【ボンベイ】起源、性格、飼い方、かかりやすい病気、価格について

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ボンベイ(Bombay)の誕生・起源

「小さな黒豹」の物語

ボンベイの誕生・起源は、20世紀半ばのアメリカ、ケンタッキー州ルイビルに住む一人の女性から始まります。

理想の猫のイメージを追い求めていた猫の繁殖家、ニッキー・ホーナー。彼女の頭の中には、黒豹のように美しく、ミステリアスな猫の姿が描かれていました。柔らかく光る漆黒の毛並みと、炎のように輝くカッパーゴールドの目を持つ猫――そんな夢のような存在を、彼女は「家の中で飼える黒豹」として生み出したいと考えたのです。

ホーナーはこの理想を実現するために、慎重に猫種を選びました。彼女が目をつけたのは、輝く黒い毛色を持つアメリカンショートヘアと、柔らかくシルクのような毛並みと温厚な性格を持つバーミーズ。この2つの猫種を掛け合わせることで、外見だけでなく、愛らしい性格と知的な魅力を兼ね備えた猫を作り出そうと考えました。

最初の試みは簡単なものではありませんでした。交配による遺伝のバランスは繊細で、一度の繁殖で理想的な黒豹のような猫が生まれるわけではありません。毛色や目の色が標準に達しないこともあり、多くの試行錯誤が繰り返されました。しかしホーナーは諦めることなく努力を続け、ついに彼女の目指した「完璧な猫」が誕生します。

その猫は、見事な漆黒の毛と、まるで炎のように輝くカッパーゴールドの目を持っていました。その姿は彼女の夢見た黒豹そのものでした。この新しい猫種には「ボンベイ」という名前が与えられました。それは、インドのムンバイ(旧名ボンベイ)に生息する黒豹を連想させることから命名されたものです。名前の通り、ボンベイはまるで神秘的な黒豹を小型化したかのような外見と存在感を持っていました。

しかし、ホーナーの挑戦はここで終わりではありませんでした。新しい猫種として公式に認められるためには、繁殖基準を確立し、品種としての安定性を証明する必要がありました。彼女は多くのブリーダーや愛猫家と協力しながら、ボンベイの魅力を広めることに努めました。そして、ついに1970年代にボンベイはCFA(Cat Fanciers’ Association)によって公式な猫種として認定され、その後TICA(The International Cat Association)でも承認を受けることになります。

ボンベイはそのユニークな外見だけでなく、性格の面でも多くの人を魅了しました。社交的で愛情深く、人間との絆を大切にするボンベイは、家庭に暖かさと楽しさをもたらす存在として愛されています。その一方で、知的で遊び心のある一面も持ち、日々の生活に彩りを与えてくれるパートナーとなっています。

こうして誕生したボンベイは、単なる「黒い猫」ではありません。その漆黒の被毛と金色の目には、ニッキー・ホーナーの情熱と理想が詰め込まれているのです。「小さな黒豹」と呼ばれるボンベイは、現代でもその美しさと愛らしさで多くの人々を魅了し続けています。そして、その姿を見るたびに、ホーナーが描いた夢が時を超えて息づいていることを感じるのです。

ボンベイの性格

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社交的で人懐っこい

ボンベイは漆黒の被毛と銅色の目が特徴的な猫種で、その外見から「小さな黒豹」とも称されますが、その魅力は見た目だけでなく性格にもあります。

ボンベイは非常に社交的で、人懐っこい性格を持っています。家族との強い絆を築くことを好み、飼い主に寄り添って愛情を示します。他のペットや子供とも比較的うまくやっていける柔軟性も持っています。新しい環境や知らない人に対しては少し警戒心を抱くこともありますが、慣れるとすぐに親しみを示します。

孤独が苦手

ボンベイは家族とのつながりを強く求めるため、孤独に弱く、一人で長時間過ごすことは苦手でストレスを感じやすいです。定期的なスキンシップや遊び時間を確保することが重要です。

好奇心旺盛で遊び好き

ボンベイは好奇心旺盛で遊び好きです。活発でエネルギッシュな一面があり、おもちゃやゲームに熱中することがよくあります。とくに動くおもちゃなど、狩猟本能を刺激する遊びに興味を示します

知的で能力が高い

ボンベイは知的で学習能力が高いため、簡単なトリックやしつけを覚えることも得意です。

例えば「お手」や「おいで」などの基本的な指示に素早く反応し、クリッカーなどを使ったトレーニングにも適応します。また、飼い主との知的な遊びを楽しみ、問題解決型のおもちゃにも挑戦することが好きです。

ボンベイの毛色・模様

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均一な漆黒はボンベイ特有

ボンベイ特有の全身の漆黒。猫のときは少し斑がある場合もありますが、成長とともに均一な黒色に変わっていき、光を受けると美しい輝きを放ちます。鼻や肉球までもが黒くなるのが理想的とされています。

