カナダのペットフード事情
カナダは国土世界2位!自然豊かで農業や畜産業、漁業も盛ん
カナダ(Canada)はアメリカ大陸の北部にある農業国で、実は国土面積はロシアに次いで世界で第2位。その広大な国土から小麦や大麦などの穀物や野菜の栽培、酪農や畜産業が盛んで、太平洋に面するコロンビア州では海洋資源も豊富です。
また、カナダは自然豊かで動物と人との距離が近く、様々な野生動物が暮らしています。公園のベンチでリスがすぐそばにいたり、警官が馬に乗ってパトロールしていたり、犬が電車のイスに座っているなど微笑ましい光景を目にすることもあります。
食や健康への意識が高く、ペットフードにも高品質な食材が使われる
カナダには食材にこだわった店も沢山あります。国民の健康志向が強く食や健康への意識が高いため、ペットフードにも高品質で安全性の高い食材が使用される傾向があります。酪農が盛んなのでフリーレンジ(放牧)チキンをふんだんに使ったキャットフードや、太平洋の豊富な海洋資源を使用した魚介系キャットフードも見られます。
代表的なカナダ産キャットフードには、チャンピオンペットフーズ社販売の地元産の原材料をふんだんに使った「アカナ」や「オリジン」を始め、オーガニック食材を使った「ギャザー」などが挙げられますが、いずれもプレミアムフードとして世界で販売され、肉や魚などを豊富に使用した内容で高評価を得ています。
今のカナダでのトレンドは生肉食(ラウフード:Raw Food)で、ドライフードやウェットフードだけでなく、生肉や野菜など食材そのものを与えている家庭も多いようです。
カナダの動物愛護の意識と法律
カナダの動物愛護の法律は自治体によって異なる
カナダにはカナダ全土共通の「連邦法(The Criminal Code)」と、それぞれの自治体が定める「条例(The Dog Bylaw)」があります。このため、住む場所によって動物に関する規定や罰則が異なりますが、動物愛護に関する法律は厳しく定められており、たとえばエアコンなどを付けずに車に犬を放置すると動物虐待として通報されます。
また、カナダでは自治体によって、店頭に動物を並べて販売するペットショップでの犬の販売を禁止している地域があります。このため飼育を希望する場合は、ヨーロッパと同様、ブリーダーから購入する、もしくは保護団体から引き取るなどの方法でペットショップなどは介さずに引き取ります。
また、飼育の際は住民登録が必須となります。迷子防止のための住民登録やタグなどを付ける必要があり、飼育管理についても厳しく定められています。
飼育管理の違反へのペナルティも厳しい
ただ、カナダでは飼育責任に違反した際の罰則も厳しく、自治体によっては飼い主の管理責任に関する条例に違反した飼い主は、犬と引き離され、犬は殺処分や収容所送りにされる場合もあります。
犬や動物への愛護意識が高い一方、野生動物が多いという背景から、動物が人に対して与える被害や危害についても厳しく取り締まりが行われているようです。
子猫のうちに爪を抜くのが一般的
日本では驚くようなこともあり、たとえば大事な家具類を傷つけないように、子猫のうちに手術で爪を抜く処置が行われています。人によってそれも虐待では?という意見もあるかもしれませんが、カナダでは一般的とされているようです。
カナダのペットフードに関する法律と安全性確保
ペットフードの安全確保の法規制はない
画像引用元:諸外国でのペットフードの 安全確保状況について – 農林水産省
飼料法に基づく規制
所管:Agriculture and AgriFood Canada
規制内容:適正な表示のない飼料や有害な飼料等の製造、販売、輸入を禁止するとともに、Canada Food Inspection Agency等による検査について規定。ただし、ペットフードは本法による規制の対象外である。動物衛生法に基づく規制
所管:Agriculture and AgriFood Canada
規制内容:動物衛生の確保の観点から有害物質に汚染された物品の輸入を禁止できる旨の規定があり、本規定をペットフードに適用することが可能である。
動物愛護についての法律は厳しく定められていますが、ペットフードの安全確保状況については、農林水産省の資料にカナダにはペットフードの安全確保について法規制はないと記載されています。日本では2007年のペットフードメラミン混入事件がきっかけでペットフード安全法が施行されましたが、カナダでは特にそういった法律はありません。また、カナダの飼料法はペットフードは対象外となります。
ただ、動物衛生法に基づく規制については、動物衛生の確保の観点から有害物質に汚染された物品の輸入を禁止できるという規定があり、この規定をペットフードに適用することは可能とのことです。
<ニュース>カナダの消費者団体が署名2万筆超集めペットフード安全法を要求
2021年9月16日、カナダにはペットフードに関する法的な安全基準がなく、2007年以降ペットフードの汚染による中毒事件が頻発していたことから、カナダの消費者団体CHOICEはペットフード安全法の制定を求める署名運動を開始し、たった1ヶ月で2万2238の署名が集まったと発表しました。
CHOICEが署名運動を行ったのは今回が2回目で、1回目は2018年、3万もの署名が集まりましたが、法規制はされずメーカーへの勧告に留まったそうです。
今回、すでに2万を超える署名が集まっており、現在も多数の賛同が得られていることから、CHOICEは政府に早急な法規制を求めていく考えとのことです。
カナダペットフード協会(PFAC)が自主基準を策定
カナダにはペットフードを規制する法律はありませんが、カナダのペットフード協会が原材料や栄養成分、表示などに関する自主基準を設定し、他団体によって消費者容器包装法に基づいたペットフードの表示や広告に関するガイドラインが作成されています。
日本ではペット公正取引協議会が公正競争規約で成分基準、ガイドラインを定めているのでこれに近いものかと思われます。
カナダ産キャットフードの例
まとめ
- 農業、畜産業、漁業が盛んで高品質な地元産の食材が豊富
- 国民の食や健康への意識が高い
- カナダではペットフードに関する法律はない
- 州や自治体によって法律が異なる