猫にも塩分は必要!塩化ナトリウムの働きと食塩過剰摂取の危険性

「猫は塩分がいらない」は嘘

「猫には塩分NG!塩分は与えない方がいい」という話をよく聞きます。確かに過剰に与えるのは危険ですが、塩分には生き物に必要不可欠な「ミネラル」が含まれており、ミネラル同士は互いに影響を与え合っています。そのため塩分が必要ないというわけではないのです。

そもそも塩分とは

塩分=塩素 + ナトリウム

小学校の理科でも習いますが、塩分とは正式には「塩化ナトリウム(NaCl)」と言い、主に塩素とナトリウムが化合して成り立っています。

この「塩素」と「ナトリウム」は生物に必要なミネラルの一つなので、どちらも多くの動物にとって必要な欠かせない成分と言えます。

キャットフード 塩素

キャットフードの塩素。胃酸の構成成分であり消化酵素ペプシンを活性化させる必須ミネラル。

2022年2月15日
キャットフード ナトリウム

キャットフードのナトリウム。細胞内外の浸透圧の調節や神経伝達に関与する必須多量ミネラル。

2022年1月17日

猫の体におけるナトリウムの役割

ナトリウムは体の働きに影響

塩分のうち、約40%含まれているとされる「ナトリウム」は体を動かす時や無意識に行われている各器官の働きにおいて、非常に重要な役割を果たしています。

カリウムとともに細胞の伝達を担う

ナトリウムはカリウムとともに、細胞の中と外の伝達を行っています。カリウムは細胞内で、ナトリウムは細胞の外で、伝達を行うことで体は正常に機能することができています。

バランスが崩れると心臓が止まることも

しかし体内のナトリウム、またはカリウムのどちらかの量が変わり、ナトリウムとカリウムのバランスが崩れてしまうと細胞の伝達が正常に行われなくなり、心臓などの各器官の働きや体の動きに異常が出てきます。

そのためナトリウムは、生物が生きるためには必要不可欠な成分であると言えます。

猫の体における塩素の役割

塩素はタンパク質消化に使われる

次に塩素(クロライド)の役割です。塩素は殺菌・消毒効果を持っているため、私たちの生活の中で様々な場所で用いられています。

猫の体内に入った時には、塩素は猫の胃酸を構成する成分になり、猫が食べた物の消化を助ける役割を果たします。

胃酸を構成する塩素が不足してしまうと食べ物の消化が上手くできず、消化不良を起こしてしまうため、塩素もまた胃酸の構成成分として必要な成分と言えます。

塩分の取り過ぎによる猫の体への影響

しかし塩分は過剰に摂取すると危険であると言われます。

高血圧症の原因に

塩分を摂り過ぎると、血圧が上昇し高血圧の原因になります。

高血圧は血管や様々な器官に障害が出てくる非常に危険な状態です。

高血圧が原因の病気

  • 腎臓病(腎不全など)
  • 心臓病
  • 高血圧性眼症(網膜疾患)
  • 尿路結石

上記は高血圧によって猫がかかってしまう病気です。高血圧では血管に負担がかかると同時に、血液を送り出している心臓血液を濾過する役割を持つ腎臓にも大きな負担がかかります。

また臓器だけでなく目にも影響が出ます。高血圧性眼症という網膜の疾患はひどくなると猫が失明することもあります。

猫が塩分を摂り過ぎないようにするには

では猫が塩分を摂り過ぎないようにするにはどのようにすればいいのでしょう。

塩分量が多いキャットフードを与えていないか

まず見直したいのはキャットフードの塩分量です。日本はペットフードへの規制が緩いため、食品のように厳しい審査がありません。そのため塩分が多いキャットフードを購入している可能性もあります。ですのでまず始めに行いたいのは、普段猫に与えているキャットフードの塩分量の確認です。

人間の食べ物を与えない

また人間の食べ物も味付けがしっかりとされているので、猫にとっては塩分量が多く、塩分過剰になってしまう原因になります。猫が食べたがることもあるかもしれませんが、猫用のフードだけを与えるようにしましょう。

おやつは塩分量が高いことが多い

栄養バランスよりも嗜好性を重視したおやつ類は塩分濃度が高いことが多いです。

そのため表示を確認してキャットフードを選んだり、おやつなら与える量に気を付けることが大切になります。

硬水ではなく軟水を与える

多くのミネラルが含まれているミネラルウォーターも注意が必要です。基本的に日本の水道水はミネラルが少ない軟水なので、塩素やナトリウムを過剰に摂取してしまう心配はありません。

しかし猫にミネラルウォーターを与えている場合、ミネラルが多く含まれているため、塩素やナトリウムも多く摂取することになります。

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。日本化粧品検定協会会員。