キャットフードにはドライタイプ、ウェットタイプ、半生タイプ、療法食などさまざまな種類があります。猫の好みや体質によって与えるキャットフードは異なりますが、猫と暮らしている飼い主さんの約9割がドライフードを使っているそうです。
ドライフードは正しい方法で保存しないと、開封して時間が経つごとに酸化が進み、品質が下がっていきます。とくにジメジメする梅雨や、猛暑が続く夏、朝晩の寒暖差が激しい秋口などは劣化の進みが格段に早くなるだけでなく、カビやダニが発生する恐れがあります。
この記事では猫のドライフードに着目して、劣化の原因や正しい保存方法についてご紹介します。
ドライフードを正しく保存しないとどうなる?
ドライフードをきちんとした保存方法で行わないと、さまざまなリスクを伴います。
虫が侵入する
ドライフードの水分含有量は10%ほど、もしくはそれ以下なので、ウェットフードよりも腐りにくく、長期保存に適しています。
しかし開封後にきちんと密閉しないと、わずかな隙間でも虫が侵入してしまいます。
カビが発生する
ドライフードを冷蔵庫や冷凍庫で保存してはいけません。
冷蔵庫や冷凍庫からの出し入れを繰り返すと温度変化によって結露してしまい、カビが発生する恐れがあります。
ダニが発生する
開封してから日数が経ったドライフードは、ダニが発生しやすくなります。
ダニは①温度25~35℃、②湿度70~80%、③ダニのエサとなるもの、これらの条件がそろったときに発生しやすくなります。
カビやダニが発生したドライフードを食べてしまうと体調不良になったり、アレルギーを発症する恐れがあります。一度アレルギーを発症すると完治は難しいため、未然に対策することが大切です。
酸化が進む
総合栄養食であるドライフードには、脂質が必ず一定量が含まれています。脂質は猫にとって必須栄養素ですが、空気に触れるとどんどん酸化が進み、「過酸化脂質」という猫の健康に害のあるものに変わってしまいます。
過酸化脂質を日常的に摂取すると嘔吐や下痢などの消化器症状や、痒みや赤みなどの皮膚症状が起こり、また悪玉コレステロールが溜まって心筋梗塞や動脈硬化、ガン、アレルギーなどを引き起こす恐れがあります。
栄養価や風味が落ちる
ドライフードの酸化や劣化に伴って栄養価や風味は落ちます。猫が最後の1粒まで美味しく栄養をきちんと摂取できるよう、きちんと保存しましょう。
フードへの食いつきが悪くなる
ドライフードの栄養価や風味が落ちると、食いつきが悪くなってしまいます。とくに猫はグルメな子が多いので、少しでも味や匂いに違和感を持つと興味を持たなくなってしまいます。
ドライフードの正しい保存方法
開封前:袋のまま冷暗所に保存
開封前のドライフードは、冷暗所に保存しましょう。直射日光が当たる場所や高温多湿の場所は避けてください。また虫やネズミなどからの害を避けるため、床に直置きするのではなく、床から浮かせて収納ことがおすすめです。
開封後:小分けにして冷暗所に保存
開封後のドライフードは小分けにすることで、空気に触れる面積や時間を減らすことができます。とくに大袋で購入した場合は開け閉めする回数が多いため、必ず小分けにしてください。
虫よけ&除湿の製品を使う
ドライフードの劣化を防ぐには、虫除け&除湿する製品がおすすめです。
酢酸メンチルによって虫を寄せ付けず、また無香なのでドライフードに匂いが付く心配がありません。さらに除湿効果のある塩化カルシウムにより、湿気を防ぎます。
ドライフードの袋にそのまま入れるだけという手軽さがあり、効果は1か月ほど続きます。
開封後は1ヵ月で使い切る
ドライフードは保存性に優れ、またコスパが良いので人気ですが、実は賞味期限に注意が必要です。
開封前のドライフードに記載されている賞味期限はほとんどが1年~1年半となっていますが、開封後は1ヵ月で使い切るのがおすすめです。開封した日をメモに残したり、パッケージに書いておきましょう。
1ヵ月を過ぎたからといってすぐに捨てなければならないわけではありませんが、風味の損失や酸化によりキャットフードへの食いつきが悪くなる可能性があります。
ドライフードのおすすめ保存容器
フードストッカー
フードストッカーはペットフードを保管する目的で作られています。そのため密閉性が高く、ドライフードの取り出しも簡単で、大容量を入れるのに特化しています。
ドライフードをフードストッカーに移し替えるときは、一緒に食品用の乾燥剤や脱酸素剤を入れるのがおすすめです。
乾燥剤とは、空気中の水分を吸収し、乾燥の状態を維持することができます。
脱酸素剤とは、お菓子の袋などに入っている「食べられません」と書かれた白い小さい袋のことです。無酸素状態を作り出し、酸化の進行を防止することができます。ドライフードに直接触れないよう、フタの裏側に貼り付けましょう。
フードディスペンサー
ドライフードを一定量だけ取り出せる便利なアイテムです。ご飯のときに毎回測る必要がなく、猫の健康管理に欠かせない優れものです。
タッパー
ドライフードを入れる量や収納場所などによって、多種多様な大きさや形状を選ぶことができます。100円ショップでも購入できるのもおすすめのポイント。1食分などで小分けする場合は、できるだけコンパクトなものにしましょう。容器が大きいと空気に触れる面積や時間が増え、酸化が進みやすくなります。
商品によってはきちんと密閉できないものもあるので、機能性を確かめてから購入しましょう。
チャック付きの保存袋
ジップロックなどのチャック付きの保存袋は、1食分など少量の小分けにおすすめです。旅行やお出かけなどに良いでしょう。空気を抜いて薄くすれば収納にも困りません。使い捨てなので衛生面も安心です。
しかし毎日の消費を考えると、コストがかかるのがデメリットです。
ペットボトルはNG!
ペットボトルは密閉性が高く手軽に手に入るためドライフードの小分けとして使う方も多いですが、おすすめできません。
ペットボトルにもともと入っていた飲料の匂いが、ドライフードに移ってしまう恐れがあります。また細長い形状による洗いにくさと乾きにくさから、菌が繁殖しやすいというデメリットがあります。
ドライフードの劣化を見極める方法は?
ドライフードが劣化している場合、下記のような変化があらわれます。
- 購入したときと明らかに匂いが違う
- 袋内に結露やカビが生じている
- 触ると油分でベタついている
- 猫がドライフードへの食いつきが悪くなる
- 猫がドライフードの匂いを嗅ぐ時間が長い
オイルコーティングをしていないドライフードでも季節・気候によりフードの表面に脂質が溶け出ることがありますが、主原料がお肉やお魚のため、当然といえば当然です。ドライフードの表面に油分を感じるからと言って劣化しているとは限りません。心配な場合はメーカーに問い合わせてみましょう。
いつも猫に与えているドライフードがどのような匂いなのか、触感はどうか、を知っておくことが大切です。
まとめ
- ドライフードを正しく保存しないとカビやダニの発生、酸化や劣化などさまざまなリスクが起こる
- ドライフードの開封前と開封後は、どちらも冷暗所での保管がおすすめ
- 虫除け&除湿の製品、乾燥剤や脱酸素剤との併用がおすすめ