キャットフードの原材料:枝豆(green soybean)
枝豆とは、大豆が完熟する前の若い状態、つまり未成熟の状態で収穫したものです。植物分類学上は、枝豆は野菜類、大豆は豆類に分類されます。サッと茹でるだけで食べられる手軽さと美味しさ、見た目の鮮やかさで、おうちに常備している方も多いのではないでしょうか。
猫は枝豆を食べても大丈夫です!栄養が豊富で、スーパーフードともよばれています。
枝豆の栄養素とメリット
下表は、茹でた枝豆と大豆100gあたりの栄養素です。
枝豆 | 大豆 | ||
---|---|---|---|
エネルギー | 118 | 163 | kcal |
水分 | 72.1 | 65.4 | g |
たんぱく質 | 11.5 | 14.8 | g |
脂質 | 6.1 | 9.8 | g |
β-カロテン | 260 | 3 | μg |
葉酸 | 260 | 41 | μg |
※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
※Tr:成分は含まれているが、最小記載量に達していないことを示す
枝豆は大豆よりもビタミンCやβ-カロテン、葉酸が豊富に含まれ、栄養価が高いことが分かります。未成熟の状態だからといって、栄養素が劣っているというわけではないのです。
たんぱく質
たんぱく質といえば肉や大豆、魚をイメージしますが、実は枝豆にも豊富に含まれているんです。それは「畑の肉」とよばれる大豆に匹敵するほど。なんと、野菜類のたんぱく質量ランキングでは11位に入っています。
たんぱく質は筋肉や内臓、皮膚、被毛など体作りに欠かせない栄養素で、ホルモン生成や免疫力向上の材料にもなります。
人や犬は炭水化物をエネルギー源としますが、猫はたんぱく質をエネルギー源にします。猫はたんぱく質を体内で生成することができないため、食べ物から摂取しなければなりません。総合栄養食であるキャットフードを食べていればたんぱく質が不足することはありませんが、キャットフードへの食いつきが悪い子や、消化機能が低下しているシニア猫の場合は、摂取量をきちんと管理しましょう。
β-カロテン
β-カロテンは抗酸化作用を持ちます。抗酸化作用とは細胞の老化の原因となる活性酵素を除去する働きを持ちます。細胞の生成や修復を行い、皮膚や粘膜の健康維持、老化やがんの予防に効果的です。
活性酵素は運動不足・必要以上の運動、睡眠不足、飼い主さんとのコミュニケーション不足、ご飯が美味しくない、など日々の生活でどうしても増えていくものなので、それを除去することが大切です。
葉酸
葉酸はビタミンB群の一種で、赤血球を生成するため「造血のビタミン」ともよばれています。DNAの合成や貧血の予防、神経組織の発達、細胞の生成や再生をサポートします。
葉酸は腸内細菌の働きによって合成されたあと肝臓に貯蔵されるため、食べ物から摂取する必要はありません。しかし細胞分裂が活発に行われる成長期の子猫や妊娠・授乳中の母猫は、十分な量の葉酸を摂取しないと葉酸欠乏症となります。
妊娠・授乳中の母猫は葉酸欠乏症になると胎児形成異常が起こる恐れがあるため、十分な量の葉酸の摂取が大切となります。
枝豆を与えるときの注意点
生の枝豆は与えない
生の枝豆には「トリプシンインヒビター」とよばれる成分が含まれています。トリプシンインヒビターとはたんぱく質の分解を妨げる作用があり、摂取すると下痢や嘔吐などの消化器の症状があらわれます。トリプシンインヒビターは加熱調理すると分解されるので、猫に与えるときは必ず茹でましょう。
枝豆を茹でるときは、塩茹でしてはいけません。またスーパーで売っている冷凍の枝豆も、加工の段階で塩を入れている可能性があります。猫にとっては塩分過多となるので、十分に気を付けましょう。
枝豆の薄皮は与えない
猫に枝豆を与えるときは、薄皮を取り除きましょう。人であればそのまま食べますが、猫にとっては薄皮は消化不良となり、胃腸に大きな負担となります。
小さくカット、またはペースト状にする
枝豆は加熱しても歯ごたえがある食べ物です。喉に詰まったり傷つける恐れがあるので、猫に与えるときは必ず小さくカットするか、ペースト状にしましょう。
与えすぎると肥満につながる
枝豆は100gでエネルギー118kcal、脂質6.1gと、他の野菜類に比べて高い数値です。1粒が小さいので猫が欲しがるままに与えてしまうかもしれませんが、体の小さな猫にとってはカロリーオーバーで肥満になる恐れがあります。
脂質は、適正摂取量であれば皮膚の乾燥を防いだり被毛の毛ツヤが良くなりますが、与えすぎには注意しましょう。
キャットフードのトッピングや手作り食、おやつなどで枝豆を与える場合は週1回程度にし、1日の総摂取カロリーの10%が適正となります。
まとめ
- 枝豆は大豆よりもビタミンやミネラルが豊富
- 枝豆は大豆に匹敵するほどのたんぱく質を含む
- 生の枝豆は消化器症状があらわれるため、必ず加熱して与える