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キャットフードの原材料:タンポポ(dandelion)
古くから薬草や健康食品として利用

タンポポ(dandelion)はキク科に属する多年草で、二ホンタンポポともよばれます。とくに葉、根、花の部分が栄養価が高く、古くから薬草や健康食品として利用されてきました。
タンポポ茶はカフェインフリー
タンポポ茶はタンポポの根を主に使用して作られ、カフェインフリーで消化促進や利尿作用などの健康効果が期待されます。
タンポポの根の土や汚れを丁寧に洗い流し、薄く切って天日や低温のオーブンで乾燥させます。乾燥させた根をフライパンやオーブンで焙煎し、焙煎したタンポポ根を熱湯で煮出して完成です。
タンポポ、セイヨウタンポポ、タンポポ根
キャットフードの原材料にはタンポポ、セイヨウタンポポ、タンポポ根が使用されます。見た目は似ていますが特徴が異なります。
種類 | 分布 | 環境適応性 |
---|---|---|
タンポポ | ・日本在来種 ・カントウタンポポ、カンサイタンポポなど | ・環境変化に弱い ・生息域が限られつつある |
セイヨウタンポポ | ・ヨーロッパ原産 ・日本には外来種として持ち込まれた | ・繁殖力が強い ・都市部や荒れ地など広範囲でみられる |
タンポポ根 | ・タンポポ(主にセイヨウタンポポ)の根 ・太くて長い主根が特徴 | ・古くから薬用や食材として利用 ・乾燥させてタンポポ茶として飲まれる |
タンポポが原材料のキャットフード
原材料として使用されるのは主に葉、根、花
キャットフードの原材料として使用されるのは、タンポポやセイヨウタンポポの花、葉、根です。
タンポポの茎は葉や根に比べて栄養素の含有量が少ないため、キャットフードに使用されるメリットがほとんどありません。とくに猫にとって重要なビタミンやミネラル、イヌリン(プレバイオティクス)は茎にはほとんど含まれていません。
また、タンポポの茎には白い乳液状の液体(ラテックス)が含まれています。ラテックスは強い苦味により植物の防御機能に役立っていますが、アレルギー反応や消化不良を引き起こす可能性があります。そのためキャットフードには適していないと考えられます。
タンポポが原材料のキャットフード例
原材料欄にはタンポポ、セイヨウタンポポ、西洋タンポポ、タンポポ根、ダンデライオンと表記されることがあります。
ちなみにドッグフードメーカーFORZA10のアクティブライン リナールアクティブではマウス耳ヤナギタンポポという原材料を使用しています。マウス耳ヤナギタンポポとはヤナギのような形状で毛があり、茎が分岐して複数の小さな花をつけるタンポポです。
タンポポの栄養素とメリット
タンポポは花、葉、根すべてに栄養素が含まれています。
タンポポに含まれる栄養素
栄養素 | 健康効果 | |
---|---|---|
葉 | ビタミンA | 目の健康や免疫機能をサポート |
ビタミンC | 抗酸化作用により細胞の老化が防ぐ | |
ビタミンK | 血液凝固や骨の健康を維持 | |
鉄分 | 貧血予防や酸素の運搬 | |
カリウム | 血液調整や心臓機能をサポート | |
食物繊維 | 消化促進や腸内環境の改善 | |
花 | フラボノイド | 血液調整や心臓機能をサポート |
食物繊維 | 消化促進や腸内環境の改善 |
セイヨウタンポポに含まれる栄養素
セイヨウタンポポはタンポポと似た栄養素を含みますが、タンポポよりもポリフェノールやビタミンCが豊富に含まれています。また辛味成分であるタラキサシンが含まれ、消化を促進し、胆汁分泌を刺激する効果があります。
タンポポ根に含まれる栄養素
タンポポの根はとくに栄養価が高く、健康効果があるとされています。
栄養素 | 健康効果 |
---|---|
イヌリン | ・食物繊維で腸内環境を整える ・血糖値の安定化や便秘解消に効果的 |
タラキサシン | 消化を促進し、肝機能や胆のうの健康をサポート |
ポリフェノール類 | 抗酸化作用を持ち、体内の炎症を軽減する |
ビタミンA、C、K | 全般的な免疫機能や抗酸化、骨の健康維持 |
タンポポをキャットフードの原材料に使用するメリット
消化促進
タンポポには天然の食物繊維(イヌリン)が豊富に含まれています。イヌリンはプレバイオティクスとして働き、腸内の善玉菌を増やして腸内環境を改善することができます。
便秘がちな猫や腸内環境を整えたい猫に効果的です。
抗炎症作用
タンポポの葉や根には抗酸化作用を持つポリフェノールやフラボノイドが含まれています。炎症性疾患のリスクを軽減したり、関節炎の症状を和らげる効果が期待されます。
利尿作用
タンポポの葉や根にはカリウムが豊富に含まれています。カリウムは体内のナトリウムのバランスを整えることで尿量を増加させ、尿路結石の予防や毒素の排出の促進、腎臓の機能のサポートなどの効果があります。
キャットフードにおけるタンポポ使用の注意点
給与量をきちんと守る
タンポポには利尿作用があるため、過剰に摂取すると脱水症状を引き起こす可能性があります。給与量以上を与えたり短期的な過剰摂取はやめ、パッケージに記載の給与量をきちんと守りましょう。
農薬や重金属の危険性
野生や農地で育ったタンポポには、農薬が散布されている可能性があります。動物や人間に悪影響を与える残留物として問題になる場合があります。
またタンポポは土壌から栄養分を吸収する過程で、鉛やカドミウムなどの重金属も吸収する可能性があります。とくに汚染された土地で採取された場合、重金属濃度が高くなるリスクがあります。
ただし、信頼性の高いキャットフードメーカーは農薬や重金属の残留検査を実施しており、安全基準を満たしたタンポポだけを使用します。またオーガニック栽培されたタンポポは農薬の使用が制限され、重金属リスクも低い傾向があります。
まとめ
- タンポポの花、葉、根は栄養が豊富に含まれている
- タンポポの茎はラテックスが含まれており、原材料には不向き
- 農薬や重金属の残留検査を実施・公表しているメーカーは信頼性が高い