



そうなんです。それに災害時や旅行など、飼い主さんがそばにいられない場面でも、猫手帳があれば第三者にも猫の状態をしっかり伝えられます。
今回は、猫手帳の重要さや記録の仕方、記録の心構えについて解説します。
猫手帳とは?
猫手帳とは、飼い主が猫の健康・生活・行動を記録するためのノートや記録ツールを指します。
猫手帳の他にも、愛猫手帳、猫ヘルプ手帳、ペット手帳、猫の健康ノート、キャットノートなどメーカーによって呼び名は変わりますが、内容や記載方法はほとんど変わりません。
猫手帳は単なる記録ではなく、見えない変化に気付くための重要な道具として注目が集まっています。
猫手帳は“ゆるく”でOK!続けることが大切

「手帳」と聞くと、毎日きっちり書かないといけないような気がしてハードルが高く感じるかもしれません。
しかし、メモ書き程度で十分ですし、気づいたときにサッと書くだけでも大きな意味があります。


もちろんです!あとで見返すと貴重な記録になります。
毎日じゃなくてもいい、完璧じゃなくてもいい。大切なのは“続けること”です。自分のペースで始めてみてください。
猫手帳には何を書く?
下記は、猫手帳に記載しておくべき主な内容を箇条書きでまとめたものです。健康管理・災害時の備え・通院時のスムーズな情報提供のために役立ちます。
猫手帳の項目 | |
---|---|
基本情報 | ・名前、性別、生年月日 ・品種、毛色、体格の特徴 ・マイクロチップ番号 ・避妊・去勢手術の有無と実施日 |
健康と通院の記録 | ・体重の変化(定期的に記録) ・ワクチン接種の履歴と予定日 ・通院日・病名・治療内容・処方薬の記録 ・アレルギーや持病の有無 ・検査結果のメモ(血液検査、尿検査など) |
日常の様子 | ・ドッグフード名、切り替え時期 ・食事内容と食べた量 ・排泄の回数・状態 (尿量、便の色・硬さなど) ・嘔吐や、目やに、元気の有無 ・活動量や睡眠時間の変化 |
性格・習慣・生活環境 | ・好きな遊び、おもちゃ、寝る場所など ・苦手なこと(抱っこ、掃除機、爪切りなど) ・ストレスを感じたときの行動パターン ・留守番時間やそのときの様子 |
緊急時用の情報 | ・かかりつけの動物病院名・住所・電話番号 ・飼い主の連絡先(自宅・携帯) ・予備のフードや薬の保管場所 ・災害時の避難先候補やキャリーの位置 |
猫手帳を持つ重要性とメリット
小さな変化にすぐ気付ける
犬に比べて体調不良を隠しやすい猫にとって、急な嘔吐や排泄の乱れ、食欲の変化は、短期間では「気のせい」と見逃されがちです。しかし、猫手帳に毎日の様子を書き留めておけば、小さな変化にいち早く気付くことができます。
食事量が数日連続で減っていたり、便の状態が少しずつ変化していたりすることに、記録を通じて初めて気づくことも多くあります。
これらの変化は、腎臓病や消化器疾患など重大な兆候であらわれる症状としても挙げられます。
通院・診察時に的確な情報を提供できる
動物病院での診察は、限られた時間で症状や背景を正しく伝えることが求められます。その際、猫手帳に書きとめた情報は強力な助けになります。過去の体重推移、異変が見られた日、食欲の変化、排尿や排便の記録など、口頭では曖昧になりがちなデータが明確になるため、診断の精度が上がります。
「いつから食欲が落ちたか」「吐いたのは何回目か」「尿の量が増えたのは何日続いているか」などの問いに即座に答えられることは、とくに慢性疾患の早期発見や、再診時の比較に有効です。
さらに、複数の動物病院を利用している場合や、転居などでかかりつけ獣医師が変わる際にも、猫手帳があれば情報の引き継ぎがスムーズに行えます。
災害や緊急時、猫手帳が命を守る
地震や台風などで避難を余儀なくされたとき、ペットとの同行避難が基本とはいえ、現実にはストレスや情報不足でトラブルが発生しやすいのが現状です。
そのような緊急時、猫手帳は第三者に猫の性格や健康状態を伝える「命綱」となります。例えば、猫が持病を抱えている場合や、特定の食べ物にしか反応しない場合、普段の様子が記された手帳があることで、預かり先の人も安心して対応できます。
また、迷子になったときにマイクロチップ番号や特徴がすぐ確認できる記録が手元にあることも、飼い主の不安を大きく軽減してくれます。
家族や第三者との情報共有にも役立つ
旅行や入院、出張などで飼い主が一時的に猫の世話をできないとき、猫手帳は「引き継ぎ書」として非常に役立ちます。普段のごはんの与え方、トイレ掃除の頻度、好きな遊び方や嫌がる行動などがまとめられていれば、初めて猫を世話する人でも安心です。
とくに、家族間で猫の世話を分担している家庭では、「昨日の夜ごはんは食べたか」「今朝はうんちをしたか」といった細かい情報の共有に猫手帳が重宝されます。口頭では伝えきれない・伝え忘れた情報も、手帳を通じて明確に残すことができます。
高齢猫や持病持ちの猫にこそ必須
猫が高齢期に入ると、体調の変化が顕著になります。食欲のムラ、トイレの頻度、寝る時間の増加など、いずれも“老化”として片づけてしまいがちですが、病気のサインである可能性も否定できません。
また、持病を抱えている猫では、投薬のタイミングや服薬の可否、日によっての体調のバラつきなどを正確に記録することで、再診時の判断材料となり、治療の質を維持することができます。
「薬を飲んだ日はどのような様子だったか」「食後にぐったりしていたのは何日目か」など、記憶では曖昧になりがちなことも、猫手帳があればすぐに振り返ることができます。
手帳型やアプリ。自分が使いやすい・続けやすさを重視
猫手帳において大切なのは、自分にとって続けやすい形で記録を残すことです。
市販の猫用手帳やアプリを活用する人もいれば、無地のノートに自由に書き込む人もいます。写真を添えて簡単な一言を加えるだけでも、十分に意味のある記録になります。
「1週間に一度、まとめて思い出しながら書く」「気になったときだけメモする」など、日々の生活に合わせて柔軟に運用することで、無理なく続けられるようになります。
まとめ
一見すると地味な作業に思える猫手帳ですが、その価値は時間とともに積み重なります。
猫の健康の変化を記録し、異変に気づき、病気の早期発見につながり、災害時や緊急時にも飼い主と猫を守ってくれる――まさに“猫と生きるための地図”とも言える存在です。