黄色脂肪症とは
脂肪が酸化して黄色くなる
黄色脂肪症(おうしょくしぼうしょう)とは、脂肪が酸化して黄色く変色し、炎症を起こした状態を言います。
イエローファット(=黄色い脂肪)とも呼ばれ、脂肪が酸化して固くかたまり、外から触るとしこりのようになります。
皮膚が変色するわけではない
黄色と聞くと体が黄色くなると思われるかもしれませんが、黄色く変色するのは脂肪だけなので皮膚の表面が黄色く見えるわけではありません。
黄色脂肪症の症状
黄色脂肪症によって引き起こされる症状として、
- 食欲がない
- しこりができる
- 体が熱っぽい
- 触ると痛がる、嫌がる
- ぎこちない動き
特に脂肪の多い腹部に注意して見ると症状が分かりやすいかもしれません。腹部にしこりや熱っぽさ、痛がりなどが確認できたら、黄色脂肪症の可能性が高いと言えます。
黄色脂肪症の死亡リスク
黄色脂肪症は死亡リスクが高い病気ではありません。しかし痛みや食欲不振などの症状も出てくるため、なるべく早く動物病院に連れていき治療を行うべきでしょう。
黄色脂肪症の原因
青魚の不飽和脂肪酸
猫が黄色脂肪症を発症する原因のほとんどは、青魚や植物油に豊富に含まれる「不飽和脂肪酸」の摂り過ぎだと言われています。
不飽和脂肪酸とは「オメガ3脂肪酸」と呼ばれ、魚系のキャットフードではどうしても多くなってしまいがちな成分の一つです。
不飽和脂肪酸とは
脂質の構成成分の一つ
不飽和脂肪酸とは脂質を構成する成分の一つです。血中の悪玉コレステロールを減少させるなどの優れた効果がある一方で、酸化しやすく劣化も起こしやすい特徴を持っています。
不飽和脂肪酸には、猫に必要な必須脂肪酸(オメガ6、オメガ3)もあるため猫にとっては必要な栄養です。しかし不飽和脂肪酸の過剰摂取や日常的な摂取は、黄色脂肪症を引き起こす原因となります。
不飽和脂肪酸が多く含まれる魚
青魚に多く不飽和脂肪酸が含まれていますが、具体的にどんな魚に多く不飽和脂肪酸は含まれているのでしょう。
- イワシ
- サバ
- サンマ
- アジ
- マグロ
- カツオ
マグロやカツオはキャットフードに含まれていることあり、猫におやつとして切り身を与えている方もいるかもしれません。
キャットフードが原因
さきほどほとんどが青魚が原因だと言いましたが、以前は普段与えているキャットフードが原因で猫が黄色脂肪症になることも多くありました。
現在は肉原料が多いキャットフードが増え、品質も見直されてきたため、キャットフードが原因で猫が黄色脂肪症になることはなくなってきましたが、すべてのキャットフードが安全とは言い切れません。
黄色脂肪症の治療方法
ビタミンE
脂肪の酸化を抑えるには「ビタミンE」が活躍します。ビタミンEには酸化をさせないように防止する力があり、キャットフードでも酸化防止剤としてビタミンEが使用されていることが多いです。
食事を変える
今まで不飽和脂肪酸が多い食事を続けてきた結果、猫が黄色脂肪症になってしまったわけですから、食事は不飽和脂肪酸の摂取を抑えられるキャットフードに切り替えます。
また猫におやつで魚を頻繁に与えていた場合は、それもやめにします。
薬で症状を抑える
黄色脂肪症によって脂肪は炎症を起こし、猫は痛みを感じたり食欲不振などの症状が引き起こされているので、薬を使って症状を抑えます。
長期的に続けていく
黄色脂肪症の治療では食事療法がメインになっていくので、完治までは時間がかかります。およそ1ヶ月から数ヶ月を目安に食事療法が続きます。