老猫ホームの費用や特徴。高齢猫の第二の家を選ぶ前に知っておきたいこと

老猫ホームの費用や特徴。高齢猫の第二の家を選ぶ前に知っておきたいこと

猫も高齢になると、若い頃とは違ったケアが必要になります。飼い主が高齢になって飼育が難しくなったり、介護が必要な状態になったりと、事情によって「老猫ホーム」という選択肢が注目されています。

本記事では、老猫ホームの費用相場や特徴、施設ごとの違い、預ける際の注意点について解説します。

老猫ホームとは?

介護や医療ケアが万全な専用施設

老猫ホームとは、高齢期に入った猫のための専用施設です。

単に飼い主不在時の預かり場所ではなく、介護や医療ケア、静かな生活環境など、年老いた猫にとって快適な環境を整えた“猫の終の棲家”とも言える場所です。

多くの施設は10歳以上の猫を対象とし、慢性疾患を抱えていたり、足腰が弱っていたりする猫にも対応できるよう、バリアフリーの設計や獣医師の定期診療、個別ケア体制を整えています。

「最後まで大切にしたい」を叶える場所

老猫ホームは、「愛猫の晩年を穏やかに過ごさせてあげたい」という飼い主の願いを形にできる選択肢です。費用は確かに安くはありませんが、その分、医療ケアや安心できる環境で生活することができます。

猫が最後まで快適に、自分らしく過ごせる場所を選ぶことは、愛情の一つの形でもあります。まずは焦らず、いくつかの施設を見学し、猫の性格や体調に合った最適な場所を選んであげましょう

老猫ホームの主な特徴

老猫ホームは、一般的なペットホテルとは異なる特徴をいくつも備えています。

個別ケージではなく個室型が主流

高齢猫はストレスに弱く、他の猫との接触が大きな負担になることもあります。

そのため、老猫ホームの多くは「個室型」や「個別スペース制」を採用しており、他の猫と物理的に距離を保ちやすい構造になっています。

24時間の見守り体制

施設によっては夜間もスタッフが常駐し、異変があればすぐ対応できる体制を敷いています。高齢猫は急な体調変化が起こりやすいため、こうした見守りの質が施設選びの大きな判断材料になります。

獣医師や看護師との連携

老猫ホームでは、定期的な健康診断や、持病のある猫への投薬・点滴などの医療的配慮が必要となります。

施設によっては獣医師や愛玩動物看護師が常勤、または提携しており、日々の健康管理が万全に整えられています。

老猫ホームの費用相場

一時預かりと長期入居で異なる料金体系

老猫ホームの料金体系は、「短期預かり型」と「長期入居型」で大きく異なります。下記に代表的な費用目安を示します。

【短期預かり型】

  • 1泊あたり:4,000円~10,000円
  • 1週間:25,000円~50,000円

※個室・冷暖房完備・投薬などが含まれる場合あり

【長期入居型】

  • 月額:30,000円~100,000円
  • 入居時初期費用:50,000円~200,000円
  • 医療管理費:月5,000円~15,000円

医療ケアや特別な食事には追加料金が発生

療法食の提供、腎臓病の管理、投薬や点滴、通院付き添いなど、医療的なサポートが必要な場合は別途費用が発生することが多くあります。

費用設定は猫の健康状態や年齢に応じて変動します

老猫ホームを利用する理由と背景

飼い主の高齢化や病気

近年、飼い主自身が高齢になり、自宅での介護が難しくなるケースが増加しています。自分自身の入院や介護施設への入居がきっかけで、老猫ホームを探す人も少なくありません。

猫にとっての安心な環境を提供したい

自宅で十分なケアが難しいと感じたとき、猫の健康や精神的な安定を守るために、老猫ホームへの入居を前向きに選択する飼い主もいます。

とくに腎不全甲状腺機能亢進症認知症など高齢猫に多い疾患がある場合は、より専門的なサポートが安心につながります。

老猫ホームを選ぶ際のチェックポイント

①衛生管理が徹底されているか

施設内の清掃状況や臭い、猫のトイレの数や配置などを事前に見学して確認しましょう。感染症予防の対策が取られているかも重要なポイントです。

②スタッフの対応や知識レベル

猫に対する接し方や飼育知識があるかどうかは、猫の精神的安定に大きく関わります。質問に対して丁寧に答えてくれるか、ケア内容について明確に説明してくれるかを見て判断しましょう。

③医療サポートの充実度

獣医師の訪問頻度や、病院までの距離、緊急時の対応など、万が一に備えた体制が整っているかを確認することが不可欠です。

実際に預けるまでの流れ

  1. 問い合わせ・資料請求
  2. 見学・面談
  3. 契約・健康状態の確認
    →血液検査やワクチン証明の提出が必要な場合も
  4. トライアル入居(数日~1週間の短期滞在)
  5. 本格入居スタート

とくに長期入居を検討している場合は、トライアルステイで猫の様子を確認できる施設を選ぶと安心です。

老猫ホームを利用する際の注意点

家族との相談をしっかりと

猫を家族の一員として長く迎えてきた方にとって、施設に預けることに罪悪感を感じることもあるでしょう。

しかし、猫にとって最善のケアを考えたとき、安心できる環境を用意することは責任ある選択でもあります。

施設ごとの方針をよく比較する

同じ「老猫ホーム」といっても、施設ごとに方針やサービス内容、費用の透明性は大きく異なります。口コミやSNSだけに頼らず、必ず自分の目で確かめることが重要です。

まとめ

  • 多くの老猫ホームは10歳以上が対象
  • 獣医師や愛玩動物看護師が常駐・提携している場合が多い
  • 老猫の体調を考え、個室型や個別スペース制を採用
  • 口コミだけでなく、実際に見学することが良い

ABOUTこの記事をかいた人

古川菜々

帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士の資格を取得。キャットフード勉強会ディレクターとして、猫ちゃんの栄養や病気、生態、キャットフードなどの情報を提供しています。猫ちゃんの魅力を発信し、飼い主さんの悩みや不安を解決することで、猫ちゃんと飼い主さんの幸せのお手伝いになれれば嬉しいです。