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大豆は非常に栄養価が高いのでメリットも沢山ある食べ物です。ただ猫にとっては気になる点がいくつかあるので、それらを考慮して大豆を不使用にしているメーカーさんは多いかもしれません。
ここでは大豆の良い面も悪い面も両方知っていただくことで、原材料として大豆が愛猫に必要かどうか判断していただければと思います。
キャットフードの原材料:大豆
大豆は機能性に優れています
大豆は植物の中では唯一肉に匹敵するだけのタンパク質を含んでいるので「畑の肉」とも呼ばれています(アメリカ合衆国では「大地の黄金」)。
栄養価の高い食材で、健康面や美容面において様々な効果が期待されています。
キャットフードでは大豆不使用が多い
キャットフードではエンドウ豆、レンズ豆、ヒヨコ豆など様々な豆類が使用されていますが、大豆に限っては、あえて配合しないメーカーも多いです。
それは大豆によるアレルギーや腎臓への負担などの理由がありますが、それは下で詳しくお話していきたいと思います。
大豆の栄養素
栄養分析表
タンパク質 | 35g | |
脂質 | 19g | |
炭水化物 | 28g | |
ミネラル | カリウム | 1900mg |
ナトリウム | 1mg | |
カルシウム | 240mg | |
マグネシウム | 220mg | |
カロリー | 100g | 417kcal |
タンパク質や脂質、炭水化物が主成分で構成されています。他の豆類だと炭水化物や食物繊維が主成分となりますが、大豆は肉や魚のようにタンパク質が主成分となります。これが畑の肉と言われる所以です。また脂質量も多く、カロリーも他の豆類に比べて高めです。
キャットフードでは脂質源として大豆から抽出した大豆油(植物油)が使用されることもあります。
他食品とのタンパク質量比較
大豆は非常に高タンパクな食材です。これはタンパク質が豊富と言われる肉や魚以上です。たとえばタンパク質量(100g中)で比べると、肉類や他の豆類と比べても、大豆のタンパク質量は他より頭ひとつ抜けています。
タンパク質量比較表 | 100g中の含有量 | ジャンル |
---|---|---|
大豆 | 35g | 豆 |
卵黄 | 30g | 動物原料 |
そら豆 | 26g | 豆 |
鶏モモ肉 | 25g | 肉 |
エンドウ豆 | 21.7g | 豆 |
サバ | 20.7g | 魚 |
牛肉 | 14.4g | 肉 |
この栄養表には記載されていませんが、大豆のタンパク質はグリシニンやイソフラボンなどのアミノ酸から構成されており、それぞれ注目の働きや効果があります。
キャットフードに大豆を使用するメリット
- 肉に匹敵するタンパク質が得られる
- 血中コレステロールを調整、心臓疾患の予防
- サポニンによる抗酸化作用
- 大豆は血糖値を急激に上げにくい低GI食材
猫のエネルギー源となるタンパク質を摂取
タンパク質は猫にとって、体の構成や一部となる役割の他に、エネルギー源として利用される役割も兼ねています。
大豆には植物性タンパク質が豊富に含まれており、最近は植物性タンパク質も肉や魚と同じくらいの利用が可能と言われているのでタンパク源としては含有される価値があると思います。
血中コレステロールを調整、心臓疾患の予防
大豆に含まれるタンパク質はグリシニンやβ-グリシニンには、血中コレステロールと中性脂肪量を低下させる働きがあります。このため大豆を摂取することは、ひいては心臓疾患の予防につながることが考えられています。
FDA(米国医薬局)でも大豆タンパク質の心臓疾患リスクの軽減には効果的としています。猫に完全に当てはまるかは微妙ですが、遺伝的に心臓疾患の心配がある猫種を飼われているなら調べてみてもいいかもしれません。
大豆サポニン・レシチンは天然乳化剤
大豆にはサポニンやレシチンという成分が含まれ、天然由来の乳化剤としても利用されています。サポニンは種類によっては血糖値の上昇を抑える作用や抗酸化作用などもあり、食品添加物としても使用される機能的な成分です。
レシチンには大豆由来または卵黄由来のものがありますが、卵黄由来のレシチンよりは卵黄由来と記載があることが多いようです。大豆レシチンの方が安価であるため、多くは大豆由来のレシチンが使用されています。
血糖値が上がりにくい低GI食材
大豆は食べた直後に血糖値が急激に上がりにくい低GI食材としても注目です。
じゃがいもやトウモロコシなどは食べた直後に血糖値が上がりやすい高GI食材ですが、低GI食材の大豆は食べた後にゆるやかに血糖値が上昇するため、糖尿病や肥満の猫にも嬉しい食材です。
キャットフードに大豆を使用するデメリット
- 大豆はアレルギー反応を起こしやすい
- 甲状腺機能亢進症の原因…?
- 植物性タンパク質の分解によるアンモニア
- アミノ酸のバランスが悪い
アレルギー反応を起こしやすい
大豆はアレルギー反応を起こしやすいため、小麦やトウモロコシと並んで、キャットフードでは避けられる食材の一つです。肉や魚に比べればアレルギー性は低いですが、基本的にアレルギー性が低い豆類と比べると、大豆のアレルギー性は高いと言えます。
アレルギー反応が出ると猫には下痢や嘔吐、皮膚の炎症、脱毛などの症状が現れてしまうので、アレルギー体質の猫は特に注意した方がいいかもしれません。
イソフラボンが甲状腺機能亢進症の原因
猫に多い「甲状腺機能亢進症」という病気は大豆に多く含まれる「イソフラボン」という成分が原因ではないかとも囁かれています。
イソフラボンはエストロゲン(女性ホルモン)に似た構造の成分で化粧品や健康面でも注目の成分です。しかし大豆イソフラボンが甲状腺の働きに影響を与える可能性があるとも言われています。
キャットフードの普及と共に猫の甲状腺機能亢進症は増えていったというデータから、大豆に含まれるイソフラボンが原因という説が有力視されています。
しかし現在、人を対象した研究でも大豆イソフラボンの摂取によって甲状腺ホルモンレベルに臨床的に変化をもたらすという結果は得られていません。またイソフラボンと猫の甲状腺機能亢進症に関する有力な研究結果もないことから、実際どうなのかはまだわかっていません。
植物性タンパク質は腎臓や肝臓に負荷がかかる
大豆の強みであるタンパク質量ですが、植物性タンパク質は肝臓の酵素によって分解される際、有害なアンモニアを発生させます。
アンモニアは肝臓で解毒され腎臓に運ばれますが、その際に肝臓と腎臓への負荷が大きくなることから、植物性タンパク質は補助的な役割でとどめておくのが望ましいとされています。
大豆のアミノ酸はバランスが悪い
大豆にはタンパク質量自体は非常に多く含まれていますが、猫に必要なアミノ酸が大豆でバランスよく摂取できるわけではありません。
アミノ酸のバランスが悪いと合成できるタンパク質が制限され、体内で十分なタンパク質を合成することができなくなります。このためアミノ酸はバランス良く摂取する必要がありますが、大豆だけではそれが叶いません。
大豆が使用されているキャットフード例
- デフキャットフード
- ピュリナワン
- モンプチ
- ねこまんま
キャットフードの大豆まとめ
- 栄養価が高く肉に匹敵するタンパク質量
- 心臓疾患の予防が期待されている
- タンパク質量は多いがアミノ酸のバランスは良くない