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ペルシャ猫(persia)の誕生・起源
ペルシャの起源は17世紀にまでさかのぼります。
イタリアの探検家ピエトロ・デラ・ヴァッレがイラン(旧ペルシャ)から連れ帰った猫が、最初のペルシャとされています。その後フランスやイギリスの貴族の間で人気を博し、愛玩用として広まりました。
19世紀後半、イギリスでペルシャの計画的な品種改良が本格化し、現在知られる独特のつぶれた鼻と豊かな被毛を持つ姿へと変化していきました。とくにビクトリア女王が愛したことで、その人気はさらに高まりました。
当初のペルシャは現在のような極端な短吻ではなく、より自然な顔立ちをしていましたが、20世紀に入るとショーキャットとしての特徴が強調され、フラットフェイス(短頭)タイプが主流となりました。
日本での人気は?
ペルシャは、日本でも長年にわたって根強い人気を誇る猫種のひとつです。とくにその豪華でふわふわの被毛、優雅な雰囲気、そしておとなしく落ち着いた性格が、日本の住環境や飼育スタイルにマッチしていることが人気の理由とされています。
アニコムの人気の品種ランキング(2024年)によると、ペルシャは15位に位置しています。(3,876頭)
ただし、近年では手入れが比較的楽な短毛種の猫を好む傾向もあり、ペルシャの飼育数はやや減少傾向にあるとも言われています。
チンチラ猫とも呼ばれる
日本では「チンチラ猫」という呼び方が一般的に定着しています。
これは、ペルシャ猫の中でも人気の高い「チンチラシルバー」や「チンチラゴールデン」といった毛色の個体が多く流通し、メディアやペットショップでも「チンチラ猫」と紹介されてきたためです。
ペルシャ猫の性格

- 穏やかでおっとりしている
慌ただしい環境よりも、静かで安定した空間が得意です。 - 鳴き声が小さく、自己主張が控えめ
過度に騒がず、上品な印象を与えます。 - 飼い主に対して控えめな愛情表現
甘え方は控えめですが、信頼するとそっと寄り添ってきます。 - 運動量は少なめでのんびり屋
ジャンプや走り回るより、日なたぼっこを好む子が多いです。 - 人見知り傾向があるが、慣れると甘える
初対面には慎重でも、時間をかけて心を開きます。
ペルシャは優雅で落ち着いた性格で、基本的に穏やかで物静か、安定した生活環境を好む傾向があります。激しい運動や活発な遊びよりも、ゆったりと過ごす時間を大切にしています。
ペルシャは静かに寄り添ってくれる“癒し系”の存在として、落ち着いた暮らしを求める人におすすめです。
ペルシャ猫の毛色・模様

ペルシャの豊かな長毛は絹のような手触りで、品種改良の歴史とともに多彩な毛色や模様やバリエーションが確立されてきました。
とくに、猫の被毛の先端にだけ色素が入る毛色パターン「ティッピング」は光沢感と高級感があり、飼い主の中でも人気が高いです。
- ソリッド(単色)
ホワイト、ブラック、ブルー、クリームなどの一色で構成された毛色。最もクラシックなタイプです。 - タビー(縞模様)
クラシックタビー、マッカレルタビーなどがあり、額に「M字模様」が見られるのが特徴です。 - パーティカラー
複数の色が混ざり合った毛色。トーティー(サビ)やキャリコ(三毛)などが代表的。 - バイカラー/ハーリクイン
白をベースに、ブラックやブルーなどの色が混ざるデザイン。顔や背中などに色が入ります。 - ポイントカラー
シャム猫のように顔・耳・足・尻尾に色が入り、体は薄い色をしているタイプです。 - チンチラシルバー
真っ白なアンダーコートに毛先だけが黒く色づいた美しい銀色の被毛。ティッピングがある。
- チンチラゴールデン
淡い黄金色のアンダーコートに黒や濃い茶の毛先が入り、温かみのある印象。ティッピングがある。
このように、ペルシャはカラーバリエーションの豊富さから「自分好みの一匹」を見つけやすい猫種といえます。
ペルシャ猫の顔・体型
丸く愛らしい顔立ち


