キャットフードの原材料:バジル(basil)
バジルとはシソ科メボウキ属の多年草で、ハーブの一種です。ほんのりとした苦味や爽やかな香りが特徴です。和食でもイタリアンでも幅広く活躍でき、スーパーで買うだけでなく家庭菜園をしている方も多いのではないでしょうか?
バジルに含まれる栄養素、それぞれのおすすめの与え方、家庭菜園のバジルについてご紹介します。
バジルの栄養素とメリット
バジルには、生バジル、乾燥バジル、バジルシードがあります。
- 生バジル:スーパーや家庭菜園で手軽に手に入る。香りが強い。
- 乾燥バジル:バジルを乾燥させたもの。香りが強い。
- バジルシード:バジルの種。水分を含ませると膨らみ、透明なゼリー状になる。無味無臭。
下表は、生バジル、乾燥バジル、バジルシード100gあたりの栄養素です。どれも主にトッピングやおやつで使われるので摂取量が100gを超えることはないでしょうが、参考としてご覧ください。
生バジル | 乾燥バジル | バジルシード | ||
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エネルギー | 21 | 307 | 307 | kcal |
たんぱく質 | 2.0 | 21.1 | 15.9 | g |
脂質 | 0.6 | 2.2 | 20.4 | g |
食物繊維 | 4.0 | 0 | 40.5 | g |
カリウム | 420 | 3100 | 3433 | mg |
β-カロテン | 6300 | 2400 | μg |
※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
生バジルのβ-カロテンは抗酸化作用
β-カロテンは抗酸化作用を持ちます。体内には細胞の老化の原因となる活性酵素がありますが、その活性酵素を除去することで皮膚や粘膜の健康維持、老化の予防に効果があります。
乾燥バジルはカリウムが豊富
カリウムとはミネラルの一種で、体内に最も多く存在します。ナトリウムと互いにサポートし合いながら、体内の浸透圧の調整、神経刺激の伝達、血圧の調整などの働きを持ちます。
カリウムは食欲が低下しているときや、体調不良などで下痢が続くとき、病気などで機能不全になったときに過剰分泌されることで尿とともに排出され、低カリウム血症を引き起こす恐れがあります。とくにシニア猫は低カリウム血症にかかりやすいといわれているので、注意が必要です。
バジルシードは食物繊維が豊富
バジルシードの食物繊維は水溶性と不溶性の両方が含まれています。とくにグルコマンナンという水溶性食物繊維は、バジルシードの約50%を占めるほどの含有量です。腸内環境を整え、善玉菌を増殖させて悪玉菌の繁殖を抑制します。
猫は水を飲む習慣があまりなく、また毛づくろいで飲み込んだ毛が腸に溜まることがあるという理由から、便秘になりやすいといわれています。便秘気味の猫に与えると効果があるでしょう。
バジルのおすすめの与え方
生のバジル:細かく刻んで与える
生のバジルは乾燥バジルやバジルシードと比べて、格段に香りが強いのが特徴です。バジルそのままを与えるというよりは、キャットフードにトッピングしたり手作り食に取り入れるようにしましょう。
乾燥バジル:手作り食に取り入れる
乾燥バジルは香りが強いのが特徴です。乾燥バジルはキャットフードにふりかけるというよりも、手作り食に取り入れると良いでしょう。
おすすめは、温かい野菜スープにトッピング。香りが良いので美味しく食べることができます。また、ササミのバジル焼きもおすすめです。ササミに少量の乾燥バジルとオリーブオイルを揉み込み、焼くだけです。
食欲が落ちている子やキャットフードへの食いつきが悪い子にぜひ試してみましょう。香りが強いので、食欲促進が期待できます。
バジルシード:おやつやご褒美で
バジルシードはその名の通りバジルの種で、水分を含ませると10分もしないうちに約30倍にも膨張して、透明のゼリー状になります。その見た目はカエルの卵のようで、食べるのをためらうほど。スムージーやスイーツのトッピングとして使われることが多く、栄養価が高くてダイエットに効果的です。近年ではスーパーフードとして人気です。
バジルシードは無味無臭ですが、食べてみるとプルプルしていて、噛むとシャキシャキとした食感があります。キャットフードにトッピングするのもおすすめですが、おやつ感覚でそのまま与えるのも良いでしょう。
猫にバジルを与えるときの注意点
生バジル:ハーブ類は刺激が強い
猫はもともと肉食動物なので、バジルを含めたハーブ類は刺激が強く、消化がしずらい食べ物です。そのためキャットフードにトッピングするときや手作り食に取り入れるときは、消化しやすいように細かく刻みましょう。初めて与えるときはバジルを1/4程度にし、さらに細かく刻みます。食べ慣れてきたとしても、バジルは1/2程度にとどめるのがおすすめです。
また、スーパーなどで売っている市販のバジルソースは猫に与えてはいけません。市販のバジルソースには塩やニンニク、香辛料が多く含まれています。ニンニクは猫にとって毒となり、また塩分過多となって中毒症状があらわれる恐れがあります。
ご家庭でバジルソースを作る場合は、塩やニンニク、香辛料は入れないようにしましょう。ミキサーで攪拌するだけなので、簡単にできますよ。キャットフードに少量をトッピングすると、香りや風味が良くなります。
乾燥バジル:与える量に気を付ける
乾燥バジルはカリウムが豊富に入っているため、過剰摂取には気を付けなければなりません。乾燥バジルは水分が抜けてかさが減っているので多くをふりかけてしまいがちですが、与える量には十分に気を付けましょう。
カリウムは過剰摂取すると、体内の過剰な分のカリウムを処理することができず、体内に蓄積されてしまいます。そうなると痙攣や不整脈などの症状があらわれ、高カリウム血症を引き起こす恐れがあります。
バジルシード:水に戻してから与える
バジルシードを猫に与えるときは、必ず水を含ませて完全にゼリー状になったのを確認してから与えましょう。不完全な状態で猫に与えると胃の中で膨らんでしまい、非常に危険です。
バジルシードは密閉容器に入れ、高温多湿や直射日光を避け、冷暗所での保管をしましょう。また、バジルシードは水に戻したものは2~3日の冷蔵保存が可能ですが、猫に与えるときは、水に戻すのは与える分だけにしましょう。
家庭菜園のバジルは猫にとって安全
ご家庭でバジルを家庭菜園している方も多いでしょう。家庭菜園は節約、安全、採れたてのおいしさ、育った喜びなどさまざまなメリットがあります。しかし中には、猫にとって毒となる植物もあります。
家庭菜園の定番であるナスやトマトの茎や葉、花、ヘタなどすべてに毒があり、食べると嘔吐や下痢などの中毒症状があらわれます。またインテリア植物として人気のチューリップやユリなどのユリ科の植物は、花粉や花瓶に付いた水を舐めただけでも嘔吐や急性腎不全など命に関わる危険性があります。
まとめ
- 生バジルのβ-カロテンは抗酸化作用
- 乾燥バジルはカリウムが豊富
- バジルシードは食物繊維が豊富
- 家庭菜園のバジルは猫に安全