猫は豆苗を食べても大丈夫!ビタミンや葉酸が豊富。豆類の毒素レクチンについても解説

猫は豆苗を食べても大丈夫!ビタミンや葉酸が豊富。豆類の毒素レクチンについても解説

豆苗(pea sprouts

豆苗はエンドウ豆の若い芽のことで、マメ科エンドウ属の野菜です。栄養豊富でお手頃で美味しく、さらに切り取ったあとも水をさらして数日でまた食べられるくらいに成長するのが特徴で、とてもお得感のある野菜ですよね。

しかし「そもそも豆苗ってどんな野菜?」と今更ながら疑問を持っている方も多いのではないでしょうか?実態が分からないまま猫に食べさせるのはとても不安ですよね。

猫田
 猫は豆苗を食べても大丈夫です!
 しかし与え方や与える量には気を付けましょう。

この記事では猫に豆苗を与えるメリットや注意点、おすすめの与え方、豆類に含まれる毒素レクチンについてを解説していきます。

豆苗の栄養素とメリット

豆苗は、エンドウ豆の豆から発芽した茎と根が成長したものをいいます。スーパーで売られているのは根本に豆がついていて、上の部分の茎と葉っぱを食べることができます。豆と根の部分を水にさらして数日で成長する再生栽培が可能な野菜です。豆苗は豆と緑黄色野菜の両方の栄養を持っているため、栄養バランスの良い野菜といえます。

下表は、豆苗(ゆで)と豆苗(生)100gあたりの栄養素です。

豆苗(ゆで)豆苗(生)
エネルギー2827kcal
たんぱく質3.63.8g
炭水化物3.83.2g
β-カロテン48003000μg
葉酸51120μg
ビタミンK300210μg
ビタミンC1443mg

※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

β-カロテン

豆苗には、緑黄色野菜に主に含まれているβ-カロテンが含まれています。抗酸化作用を持ち、体内の活性酵素を除去し、細胞の生成や修復を行うため、老化予防に効果的です。

ちなみに、犬は体内でβ-カロテンをビタミンAに変換できる酵素を持っていますが、猫はその酵素を持っていません。そもそも、肉食動物である猫は肉や魚からビタミンAを摂取していたので、植物に含まれるβ-カロテンをビタミンAに変換する必要がないことが関係しています。

ビタミンK

ビタミンKは丈夫な骨の形成に関わっており、骨粗しょう症の予防に役立ちます。また、出血時に傷口付近の血を固めて止血する凝固因子を作るために必要なビタミンでもあります。

ビタミンC

ビタミンCは水溶性ビタミンで、抗酸化成分として運動や老化による酸化ストレスや、関節炎などの病気の予防に効果があります。またコラーゲン生成のサポートや抗酸化作用、ストレス軽減、免疫機能の向上など、さまざまな働きを持ちます。

健康な猫はビタミンCを肝臓で合成し、貯蔵することができます。しかし合成能力が低下する病気を持っている猫やシニア猫、内臓機能が未発達の子猫、妊娠・授乳中の母猫などは、通常よりもビタミンC摂取量が必要となり、食べ物から摂取しなければなりません。

葉酸

葉酸は水溶性ビタミンで、レバーやほうれん草などの緑黄色野菜に多く含まれています。細胞の生成や再生、神経組織の発達などの働きを持ち、赤血球を生成するため「造血のビタミン」ともよばれています。

また、DNAの合成にも関わっています。葉酸は腸内細菌の働きによって合成され、肝臓に貯蔵されるため食べ物から摂取する必要はありません。しかし成長期の猫や妊娠・授乳中の母猫は活発に細胞分裂が行われるため、葉酸の摂取が必要となります。母猫が十分な量の葉酸を摂取しないと、葉酸欠乏症となってしまいます。