ペルシャは短頭種に分類されます。顔立ちは主に2つのタイプがあり、見た目の好みによって選ばれる傾向があります。
- エクストリームタイプ
鼻が極端に低く、顔が平たいのが特徴。目が大きく印象的ですが、涙やけや呼吸の問題が出やすい傾向がある。 - ドールフェイスタイプ
鼻筋が通り、穏やかな表情が魅力で人気が高い。
ずんぐりとした体型
ペルシャの体型はコビータイプに分類されます。
骨太で筋肉質、足は短めでしっかりとした体つきをしています。全体的に丸みを帯びたフォルムで、胸幅が広く、がっしりとした印象を与えます。
長く豊かな被毛がこの体型をさらにふっくらと見せ、まるでぬいぐるみのような愛らしさを演出しています。
ペルシャ猫の飼い方・飼いやすさ

安全でストレスがない生活を送るために、ペルシャの飼い方を把握しましょう。
生活環境
ペルシャは静かで落ち着いた環境を好む猫種です。騒がしい音や急な環境の変化にストレスを感じやすいため、穏やかな空間を整えることが大切です。
運動量が少なくジャンプもあまりしないため、高さよりも広さと安心感を意識したレイアウトが理想です。柔らかいベッドや毛が絡みにくいカーペットなど、くつろげる場所を用意してあげましょう。
また、長毛の被毛が抜けやすいため、床掃除や空気清浄も意識して清潔な環境を保つことが快適な暮らしにつながります。
ブラッシング
ペルシャは絹のような美しい長毛が魅力ですが、その分、日々のブラッシングが欠かせません。
毛玉やもつれを防ぐためには、毎日1回、5〜10分程度のブラッシングを習慣化し、毛の根元から優しくといてあげましょう。毛玉ができやすい脇や内もも、首周りなどはとくに丁寧に行う必要があります。
抜け毛が多い換毛期には頻度を増やす必要があります。定期的にプロのトリマーにシャンプーやカットを依頼するのもおすすめです。
食事管理
ペルシャは運動量が少ないため、太りやすい傾向があります。適切な体重を維持するには高カロリーすぎないキャットフードを選び、給与量と回数をきちんと管理することが大切です。
また、顔が平たい構造のため一般的な深めの器だと食べづらく、浅めで広口の食器がおすすめです。
毛球症のリスクを軽減するため、毛玉ケア対応のキャットフードや繊維質の多い食事を取り入れると良いでしょう。
遊び
ペルシャ猫は活発に遊びまわるタイプではありませんが、緩やかな刺激やふれあいを好む穏やかな猫です。
激しい追いかけっこやジャンプなどの激しい運動よりも、静かに遊べるおもちゃが向いており、羽根や紐がついた猫じゃらしをゆっくり動かしたり、おやつを中に入れる知育ボールなどを活用しましょう。
初心者でも飼いやすい?
ペルシャは性格が穏やかで攻撃性も少ない猫種ですが、ブラッシングや毛玉対策、涙やけのケアなど日々のお手入れが多いため、初めて猫を飼う方にはややハードルが高いと感じられるかもしれません。
ペルシャ猫のかかりやすい病気

