目次
ペット後見(pet guardianship)とは?
自分のもしものときに愛猫を守る制度
ペット後見とは、飼い主さんが万が一ペットを飼えなくなる事態に備えて、ペットの世話や生活を引き継ぐ人や機関が代わりにその役割を果たす仕組みです。
ペットの行き場の確保や飼育費用の確保、支援者といった頼みの綱をあらかじめ用意しておくことで、飼い主としての責任を果たし、ペットに安心安全を遺すことができます。
ペット後見を利用する人は?
◆将来、年齢や病気などで飼えなくなることを心配している方
- 今は問題なく飼えているけど、将来が不安な方
- 親族や友人に猫を任せられない方
- 飼い主さんの高齢による飼育が難しい方
◆現在、飼えなくなって緊急的な保護が必要な方
- 一人暮らしで急な病気や入院をすることになった方
- 病気や事故などで突然死去された方
なぜペット後見が必要なのか?
高齢化社会と単身世帯の増加
日本ではペットの飼い主さんの高齢化が進み、飼い主さんが病気や介護、入院といった理由でペットの世話が困難になるケースが増えています。
その一方で、獣医療の発展やペットフードの改良、ワクチンの普及などにより平均10年以上生きることが一般的です。とくに猫は長生きで、15年20年生きる子も増えてきています。
そのため、「自分が先に亡くなった場合ペットはどうなるのか」という懸念が多くの飼い主さんの間で現実的な問題となっています。
動物福祉の観点
現在の日本は年々、人口減少となっているにも関わらず、一人暮らしの方が増えたことによる世帯数が増え続けています。一人暮らしのパートナーとして猫を迎い入れる方も多く、猫の飼育頭数は年々増加しています。
飼い主さんと一緒に住めなくなって行き場を失ったペットはアニマルシェルターや保健所で保護されますが、場合によっては殺処分されてしまう現状があります。
家族の一員としての存在
ペットは単なる「飼い動物」ではなく、多くの家庭で大切な家族の一員とされています。そのため、ペットの生活を安心して託せる仕組みが注目されています。
ペット後見のフローチャート
NPO法人の人とペットの共生センターでは、ペット後見のフローチャートを公開しています。
「ペット後見に興味はあるけど何から始めていいか分からない」という場合はぜひ活用してみましょう。
ペット後見の仕組み
ペット後見にはいくつかの形態があります。それぞれの特徴を以下に解説します。
個人間の後見契約
親族や友人と事前に話し合い、ペットの世話を引き継いでもらう方法です。この場合、口約束だけでなく具体的な内容を文書にしておくことが重要です。以下の点を明記することが推奨されます。
- ペットの飼育方法(食事、散歩、健康管理など)
- 緊急時の対応(病気や事故)
- 財産の使途(ペットの飼育費用)
法人による後見サービス
近年、ペット後見を専門的に取り扱う団体や企業が増えています。これらの団体は飼い主さんとの契約に基づき、ペットの世話を引き受けるだけでなく、里親探しや施設での飼育を行うケースもあります。
メリットは、契約内容が明確であることや、専門的な知識を持つスタッフが対応することが挙げられます。一方、費用が高額になる場合もあるため、事前の確認が必要です。
信託制度の活用
ペットのための財産を信託する方法もあります。これをペット信託といい、飼い主さんが一定の資産を信託銀行や信託会社に預け、その資金をペットの飼育費用として利用する仕組みです。信託会社が後見人と連携してペットの生活をサポートします。
ペット後見を導入する際の注意点
契約内容を明確にする
どの形態を選ぶ場合でも、契約内容を明確にすることが重要です。後見人や後見団体に任せる具体的な責任範囲、飼育方法、緊急時の対応について詳しく取り決めておきましょう。
信頼できる後見人を選ぶ
ペットの生活は後見人の判断に大きく左右されるため、信頼できる人や団体を慎重に選ぶことが大切です。また、契約を交わす前に、後見人がペットの世話に十分な時間と能力を持っているかを確認することも必要です。
ペットの情報を整理しておく
ペットの健康状態や食事の好み、性格、医療記録などをリスト化しておくことで、後見人がスムーズにペットの世話を始めることができます。
ペット後見の未来と課題
ペット後見はまだ新しい取り組みであり、多くの課題を抱えています。
とくに後見人が長期的に責任を持つことの難しさや、飼い主と後見人との間で発生する可能性のあるトラブルが懸念されています。また法律面での整備もまだ不十分なため、今後の発展が期待されます。
一方で、ペットを家族と考える価値観の広がりにより、ペット後見の需要は確実に高まっています。これからはペットの幸せを守るためのより柔軟で公平な制度作りが求められるでしょう。
まとめ
- 高齢化社会や単身世帯の増加により、ペット後見の需要が増えている
- 飼い主さんと暮らせなくなって殺処分されるケースもある