ジフテリア感染症は猫に感染する可能性は極めて低いと考えられています。それはジフテリア菌は主に人間を宿主とし、人間同士で感染が広がる感染症だからです。
しかし、いくつかの例外的な状況や近縁菌の影響を考慮する必要があり、感染の可能性はゼロではありません。
今回はジフテリア感染症の感染経路や症状、予防について解説します。
ジフテリア感染症(diphtheria infection)とは
引用元画像:ジフテリアとは|国立感染症研究所
ジフテリアが病原菌の感染症
ジフテリア感染症はジフテリア(Corynebacterium diphtheriae)による感染症で、とくに毒素を産生するジフテリア菌株が病原性を持ちます。この毒素は細胞を破壊し、主に呼吸器や皮膚、心筋、神経に影響を及ぼします。
猫への感染は非常に稀
ジフテリア菌は主に人間同士の飛沫感染や接触感染により感染します。現在のところ、猫がジフテリア菌に感染したという明確な報告はありません。
しかし猫が免疫力低下状態で、ジフテリア菌に大量に曝露された場合、感染する可能性はゼロとは言い切れません。そのため、日々の生活の中でしっかりと予防を行うことが大切となります。
ジフテリアの近縁菌による発症リスク
近縁菌コリネバクテリウム・ウルセランス
ジフテリア感染症を引き起こすのは基本的にジフテリア菌ですが、保菌宿主が人間同士であるため、猫に感染するのは稀です。
しかし近縁菌のコリネバクテリウム・ウルセランスやコリネバクテリウム・シュードツベルクローシスは動物が保菌宿主になるため、ジフテリア菌よりも猫に感染する確率が高くなります。
ジフテリア菌 | コリネバクテリウム・ ウルセランス |
|
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宿主 | 主に人間 | 動物(犬、猫、牛、ヤギなど) |
感染経路 | ・人間間の接触 ・飛沫感染 | ・動物との接触 ・汚染された環境や食品 |
人獣共通 感染症 | 該当しない | 該当する |
動物が保菌宿主になる
コリネバクテリウム・ウルセランスはジフテリア毒素を産生する可能性がある細菌で、感染源は主に動物(犬、猫、ウシ、ヤギなど)です。猫が保菌している場合、人間に菌を伝播させるリスクがあるため人獣共通感染症として注目されています。
コリネバクテリウム・ウルセランスによる死亡例
厚生労働省の報告によると、コリネバクテリウム・ウルセランスに感染したことで、福岡県に住む60代の女性が死亡したことが分かりました。
コリネバクテリウム・ウルセランスについての詳しい記事は下記をご参照ください。
ジフテリア感染症の予防
感染している場合、猫との接触を避ける
飼い主さんがジフテリア感染症の疑いがある場合は、猫との接触は避けましょう。猫はジフテリア感染症に感染するのは極めて稀ですが、可能性はゼロではありません。近縁菌による感染リスクは猫でも存在するため注意が必要です。
定期的な健康診断
ジフテリア感染症は早期発見・早期治療が重要となります。定期的に動物病院で健康診断を受け、ジフテリア感染の早期発見を図りましょう。
まとめ
- 猫がジフテリア感染症になるのは稀だが、可能性はゼロではない
- ジフテリアの近縁菌コリネバクテリウム・ウルセランスは人獣共通感染症
- 感染の可能性がゼロでない限り、予防が大切