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キャットフードの原材料:うずらの卵(quail eggs)
うずらの卵は、キジ目キジ科ウズラ属に分類されるうずら(クエール)という鳥が産む卵です。うずらは日本に生息する鳥で、正式名称は二ホンウズラ。フランスではジビエの高級食材として調理されていますが、日本では環境省により絶滅危惧種に指定されています。
今回は、猫にうずらの卵を与えるメリットやデメリットについてご紹介します。
うずらの卵を使用したキャットフードは少ない
うずら肉は多くのキャットフードやおやつに使われることが多く、原材料欄にはウズラやウズラ生肉などと記載されています。ちなみに、似たような名前で原材料欄に乾燥うずらと記載されているものもありますが、これはインゲンマメの一種で豆類となります。
キャットフードの原材料として卵はよく使用されますが、そのほとんどはニワトリの卵の鶏卵です。
うずらの卵を原材料として使用しているキャットフードは非常に少ないため入手が困難ですが、アメリカのメーカーティキキャットでチキン&うずらたまごというキャットフード(総合栄養食)ではうずらの卵を使用しています。
鶏卵との栄養素の違い
下表は、うずらの卵と鶏卵の栄養素です。
うずらの卵 | 鶏卵 | うずらの卵 | 鶏卵 | ||
---|---|---|---|---|---|
100gあたり | 100gあたり | 1個(約13g) | 1個(約50g) | ||
エネルギー | 157 | 142 | 20 | 71 | kcal |
タンパク質 | 12.6 | 12.2 | 1.6 | 6.1 | g |
脂質 | 13.1 | 10.2 | 1.7 | 5.1 | g |
鉄分 | 3.1 | 1.5 | 0.4 | 0.8 | mg |
ヨウ素 | 140 | 33 | 18 | 17 | μg |
セレン | 46 | 24 | 6 | 12 | μg |
ビタミンD | 2.5 | 3.8 | 0.3 | 1.9 | μg |
ビタミンB2 | 0.72 | 0.37 | 0.09 | 0.19 | mg |
ビタミンB12 | 4.7 | 1.1 | 0.6 | 0.6 | μg |
葉酸 | 91 | 49 | 12 | 25 | μg |
※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
うずらの卵はビタミンやミネラルが豊富に含まれています。100gあたりの栄養素量で比較すると、葉酸と鉄分は鶏卵の約2倍、ヨウ素とビタミンB12は鶏卵の約4倍も含まれています。
とくにヨウ素とビタミンB12に関しては、卵の大きさに約5倍の違いがあるにも関わらず、うずらの卵1個でも鶏卵1個を上回る含有量です。
うずらの卵の栄養素とメリット
- 鉄分:赤血球中のヘモグロビンの材料。全身に酸素を運ぶ働きを持ち、脳の機能向上、肌や髪の健康維持に役立つ。
- ヨウ素:皮膚を健康に保つ。コレステロールの上昇を防ぐため、ダイエット効果も。
- セレン:抗酸化作用により活性酵素を除去して細胞を修復。ガンや老化の予防効果も。
- ビタミンD:カルシウムの吸収を促進し、骨や歯を丈夫にする。
- ビタミンB12:赤血球の形成をサポートし、貧血予防に。たんぱく質の合成や細胞の増殖にも使われる。
- 葉酸:細胞の生成や修復、神経組織の発達、DNAの合成など。赤血球を生成するため「造血のビタミン」とよばれている。
猫にうずらの卵を与えるときの注意点
生で与えてはいけない
鶏卵と同様、うずらの卵は生で与えてはいけません。
生の白身に含まれるアビジンというたんぱく質の一種が、ビタミンB7(ビオチン)の吸収を阻害してしまいます。そうなると「ビオチン欠乏症」となり、皮膚炎や脱毛症、神経異常を引き起こす可能性があります。
黄身にはアビジンは含まれていませんが、白身と黄身を完全に分離することは難しく、生食による病原菌の危険のリスクが高いため生食はおすすめできません。
アビジンは加熱処理によって性質が失活するため、猫に与えるときは必ず加熱しましょう。
与えすぎに注意
うずらの卵は小さくて食べやすいサイズであるため、おねだりされるままに与えてしまいがちですが、過剰摂取は肥満につながります。うずらの卵は低脂質とはいえ、猫のエネルギー摂取量や運動量などを考慮して与えなければなりません。
うずらの卵のおすすめな与え方
高たんぱく・低脂質
うずらの卵は鶏卵と比べても高たんぱくで低脂質です。そのためタンパク質を多く摂取しつつ、脂質を抑えることができます。活発に動き回る猫や、運動好きな猫、ダイエット中の猫におすすめです。
小さくカットする
加熱したうずらの卵は小さくカットします。うずらの卵は猫にとっては大きく、カットせずに丸飲みすると喉に詰まったり胃腸へ大きな負担となります。キャットフードへのトッピングやおやつ、ご褒美として与えましょう。
与える頻度は1週間に1回程度で、1日のエネルギー摂取量の10%程度の量が適切となります。
まとめ
- うずらの卵を原材料として使用しているキャットフードは非常に少ない
- ヨウ素とビタミンB12は、うずらの卵1個で鶏卵1個を上回る含有量
- うずらの卵は高たんぱく・低脂質
- うずらの卵を与えるときは必ず加熱する