キャットフードの原材料:セロリ(celery)
セロリとはセリ科の植物で、特有の香りとシャキシャキとした食感が特徴の野菜です。主に茎や葉、場合によっては根も食用に利用され、サラダやスープ、炒め物などさまざまな料理に使われます。
セロリの独特な香り成分はアピインやフタリドとよばれる成分で、リラックス効果や血行促進作用が期待されています。またビタミンCやミネラル、食物繊維が豊富で、抗酸化作用や消化促進、むくみの改善などに役立つとされています。
セロリはさまざまな栄養効果があるため猫の健康に効果的で、キャットフードの原材料に使用されています。
セロリが原材料のキャットフード例
原材料のセロリ種子、セロリーとは?
セロリはさまざまなキャットフードの原材料として使用されています。原材料欄にはセロリ、セロリー、セルリー、乾燥セロリ、セロリ種子などと表記されます。

セロリは主に茎、葉、根の部分を指しますが、セロリ種子はセロリの花が咲いたあとにできる種子のことをいいます。主にスパイスとして利用され、漢方やサプリメントにも使われることがあります。
またセルリーやセルリ、セロリーと表記されることもありますが、どれも同じ植物を指しており、栄養価や使用方法、健康効果に違いはありません。
セロリが原材料のキャットフード例
- ワイソン オプティマルバイタリティー
- ティンバーウルフ セレンゲッティ
- ソリッドゴールド インディゴムーン
- ナチュラルバランス インドアキャット
- CHARM アダルトキャット
- I love my cat HUHN
- BLACKWOOD など
セロリの栄養と猫における健康効果
セロリ/葉柄/生の栄養素(100gあたり) | |||
---|---|---|---|
エネルギー | 12 | kcal | |
水分 | 94.7 | g | |
タンパク質 | 0.4 | g | |
脂質 | 0.1 | g | |
ミネラル | ナトリウム | 28 | mg |
カリウム | 410 | mg | |
カルシウム | 39 | mg | |
マグネシウム | 9 | mg | |
ビタミン | βカロテン | 44 | μg |
ビタミンB1 | 0.03 | mg | |
ビタミンB2 | 0.03 | mg | |
ビタミンB6 | 0.08 | mg | |
パントテン酸 | 0.26 | mg | |
ビタミンC | 7 | mg | |
食物繊維 | 水溶性食物繊維 | 0.3 | g |
不溶性食物繊維 | 1.2 | g |
※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
高血圧や血糖値の低下
セロリは高血圧を改善するという研究が報告されています。この研究は人に対するものですが、猫にも同様の効果があるといえるでしょう。
(一部抜粋)高血圧患者における3-n-ブチルフタリド(NBP)のような活性成分を有する薬草として、セロリ種子抽出物の安全性を評価するために実施した。高血圧患者(51人の参加者)は、通常の投薬処方に対するサプリメントとして4週間のセロリ種子カプセル(一日当たり1.34g抽出物)または1日当たり4プラセボカプセルを受けた。
結果は、セロリ種子カプセルが高血圧患者にとって安全であるだけでなく、BP、FBSおよび脂質プロファイル値の減少も引き起こしたことを示した。また、腎臓と肝機能に有益な効果があった。
※BP:血圧(Blood Pressure)、FBS:空腹時血糖値(Fasting Blood Sugar)
香り成分アピインとフタリド
セロリの香り成分はアピインとフタリドです。
アピインはセロリ特有のフラボノイド配糖体で、抗酸化作用や抗炎症作用を持ち、リラックス効果や血管拡張作用が期待されています。
一方、フタリドは血管を緩める働きがあることから降圧作用に寄与するとされています。またストレスを軽減し、鎮静効果をもたらすことでも知られています。
◆抗酸化作用
アピインには抗酸化作用があり、体内の活性酸素を除去して細胞の酸化を防ぎます。猫は体内でビタミンCを生成できるものの、老化や慢性的なストレス、病気により抗酸化力が低下していきます。体内の酸化ストレスを軽減し、細胞の健康を保つ助けとなります。
とくに高齢猫において、加齢による細胞の劣化を抑えることで免疫機能の低下や病気の進行を遅らせる効果が期待されます。
◆抗炎症作用
セロリに含まれるアピインやフタリド類は抗炎症作用を持ちます。体内で炎症を引き起こすプロスタグランジンやサイトカインの生成を抑制する作用があるとされ、とくにアピインは抗酸化作用と相まって慢性的な炎症を軽減する働きを持ちます。またフタリドは炎症を緩和することで、痛みや腫れを軽減し、猫のストレスを軽減する効果も期待されています。
関節炎や皮膚炎などの炎症性疾患に悩む猫に効果的といえます。
◆神経保護作用
アピインやフタリドは神経保護作用があります。これらの成分は抗酸化作用や抗炎症作用を通じて脳神経を保護する働きを持っています。またフタリドにはリラックス効果があり、過剰な興奮や不安を和らげる作用が期待されています。
そのため、ストレスを感じやすい猫や、神経過敏になりやすい猫に効果的です。
◆降圧作用
アピインには血管を拡張する作用、フタリドには血管の収縮を緩和して血流を改善する作用があるため、血圧を下げることができます。
さらにセロリには利尿作用もあり、余分なナトリウムや水分を排出することで、血圧の調整をサポートします。とくに高血圧の予防や管理に役立つといえます。
セロリを与える注意点
セロリに含まれる食物繊維は過剰摂取すると消化器官に負担をかけ、嘔吐や下痢などを引き起こす恐れがあります。また生のセロリにはシュウ酸が含まれているため、過剰摂取するとシュウ酸カルシウム結石になる可能性があります。
ご家庭でセロリを与える場合は少量にし、日常的な摂取は避けましょう。またキャットフードのパッケージに記載の給与量を守ることも大切です。
まとめ
- キャットフードの原材料にはセロリの根や種子も使用される
- 香り成分のアピインやフタリドには抗酸化作用や抗炎症作用がある
- セロリは高血圧を改善するという研究が報告されている
- 過剰摂取はシュウ酸カルシウム結石の発症の恐れがある