豆苗を与えるときの注意点

生の豆苗は与えない

子猫、成猫、シニア猫、どの年齢にしても、健康であっても、生の豆苗は与えないでください。

豆苗には不溶性食物繊維が多く含まれています。不溶性食物繊維は体内で水分を吸収して腸を刺激することで便通を促進する働きがありますが、水に溶けずらい性質であるため消化不良を引き起こすことがあります。猫は肉食動物なので、体の構造上、消化不良が苦手です。そのため、生の豆苗の過剰摂取は胃腸に負担をかける恐れがあります。

そのため生の豆苗は加熱することが必須となり、加熱すれば消化はやや良くなります。しかし消化機能が未発達の子猫や、消化機能が低下しているシニア猫にとっては胃腸への負担が大きく、体調不良につながってしまいます。

生の豆類にはレクチンが含まれている

豆苗を含めた生の豆類には、レクチンという毒性を持ったたんぱく質が含まれています。レクチンの一種に、パンやパスタなどに含まれているグルテンがあります。グルテンは聞き馴染みがありますね。レクチンはパンやパスタの他に、トマトやニンニク、キノコ、にんじん、ナッツなど、あらゆる生の食べ物に含まれています。

レクチンを過剰摂取すると細胞にダメージを与え、筋肉が減ったり、膵臓の働きを抑制します。

レクチンは毒性と聞くととても心配になりますよね。もちろん過剰摂取すれば健康に悪影響となりますが、通常の生活で普通の量の摂取であれば心配する必要はありません。

どの食べ物も、加熱すればレクチンは除去することができます。豆苗の場合、レクチンは発芽の時点で分解されて量が減ります。しかし少量だとしても猫の体にとっては体調不良の原因となります。レクチンは15分以上の加熱でほぼ除去できるので、猫に与えるときは必ず加熱しましょう。

おすすめの豆苗の与え方

猫に豆苗を与えるときは加熱する

人は生の豆苗をさっと水洗いすれば食べることができますが、猫は消化不良になる恐れがあるため必ず加熱してから与えましょう。

豆苗は、加熱してもシャキシャキとした食感が残る食べ物です。加熱したあとは小さくカットしてキャットフードにトッピングしたり、手作り食として他の食べ物と一緒に取り入れてみましょう。猫にとってはシャキシャキとした食感が楽しく、食欲がない子やキャットフードへの食いつきが悪い子も、食べ物への意欲が上がるかもしれません。

豆苗スープにする

豆苗に含まれる葉酸やビタミンCは、水に溶けやすい性質を持っています。それはつまり、豆苗を茹でると汁に溶けだしてしまうということです。

そのため、豆苗の栄養を逃さない効果的な食べ方はスープにすることです。スープに溶けだした栄養も摂取することができ、香りも強くなるので食欲の促進が期待できます。

豆苗を猫草として与えるのはNG!

豆苗は猫草に見た目が似ていることから、「猫草の代わりとして与えていいのでは?」と思う方も多いかもしれません。実際、「豆苗を再生栽培してキッチンに置いておいたところ、猫が食べてしまった」というケースもあるようです。

豆苗は、猫草として与えるのはNGです!

そもそも猫草とは、えん麦や大麦、ハトムギなど「猫が食べられる草」の総称です。猫が猫草を食べる理由は、毛づくろいによって胃にたまった毛玉を吐き出すためや、猫草の食物繊維で便通を良くするためなどです。

豆苗はマメ科で、猫草はイネ科です。そのため、豆苗は猫草の代わりにはなれません。

まとめ

  • 豆苗は豆類と緑黄色野菜の両方の栄養がバランスよく含まれている
  • ビタミンや葉酸が豊富
  • 生の豆苗にはレクチンが含まれているので過剰摂取は避ける
  • 猫に豆苗を与えるときはスープがおすすめ

ABOUTこの記事をかいた人

古川菜々

愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士、愛犬飼育スペシャリスト、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。文章を通して猫ちゃんの魅力を発信し、また多くの飼い主さんの悩みや不安を解決することで、飼い主さんと猫ちゃんの幸せのお手伝いになれれば嬉しいです。