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キャットフードの原材料:キャットニップ(Catnip)
シソ科の多年草
キャットニップ(和名:イヌハッカ)はシソ科の多年草で、ハート型の葉と小さな白や薄紫色の花を咲かせます。
最大の特徴は、ネペタラクトンという揮発性成分を含んでいることです。ネペタラクトンが猫の嗅覚を刺激し、興奮や陶酔に似た反応を引き起こします。種や品種によって含有量や効き目が異なり、猫によって反応しない場合もあります。
反応するのは成猫のみ
キャットニップに反応するかどうかは遺伝によって決まり、すべての猫に効果があるわけではありません。
キャットニップに反応する猫はおよそ50〜70%とされ、親猫がキャットニップ好きであれば、子猫にもその性質が受け継がれる傾向があります。ただし、反応は生後3〜6か月以降の成猫に限られ、子猫や高齢猫では効果が見られないこともあります。
猫用ワインの原材料にキャットニップ
2025年には、原材料をキャットニップとしたペット用ワインがニュージーランドで発売されました。アルコールやぶどう果汁、人工甘味料、保存料などは不使用で、ペット用ノンアルコール飲料として注目を集めています。
マタタビとの違いは?
キャットニップには「ネペタラクトン」が含まれており、猫の嗅覚を刺激して陶酔感を引き起こします。マタタビには「マタタビラクトン」や「アクチニジン」など複数の活性成分があり、キャットニップよりも強く反応する猫も多いです。
キャットニップは反応する猫が約50〜70%といわれていますが、マタタビはそれ以上に多くの猫が反応するとされ、日本ではとくに人気があります。ただし、マタタビは強すぎて逆に攻撃的になる猫や体調を崩す猫もいるため、使用には注意が必要です。
キャットニップが原材料のキャットフード例
キャットニップが配合される目的
キャットニップはさまざまなキャットフードや歯磨き専用スナックなどの原材料に使用されています。
キャットニップはビタミンやミネラル源としての栄養価はほとんど期待されておらず、あくまで嗜好性の向上、リラックス・ストレス緩和などの機能的な補助要素として使われています。多量摂取は逆に嘔吐や下痢を引き起こすリスクもあるため、総合栄養食としてのキャットフードよりおやつやトッピングでの使用が主流です。
キャットニップが原材料のキャットフード例
原材料欄にはキャットニップの他に、乾燥キャットニップ、イヌハッカなどと表記されます。
- モンプチ クリスピーキッス キャットニップ入り
- 猫用グリニーズ グリルチキン・西洋マタタビ風味(キャットニップ)
- ソジョーズ キャットニップ
- Signature7 グレイビー
- ワイルドキャット アンドラ
など
キャットニップの栄養素と猫への健康効果

キャットフードの原材料として使用されるキャットニップには、下記のような健康効果が期待されています。
- ストレス軽減作用
- 抗菌・抗炎症作用
- 食欲促進効果
- 運動促進
- 消化促進
ネペタラクトンによるストレス解消
キャットニップに含まれるネペタラクトンは、猫の嗅覚神経に作用することで一時的な興奮や恍惚感を引き起こします。この反応は人間でいうアロマセラピーのようなもので、遊んだ後にはリラックスした状態が見られることが多く、環境の変化や退屈によるストレスを軽減する効果が期待されています。とくに室内飼育で刺激が不足しがちな猫にとっては、精神的なリフレッシュの手段として有効です。
使用後は自然と興奮が収まり、穏やかに眠る猫も多く、ネペタラクトンの作用は一過性で安全性も高いとされています。
抗菌・抗炎症作用
ネペタラクトンには抗菌・抗炎症作用があるとされ、一部の研究では、細菌や真菌の増殖を抑える効果が示されています。これにより、キャットニップは単なる嗅覚刺激物にとどまらず、軽度な皮膚炎や傷のケアへの応用も検討されています。猫がキャットニップに体をこすりつける行動も、もしかすると本能的な抗菌作用を求めたものかもしれません。
猫にキャットニップを与えるときの注意点
キャットニップに強く反応する猫の中には、興奮しすぎて噛みついたり攻撃的な行動を見せることがあります。また、キャットニップは頻繁に与えすぎると猫が慣れてしまい、反応が薄くなる傾向があります。
キャットニップが原材料のキャットフードやおやつなどを猫に与える場合は、給与量をきちんと守るようにしましょう。毎日のように使用するのではなく、週に1〜2回程度にとどめ、特別な遊び時間やリフレッシュのきっかけとして与えることで、飽きさせずに効果を持続させることができます。
適度な使用が、猫にとってもより楽しい刺激となるでしょう。
まとめ
- ネペタラクトンは猫の嗅覚を刺激し、興奮後にリラックス効果がある
- 興奮は一時的で、使用後に穏やかに眠る猫も多く見られる
- ネペタラクトンには抗菌・抗真菌作用があり、自然由来のケア素材として注目