猫種に限らず、猫は猫下部尿路疾患や肥大型心筋症、歯周病にかかりやすい傾向にあります。ここでは、これらの病気以外でペルシャがかかりやすい病気をご紹介します。
流涙症(涙やけ)
ペルシャがかかりやすい病気の代表的なものとして「流涙症」があります。
流涙症とは、涙が過剰に分泌されたり、正常に排出されずに目の周りが常に濡れた状態になる疾患で、いわゆる涙やけのことです。
ペルシャのように鼻が低く涙の排出路が狭い猫種でよく見られ、症状が進行すると皮膚炎を起こすこともあります。
多発性嚢胞腎
ペルシャは、遺伝的に多発性嚢胞腎(PKD)を発症しやすいと言われています。
多発性嚢胞腎とは優性遺伝によって子に伝わる病気で、腎臓に嚢胞ができて徐々に機能が低下していき、無症状のまま進行することもあります。
ペルシャは人気が高く、特定の血統が集中的に繁殖が行われたことでPKD遺伝子を持つ個体が増加したと言われています。
毛球症
毛球症とは、猫が毛づくろいの際に飲み込んだ被毛が胃や腸に溜まり、毛玉となって体外に排出されず、消化器官に詰まってしまう状態を指します。
通常は便と一緒に排出されますが、ペルシャのような長毛種は飲み込む毛の量が多いためうまく排出できないことがあり、注意が必要です。
ペルシャ猫の価格

ペルシャ猫の価格は血統や毛色、顔立ち、購入先などによって大きく異なります。
- ペットショップ:10~30万円
- ブリーダー経由:10~40万円
とくに人気の「チンチラシルバー」や「チンチラゴールデン」などの毛色や、ショータイプの個体はさらに高額になる傾向があります 。
価格は猫の特徴や販売元によって変動するため、予算と希望に合った信頼できる購入先を選ぶことが大切です。
お迎えする前にチェック!5つの質問でわかるペルシャ猫との相性診断
実際に猫と暮らしてみると、お世話の大変さや工夫が必要になることに直面します。可愛い・憧れだけでお迎えすると、あとから「思っていたのと違った…」と感じてしまうことも少なくありません。
そのため、猫をお迎えする前に「自分とその猫種が合っているのか」を確かめることが大切です。
ここでは、あなたとペルシャとの相性がわかる「5つの質問」をご用意しました。ぜひ試してみましょう!
ペルシャとの相性診断 | |
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Q1 | 毎日のブラッシング、むしろ癒しタイムだと思える? |
はい → +2点 まあまあ → +1点 面倒かも → 0点 |
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Q2 | おっとり静かな猫とのんびり過ごしたい? |
はい → +2点 気分による → +1点 遊び好きな猫がいい → 0点 |
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Q3 | 抜け毛や毛玉の掃除に、ある程度手間がかかっても大丈夫? |
はい → +2点 できれば少ないほうが… → +1点 苦手 → 0点 |
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Q4 | 自宅にいる時間が比較的長い? |
はい → +2点 平日はあまりいない → +1点 ほとんど家にいない → 0点 |
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Q5 | 何より、見た目の美しさよりも“心の相性”を重視する? |
はい → +2点 両方大事 → +1点 どちらかというと見た目派 → 0点 |
※この相性診断は、猫を初めて飼う方にも分かりやすく、メインクーンの一般的な性格傾向をもとに作成しています。実際には猫にもそれぞれ個性があるため、何よりも大切なのは今そばにいる猫ちゃんとの関係性です。
診断結果
・8〜10点:あなたはペルシャととても相性がいいタイプ!
のんびり過ごす時間に幸せを感じるあなたなら、ペルシャとの暮らしがきっと心地よいものになるでしょう。
・4〜7点:相性はそこそこ。工夫次第でうまくいくかも?
ライフスタイルによっては、ややギャップを感じることも。事前の準備や知識をしっかり持つことが成功のカギです。
・0〜3点:もしかすると他の猫種のほうが合うかも…
ペルシャの特性に合わない部分があるかもしれません。他の猫種も検討して、自分にぴったりの子を見つけましょう。
まとめ
ペルシャ猫の特徴や飼い方をしっかりと理解することで、より快適で幸せな生活を送ることができます。
美しい被毛のケアや穏やかな性格に合わせた環境づくりは手間がかかる一方で、その分だけ深い絆も生まれます。
ペルシャならではの魅力に寄り添いながらゆったりとした毎日を楽しむことで、かけがえのないパートナーになっていくでしょう。