猫はアセロラを食べても大丈夫!全食材でNO.1のビタミンC量。抗酸化作用で老化予防に

猫はアセロラを食べても大丈夫!全食材でNO.1のビタミンC量。抗酸化作用で老化予防に

アセロラ(acerola)

アセロラとはキントラノオ科ヒイラギトラノオ属の果実です。鮮やかな赤色と形状はさくらんぼに非常に似ています。「ビタミンCの王様」「美肌フルーツ」「赤い宝石」などさまざまな呼び名がある通り、アセロラには健康や美容に良い栄養素が豊富に含まれています。

アセロラはキャットフードの原材料として使用されることはあまりありませんが、猫用ドリンクやサプリ、粉末などに多く使用されています。

なんと、アセロラは全食材の中で1位のビタミンC含有量なんです!

猫田
 猫はアセロラを食べても大丈夫です!しかしアセロラジュースやアセロラゼリーなどの加工品はNG!

アセロラに含まれる栄養やビタミンCの効果について、また与え方の注意点などをご紹介します。

ビタミンCの豊富な栄養効果について

アセロラには、酸味種と甘味種の2種類があります。酸味種は甘みが少なく酸っぱいため、主にアセロラジュースやアセロラゼリーなどの加工品に使用されます。甘味種は甘みが強く酸っぱさが少ないため、生食用に使用されます。

アセロラの酸味種と甘味種では栄養素に差は全くありません。しかしビタミンCに関しては、含有量に2倍以上の差があります。また、ビタミンCが豊富なイメージのキウイやレモン、オレンジと比べてみてもその差は歴然です。

ビタミンC含有量(g)
アセロラ(酸味種)1700
アセロラ(甘味種)800
キウイ140
レモン100
オレンジ60

※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

肝臓で生成・貯蔵

健康な猫はビタミンCを肝臓で生成して貯蔵することができるため、基本的に食べ物から摂取する必要はありません。

しかし内臓機能が未発達の子猫や妊娠・授乳中の母猫などは、適正ビタミンC摂取量よりも多くを必要とします。また、生成能力が低下しているシニア猫や、キャットフードへの食いつきが悪い子、食欲不振の子などは十分にビタミンCを摂取できない傾向にあります。

体内のビタミンCが不足している分を少しでも補うために、定期的にアセロラを与えると良いでしょう。

強い抗酸化作用

ビタミンCの抗酸化作用によって体内に蓄積された活性酵素を除去し、細胞の再生や修復を行います。そのため、老化の予防やがんの予防、皮膚や粘膜の健康維持、免疫力の向上に期待ができます。

白内障の予防

猫の高齢化に伴い、よくみられる病気に白内障があります。7~8歳あたりから発症率が上がりますが、これは水晶体(眼のレンズ)の酸化ストレスが関わっています。

白内障は、太陽の紫外線に当たることで水晶体の中に活性酵素が作られ、透明なはずの水晶体が徐々に白くなる病気です。猫は体内でビタミンCを生成することができますが、他の動物と比べて生成能力が低いため、老化に伴って酸化ストレスに負けてしまいます。

そのため、白内障の予防としてビタミンCを摂取することが重要となります。

コラーゲンの生成

ビタミンCはコラーゲンを生成し、ケガの治癒力の向上、関節の強化、口内の病気の予防などに期待できます。

欠乏すると「壊血病」

壊血病(かいけつびょう)とは、ビタミンCが欠乏したことにより倦怠感や食欲不振、症状が悪化すると口や鼻からの出血、太ももで内出血などがあらわれる病気で、最悪の場合は死に至ります。

猫は体内でビタミンCを生成できるため壊血病になるのは稀といわれていますが、毎日の食事内容や生活環境、ケガや病気、ストレス、肝臓機能の低下などにより減少します。

そもそも、ビタミンCの化学名はアスコルビン酸(ascorbic acid)といい、これは「壊血病(scorbutic)に対する(anti-)酸(acid)」という意味で、「壊血病を防ぐためのビタミン」といわれています。