筋肉質で滑らかな体型

体型は筋肉質で引き締まっており、中型から大型の猫に分類されます。骨格はしっかりしているものの体のラインは滑らかでしなやかで、力強さと優雅さを同時に感じさせます。

ボンベイの顔・体型

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まるで魔女宅の「ジジ」

ボンベイは丸みを帯びた顔で、鼻は短く、口元はややふっくらとしています。エレガントでありながら、愛らしさも兼ね備えており、全体的に表情豊かで親しみやすい印象を与えます。

まるでジブリ「魔女の宅急便」に登場する黒猫「ジジ」のような見た目を持っていることから、「ジジのような猫を飼いたい!」と人気と注目度が高くなってきています。

ボンベイの独特な瞳「カッパーゴールド」

ボンベイの大きな特徴でもある、深みのある銅色からゴールドの大きな瞳。これは「カッパーゴールド」とよばれ、漆黒の被毛とのコントラストが非常に美しく、「小さな黒豹」と呼ばれる所以にもなっています。

ボンベイではこの目の色が理想的なスタンダードとして重視されており、黒い被毛との組み合わせが際立った美しさを生み出しています。

他の猫種でもカッパーゴールドの目を持つ子もいますが、非常に稀であり、特定の遺伝的要因や品種改良による結果であることが多いです。

真っ黒で艶のある毛並み

ボンベイは短毛種で、毛並みはサテンのように柔らかく、手触りが良いだけでなく美しい光沢を放っています。ブラッシングなど適切なお手入れを行うことで一層の輝きを保てます。

ボンベイの飼い方・飼いやすさ

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生活環境

ボンベイは活発で好奇心旺盛な性格を持つため、高さのあるキャットタワーや窓際の観察スペースを設置すると、好奇心を満たしつつ運動不足を防ぐことができます。一緒に遊んで家族とのコミュニケーションの時間をきちんと取ることが大切です。

また短毛種で寒さに弱いため、冬場には暖房や温かい寝床を用意し、快適に過ごせる環境を整えることが求められます。

食事管理

ボンベイは他の猫種に比べて食欲旺盛であるため、きちんと給与量や給与回数を守らないとカロリーオーバーとなってしまいます。成猫は運動量が多いため消費カロリーも多いですが、6歳以上の高齢期に入ると運動量が減るため、肥満傾向になる恐れがありまうs。

ブラッシング

ボンベイは被毛が抜けにくい猫種のため、手入れがしやすいのも魅力の一つです。

週に1~2回程度のブラッシングをすることで抜け毛を取り除き、美しい毛並みを保つことができます。またブラッシングは血行を促進するため、健康な皮膚を維持する効果もあります。

遊び

ボンベイは遊び好きで賢い猫です。とくにレーザーポインターや羽のおもちゃ、ボールなどの動くものを追いかける遊びや知育玩具に興味を示します

また、知的好奇心を満たすためにパズル型のおもちゃやおやつが出てくる仕掛けを用意するのもおすすめです。毎日遊びの時間を確保し、ボンベイの身体的・精神的な健康をサポートしましょう。

初心者でも飼いやすい

ボンベイは人懐っこく知的で、お手入れも比較的簡単であることから、初心者でも飼いやすい猫種といえます。

ボンベイのかかりやすい病気

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ボンベイは比較的体が丈夫な猫種で、とくに特出してかかりやすい病気はありません。しかしアメリカンショートヘアバーミーズ を祖先に持っているため、それぞれの遺伝的疾患を受け継いている可能性があります。

肥大型心筋症(HCM)

肥大型心筋症(Hypertrophic Cardiomyopathy:HCM)とは猫に最も一般的にみられる心疾患で、心筋が異常に厚くなる病気です。ボンベイの祖先であるアメリカンショートヘアは肥大型心筋症の好発猫種とされています。

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2018年11月30日

猫口腔顔面痛症候群(FOPS)

猫口腔顔面痛症候群(Feline Orofacial Pain Syndrome:FOPS)とは口や顔の周辺に異常な痛みを感じる疾患で、神経系の異常や外傷、歯の問題、ストレスが要因と考えられています。

2010年に行われた調査によると、FOPSを発症した猫の約90%が、ボンベイの祖先であるバーミーズだったといわれています。

ボンベイの価格

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ボンベイは日本では希少な猫種であるため、ブリーダーやペットショップなどでボンベイを見つけることは難しいです。取り扱いがある場合、ブリーダーでは価格は約20万~30万円、ペットショップでは価格は約15万~20万円と考えらえれます。

まとめ

  • 社交的で人懐っこいため、孤独が苦手
  • 動く遊びなど狩猟本能を刺激する遊びを取り入れる
  • 均一な漆黒やカッパーゴールドはボンベイ特有
  • 知的でお手入れが比較的楽なため初心者でも飼いやすい
  • アメリカンショートヘアやバーミーズの好発病気に注意する

ABOUTこの記事をかいた人

古川菜々

帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士の資格を取得。キャットフード勉強会ディレクターとして、猫ちゃんの栄養や病気、生態、キャットフードなどの情報を提供しています。猫ちゃんの魅力を発信し、飼い主さんの悩みや不安を解決することで、猫ちゃんと飼い主さんの幸せのお手伝いになれれば嬉しいです。