年にわたる生涯飼育を考えた健康維持を目的とした食事が求められているので、抗菌剤や抗生物質などの使用も認められていません。

家畜用飼料は経済効率が第一

対して家畜用飼料は、家畜の早期育成・短期飼育によって生産効率を高めることを第一の目的に、いかに早く大きく育てて出荷するかが追求されるので、ペットフードのように家畜自身の健康や嗜好性はペットフードほど求められません。

むしろ家畜たちが食品として加工された後、それを食べる人間の方に害がないか、食べた人間が美味しいと感じるか、という点が重視されます。

このため、家畜用飼料は家畜法や飼料安全法によって基準が定められていますが、それは食べた人間への健康被害がないかという観点で判断されるため、最終的な生産物に残留しない程度の抗生物質や抗菌剤であれば、使用が認められています。

キャットフードと家畜用飼料の加工方法による消化性の違い

家畜用飼料はデンプンがα化されない

家畜用飼料とペットフードでは、加工方法に違いがあり、見た目も大きく異なります。ペットフードでは製造工程の中で必ず加熱加工が行われ、ドライフードやウェットフードが生産されますが、家畜用飼料では加熱はほとんど行われず、基本的に原料がそのままの状態で与えられます。

加熱の有無は、消化吸収性の点で大きな違いがあり、ペットフードのように加熱や加圧によって炭水化物に含まれるデンプンがα化すると、食べた時の消化吸収性が高くなります。家畜用飼料のようにα化されていない原材料は、いわゆる「生米→ごはん」の生米の状態のままなので、固く消化吸収率も良くありません。

キャットフードと家畜用飼料の法律や栄養基準の違い

ペットフードと家畜用飼料では規制している法律が異なります。制定しているのは同じ農林水産省ですが、

ペットフード安全法

平成21年6月に制定されたペットフード安全法は、猫用・犬用の愛玩動物用飼料(ドッグフード・キャットフード)の安全と猫や犬の健康を守ることを目的とした法律で、下記のような成分規格やパッケージの表示、事業者の届け出などを義務付けています。

分類規定される物質名規格
カビ毒アフラトキシンB10.02μg/g
デオキシニバレノール1μg/g
有機リン系農薬グリホサート 15μg/g
クロルピリホスメチル 10μg/g
ピリミホスメチル 2μg/g
マラチオン 10μg/g
メタミドホス 0.2μg/g
添加物エトキシキン 150 g/t
BHT (ジブチルヒドロキシトルエン)
BHA(ブチルヒドロキシアニソール)
亜硝酸ナトリウム 100 g/t
重金属カドミウム1μg/g
3μg/g
砒素15μg/g
有機塩素系農薬BHC(α-BHC、β-BHC、γ-BHC、δ-BHCの総和) 0.01μg/g
DDT(DDD、DDEを含む) 0.1μg/g
アルドリン及びディルドリン 0.01μg/g
エンドリン 0.01μg/g
ヘプタクロル及びヘプタクロルエポキシド0.01μg/g
メラミン 2.5μg/g

また、猫や犬にとって有害な物質を含んでいたり、病原微生物によって汚染されている疑いのある原材料は使用禁止です。キャットフードではプロピレングリコールという保存料も危険と判明したため、使用不可と定められています。

ただし成分規格は犬用・猫用に限るので、他の小動物や観賞魚などは対象になっていません。

家畜安全法

飼料安全法は、牛や豚、鶏、山羊などの動物を始め、ミツバチや魚の飼料を対象にした家畜飼料の安全性を保つための法律で、犬や猫用のペットフードや、観賞魚や愛玩用小動物の餌等は対象外となります。

家畜飼料の表示や届け出、添加物の成分規格(飼料添加物一覧 独立行政法人 農林水産消費安全技術センター(FAMUC))や罰則などが定められており、家畜用飼料では下記の添加物以外の使用は認められていません。