老化とともにビタミンCの生成能力は低下していくため、シニア期を迎えた猫は気を付けましょう。

アセロラの栄養とメリット

下表は、アセロラ甘味種100gあたりの栄養素です。

甘味種
エネルギー36kcal
水分89.9g
葉酸45μg
β-カロテン370μg

※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

抗酸化作用のβ-カロテン

β-カロテンには、ビタミンCと同様に抗酸化作用を持ちます。

β-カロテンは主にニンジンやカボチャ、ほうれん草などの緑黄色野菜に多く含まれます。それらと比べるとβ-カロテン量は少ないですが、果物類ではトップクラスの含有量です。β-カロテンには抗酸化作用のほか、生活習慣病の予防や免疫力の向上などの働きがあります。

葉酸

葉酸(ビタミンB9)はDNAの合成に関わる水溶性ビタミンです。葉酸は細胞の生成や修復、神経組織の発達、貧血予防などさまざまな働きがあり、腸内細菌によって合成されて肝臓に貯蔵されるため、食べ物から摂取する必要はありません。

しかし成長期の子猫や、妊娠・授乳中の母猫は気を付けなければなりません。

子猫や母猫は活発に細胞分裂が行われるため、通常よりも葉酸の摂取が必要となります。とくに母猫に関しては、十分な葉酸を摂取できずにいると葉酸欠乏症になり、胎児形成異常が起こる恐れがあります。

アセロラのおすすめの与え方

酸味種の方がビタミンCが豊富ですが非常に酸っぱいので、猫に与えるのは甘味種にしましょう。ヘタの部分と種は必ず取り除いてください。猫は喉が細いので喉に詰まったり、胃腸へ大きな負担となります。

与えるときは小さくカットするか、フードプロセッサーでソース状にしてキャットフードにトッピングしたり、舐めさせるのがおすすめです。

猫にアセロラを与えるときの注意点

酸味が強いため、嫌がる子には与えない

アセロラは甘味種であっても、他の果物と比べると酸味が強いです。酸味を苦手と感じる猫は多いため、少しでも嫌がるような仕草がみられたら無理に与えないようにしましょう。

アセロラの加工品は与えない

アセロラジュースやアセロラゼリーなどの加工品は砂糖や保存料、着色料などの添加物が多量に含まれているため、猫に与えてはいけません。添加物は猫の健康に害となり、砂糖は糖尿病や高血圧などの病気を引き起こす恐れがあります。

アセロラはどこで買える?

加工品であるアセロラジュースやアセロラゼリーはスーパーやコンビニで購入することができますが、「アセロラ自体を見たことがある・食べたことがある」という人は少ないのではないでしょうか。

アセロラは皮が柔らかく傷みやすいため、収穫してからすぐに加工されます。そのため、生産地である沖縄県や鹿児島県など以外では、生のアセロラはなかなかお目にかかれません。スーパーなどで購入するのは難しい果物なので、買うときはネット通販を利用しましょう。

また、園芸やネット通販などでアセロラの苗木を買うことができます。アセロラはもともと熱帯地域が原産の果物で寒さに弱いため、冬は必ず室内栽培にして日当たりの良い場所に置きましょう。

まとめ

  • β-カロテンは果物類でトップクラス、ビタミンCは全食材でNO.1の含有量
  • 猫に与えるなら、酸味種ではなく甘味種
  • β-カロテンとビタミンCは強い抗酸化作用を持つ
  • 猫は肝臓でビタミンCを生成できるが年齢とともに生成能力が低下するので摂取量に気を付ける

ABOUTこの記事をかいた人

古川菜々

愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士、愛犬飼育スペシャリスト、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。文章を通して猫ちゃんの魅力を発信できること、多くの飼い主さんの悩みや不安を解決できることに魅力を感じ、動物ライターに。飼い主さんと猫ちゃんの幸せのお手伝いになれれば嬉しいです。