野良猫を保護したらどうすればいい?流れや注意点を解説

野良猫(stray cat

野良猫を保護することは、動物福祉の観点からも非常に大切な行動です。しかし、保護したあとは適切な対応が求められます。野良猫の保護はその猫が健康に安全に暮らせるようにするための第一歩ですが、保護したあとの飼養や譲渡が必要です。

最終的に重要となるのは、猫の幸福と地域社会との調和を目指し、適切な対応を行うことです

今回は、野良猫を保護したときの流れや注意点について解説します。

野良猫を保護したら①まずは動物病院へ

健康状態の確認

野良猫を保護したら、まずは猫の健康状態を確認することが最優先となります。外で生活をしていたためノミやダニ、寄生虫、感染症などのリスクが高く、まずは動物病院へ連れて行き健康診断を受けましょう。

動物病院では以下のような検査や治療が行われます。

  • 寄生虫の駆除:ノミやダニ、回虫などの駆除が必要となります。
  • ワクチン接種:感染症の予防のためのワクチンを接種します。
  • 感染症の検査:猫エイズや猫白血病などの感染症の検査を行います。

 マイクロチップの確認

保護した野良猫が、迷子になってしまった飼い猫である可能性もあります。動物病院などでマイクロチップの有無を確認してもらい、登録情報があれば飼い主に連絡することができます。

最近では飼い猫にマイクロチップを装着することが推奨されており、迷子猫の再会が進んでいます。

 安全な環境の準備

保護した野良猫を一時的に預かる場所を準備します。

新しい環境に慣れていない猫は最初は緊張したり、隠れてしまったりすることがあります。静かな部屋を用意し、猫が安心して過ごせるスペースを確保しましょう。猫用のベッドやトイレ、水や食事を置き、できるだけストレスをかけないように配慮しましょう。

野良猫を保護したら②飼育するか譲渡するかの選択

飼育を検討する場合

保護した野良猫を自身で飼育すると決めた場合、猫の一生を通じた責任命を預かるという責任を持たなければなりません。また、猫の平均寿命は15~20年とされており、長期にわたるお世話や費用がかかることを考慮する必要があります。

他にペットがいる場合には新しい猫との相性も確認し、慎重に判断しましょう。

新しい飼い主を探す(譲渡)場合

自分で飼育するのが難しい場合、新しい飼い主を探さなければなりません。譲渡先を探す場合、以下のような手段が考えられます。

  • 知人や友人に声をかける:信頼できる人に譲渡することで、安心して引き渡すことができます。
  • 譲渡サイトを利用する:最近では里親探し専用のサイトが普及しており、多くの人に譲渡情報を共有することが可能です。
  • 保護団体や譲渡会に参加する:譲渡条件や飼い主の審査も行われるため責任ある飼い主に出会える可能性が高くなり、適切な環境で猫が飼育されやすくなります。

野良猫を保護したら③地域猫活動としての管理

保護した猫がなかなか人に懐かない場合や、特定の地域で野良猫が増えている場合には、地域猫活動という選択肢もあります。

地域猫活動とは?

地域猫活動とは、地域で生活する野良猫に対して地域全体で適切に管理し、共生を目指す取り組みです。

具体的には、地域住民やボランティアが協力して野良猫に対する 避妊・去勢手術を行い、その後、元の場所で生活させることで繁殖を抑制します。さらに猫が暮らす環境を整え、適切な餌やりや排泄物の管理を行うことで、住民とのトラブルを減らし、猫が健やかに暮らせるようにするのが目的です。

地域猫活動は自治体や地域住民、ボランティアが協力して進めるもので、猫にとっても地域住民にとってもメリットがあります

避妊・去勢手術の重要性

避妊や去勢手術を行うことで、猫が増えすぎることを防ぎ、猫自身の健康も保つことができます。

繁殖期のストレスやけんかを避けられるため、猫の福祉が向上します。多くの自治体では、地域猫活動において去勢や避妊手術の費用を一部負担する制度が整備されており、飼い主がいない猫でも適切に管理できる環境が整いつつあります。

地域の合意が必要

地域猫活動を行うには、地域住民の理解と協力が不可欠です。野良猫の存在が問題視される地域では住民が話し合いを行い、地域猫活動の意義を共有することが重要となります。

また餌やりを行う場合は、決められた場所や時間に行い、残った餌を片付けるなど、地域住民への配慮も求められます。

野良猫を保護することの注意点

野良猫を保護することは動物福祉に貢献する素晴らしい行動ですが、多くの責任や注意点が伴います。

費用がかかる

野良猫を保護すると、健康診断やワクチン接種、治療、避妊・去勢手術など多くの費用がかかります。また譲渡までの間に必要な食事やトイレ用品など、日常的な費用も考慮する必要があります。

これらの費用は動物病院の協力や保護団体がサポートしてくれる場合もありますが、予算を確保することが難しいこともあります

人に対して攻撃的になる

野良猫は人に慣れていないことが多いため、人と触れ合うと大きなストレスを感じたり、人に対して攻撃的になる場合があります。子猫の場合は早期に人と触れ合うことで社会化が進みやすくなりますが、成猫まで成長してからの社会化は難しく時間がかかります

無理に抱っこしたり過度に接触を図るのではなく、猫のペースに合わせて少しずつ慣れさせることが大切です。

法律や地域ルールの確認

保護した野良猫を譲渡する場合や、地域猫活動を行う場合には、動物愛護法や自治体ごとの条例に従う必要があります。

自治体によっては野良猫に関する独自のルールが定められていることもあるため、事前に確認しておくことが重要です。

まとめ

  • 野良猫を保護することは、動物福祉の観点から非常に良いこと
  • 野良猫を保護したら動物病院で検査し、マイクロチップの有無を確認する
  • 野良猫を保護したら自身で飼育するか譲渡、保護団体に託す
  • 地域猫活動には周辺の住民の合意が必要

ABOUTこの記事をかいた人

古川菜々

愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士、愛犬飼育スペシャリスト、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。文章を通して猫ちゃんの魅力を発信し、また多くの飼い主さんの悩みや不安を解決することで、飼い主さんと猫ちゃんの幸せのお手伝いになれれば嬉しいです。