農林水産省令で定められている用途類別指定されている飼料添加物の種類
飼料の品質の低下の防止抗酸化剤
(3種)
エトキシキン、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール
防かび剤(☆)
(3種)
プロピオン酸、プロピオン酸カルシウム、プロピオン酸ナトリウム
粘結剤
(5種)
アルギン酸ナトリウム、カゼインナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、プロピレングリコール、ポリアクリル酸ナトリウム
乳化剤
(5種)
グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル
調整剤
(1種)
ギ酸
飼料の栄養成分その他の有効成分の補給アミノ酸等
(16種)
アミノ酢酸、DL-アラニン、L-アルギニン、塩酸L-リジン、L-カルニチン、グアニジノ酢酸、L-グルタミン酸ナトリウム、タウリン、2-デアミノ-2-ヒドロキシメチオニン、DL-トリプトファン、L-トリプトファン、L-トレオニン、L-バリン、DL-メチオニン、L-メチオニン、硫酸L-リジン
ビタミン
(34種)
L-アスコルビン酸、L-アスコルビン酸カルシウム、L-アスコルビン酸ナトリウム、L-アスコルビン酸-2-リン酸エステルナトリウムカルシウム、L-アスコルビン酸-2-リン酸エステルマグネシウム、アセトメナフトン、イノシトール、塩酸ジベンゾイルチアミン、エルゴカルシフェロール、塩化コリン、塩酸チアミン、塩酸ピリドキシン、β-カロチン、コレカルシフェロール、酢酸dl-α-トコフェロール、シアノコバラミン、硝酸チアミン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、パラアミノ安息香酸、D-パントテン酸カルシウム、DL-パントテン酸カルシウム、d-ビオチン、ビタミンA粉末、ビタミンA油、ビタミンD粉末、ビタミンD3油、ビタミンE粉末、25-ヒドロキシコレカルシフェロール、メナジオン亜硫酸水素ジメチルピリミジノール、メナジオン亜硫酸水素ナトリウム、葉酸、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル
ミネラル
(41種)
塩化カリウム、クエン酸鉄、グルコン酸カルシウム、コハク酸クエン酸鉄ナトリウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸亜鉛、炭酸コバルト、炭酸水素ナトリウム、炭酸マグネシウム、炭酸マンガン、2-デアミノ-2-ヒドロキシメチオニン亜鉛、2-デアミノ-2-ヒドロキシメチオニン銅、2-デアミノ-2-ヒドロキシメチオニンマンガン、DL-トレオニン鉄、乳酸カルシウム、フマル酸第一鉄、ペプチド亜鉛、ペプチド鉄、ペプチド銅、ペプチドマンガン、ヨウ化カリウム、ヨウ素酸カリウム、ヨウ素酸カルシウム、硫酸亜鉛(乾燥)、硫酸亜鉛(結晶)、硫酸亜鉛メチオニン、硫酸ナトリウム(乾燥)、硫酸マグネシウム(乾燥)、硫酸マグネシウム(結晶)、硫酸コバルト(乾燥)、硫酸コバルト(結晶)、硫酸鉄(乾燥)、硫酸銅(乾燥)、硫酸銅(結晶)、硫酸マンガン、リン酸一水素カリウム(乾燥)、リン酸一水素ナトリウム(乾燥)、リン酸二水素カリウム(乾燥)、リン酸二水素ナトリウム(乾燥)、リン酸二水素ナトリウム(結晶)
色調強化剤(カロテノイド)
(3種)
アスタキサンチン、β-アポ-8’-カロチン酸エチルエステル、カンタキサンチン
飼料が含有している栄養成分の有効な利用の促進合成抗菌剤(☆)
(5種)
アンプロリウム・エトパベート、アンプロリウム・エトパベート・スルファキノキサリン、クエン酸モランテル、ナイカルバジン、ハロフジノンポリスチレンスルホン酸カルシウム
抗生物質(☆★)
(11種)
亜鉛バシトラシン、アビラマイシン、エンラマイシン、サリノマイシンナトリウム、センデュラマイシンナトリウム、ナラシン、ノシヘプタイド、ビコザマイシン、フラボフォスフォリポール、モネンシンナトリウム、ラサロシドナトリウム
着香料
(1種)
着香料(エステル類、エーテル類、ケトン類、脂肪酸類、脂肪族高級アルコール類、脂肪族高級アルデヒド類、脂肪族高級炭化水素類、テルペン系炭化水素類、フェノールエーテル類、フェノール類、芳香族アルコール類、芳香族アルデヒド類及びラクトン類のうち、1種又は2種以上を有効成分として含有し、着香の目的で使用されるものをいう。)
呈味料
(1種)
サッカリンナトリウム
酵素
(12種)
アミラーゼ、アルカリ性プロテアーゼ、キシラナーゼ、キシラナーゼ・ペクチナーゼ複合酵素、β-グルカナーゼ、酸性プロテアーゼ、セルラーゼ、セルラーゼ・プロテアーゼ・ペクチナーゼ複合酵素、中性プロテアーゼ、フィターゼ、ラクターゼ、リパーゼ
生菌剤
(11種)
エンテロコッカス フェカーリス、エンテロコッカス フェシウム、クロストリジウム ブチリカム、バチルス コアグランス、バチルス サブチルス、バチルス セレウス、バチルス バディウス、ビフィドバクテリウム サーモフィラム、ビフィドバクテリウム シュードロンガム、ラクトバチルス アシドフィルス、ラクトバチルス サリバリウス
有機酸
(4種)
ギ酸カルシウム、グルコン酸ナトリウム、二ギ酸カリウム、フマル酸
(合計 156種)
☆…抗菌性物質製剤(各抗菌性物質の安全性に係る試験成績の公表について)
★…特定添加物

飼料安全法では、家畜の生産物や、肉などの組織が食品として加工されるので、添加物や原料の使用の有無がかなり細かく明記されています。

まとめ

  • 目的が大きく異なる
  • 栄養基準や法律が異なる
  • 加工方法によって見た目や消化性に違いが出る

猫の健康を守るためにつくられるキャットフードですが、中には使用する原材料や成分など本当に猫の健康維持に最適かどうか疑問符がつくような製品も見られます。そこで当サイトでは、原材料の安全性や成分バランスなどを総合的に評価したランキングも公開しています。ぜひ愛猫の健康維持に役立つキャットフードを探してみて下さい!

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2016年8月29日

ABOUTこの記事をかいた人

一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。