キャットフードのビタミン類。猫の必須ビタミンの種類と働き、欠乏症/過剰摂取の症状を解説

キャットフード ビタミン
鈴木さん
猫にはどんなビタミンが必要なんでしょうか?キャットフードできちんと摂取することはできますか?
猫田
総合栄養食では、猫に必要なビタミンも過不足なく摂取できるよう栄養基準が細かく定められています。ここでは猫に必要なビタミンと働きを紹介したいと思います。

ビタミンについて

ビタミン キャットフード

ビタミン(Vitamin)は、タンパク質、脂質、炭水化物、ミネラルとならぶ五大栄養素のひとつで、体の正常な機能や生命活動を保つために必要不可欠な栄養素です。

ビタミンとは上記の4栄養素に分類されないかつ、自ら合成できない栄養素の総称です。ですが、動物によってビタミンにあたる成分は異なります。

同じ哺乳動物なので猫や犬、人で必要なビタミンの種類に大きな違いはありませんが、アスコルビン酸は人の体内で合成できないことから「ビタミンC」と呼ばれていますが、犬猫はアスコルビン酸を体内で合成できるので、正式にはビタミンではありません。

AAFCOのキャットフードのビタミンの栄養基準

キャットフードの総合栄養食では、AAFCO(米国飼料検査官協会)の示す栄養基準で、ビタミンの最低基準がmg単位で細かく定められています

キャットフード 補酵素画像引用元:2016 AAFCO Midyear Meeting Committee Reports

成分分析値にはビタミン量の表記義務はないため、細かいビタミン量までは記載されていない場合が多いですが、総合栄養食であればビタミンが不足することはありません。

ビタミン類の働きと作用

補酵素として物質の合成を助ける

ビタミンの多くは「補酵素」として代謝や消化に深く関わり、体内では補酵素として酵素の働きを助けます

ビタミン 補酵素 働き

上のイラストのように、酵素(青)と基質(黄:変化させたい物質)があっても、そのままでは結合できず、栄養源を利用することができません。

ここで、ビタミンが補酵素(赤)が加わると、酵素と基質が結合することができます。そして反応を起こし別の物質が生成されます。このようにビタミンという補酵素が存在することで、酵素と基質は必要な物質をつくり出すことができます。

ビタミンの種類と効果

成分名働き
ビタミンA
(レチノール)
視覚・粘膜機能維持
成長、細胞分化・機能維持
骨代謝維持
ビタミンDカルシウム・リン吸収促進
骨からのミネラル溶出
骨・歯の成長促進
副甲状腺機能維持
ビタミンE
(トコフェロール)
細胞膜構造維持
生殖腺・筋肉・神経系機能維持
ビタミンK
(カルシフェロール)
血液凝固因子の機能維持
骨代謝機能維持
細胞増殖
ビタミンB1
(チアミン)
糖質代謝
アセチルコリン合成
リボフラビン
(ビタミンB2)
エネルギー代謝
(電子受容体)
皮膚・角膜維持、髄鞘維持
ナイアシン
(ビタミンB3)
エネルギー代謝(電子受容体)
脂肪合成
パントテン酸
(ビタミンB5)
糖質・脂質・アミノ酸代謝
(CoA、ホスホパンテテインとして)
ビタミンB6アミノ酸代謝(アミノ基転移、脱炭酸)
神経伝達物質合成
ビタミンB9
(葉酸)
1炭素単位転移
核酸・アミノ酸代謝・造血
ビオチン脂質・糖質・アミノ酸代謝
(炭酸固定、炭素転移)
ビタミンB12メチル基新生・転移
核酸・アミノ酸・脂質代謝
葉酸活性化
造血
コリン生体膜成分
脂質輸送
メチル基供与体

ビタミンA

ビタミンAは、正常な視覚を保ち、健康な被毛、皮膚、粘膜、歯などを作るために働くビタミンで、レチノール、レチナール、レチノイン酸などがあります。

多く含まれる食べ物

レバー、乳脂、肝油、卵、鶏卵、チーズ 等

キャットフード ビタミンA レチノール

キャットフードのビタミンA(レチノール)。視覚や粘膜、免疫を維持!βカロテンは意味がない?

2022年3月2日

ビタミンD

ビタミンDは、カルシウムやリンの吸収や血中濃度を調整する働きがあり、骨や歯の形成や維持に必要な栄養素です。植物性のビタミンD2(エルゴカルシフェロール)と、動物性のビタミンD3(コレカルシフェロール)があります。

日光浴をすることでビタミンD3(コレカルシフェロール)は体の中で合成されますが、日光だけでは合成量が少ないため食事からも摂取していくべきというのが一般的のようです。

多く含まれる食べ物

鮭、しらす、卵、きのこ 等

キャットフード ビタミンD

キャットフードのビタミンD(カルシフェロール)。骨や歯の成長や維持に関与、日光浴でも合成可能

2022年3月16日

ビタミンE

ビタミンEはキャットフードではトコフェロールとして酸化防止剤としても利用されますが、体の中でも「抗酸化成分」として働きます。

体の中でビタミンEは細胞の代わりに自身が優先的に酸化することで、体の細胞を酸化から守ります。体の酸化を防ぐことで、猫の体の老化や有害物質から体を守り、病気の原因にもなるリン脂質の酸化も防いでくれます。

多く含まれる食べ物

アーモンド、ナッツ、植物油、カボチャ 等

キャットフード ビタミンE

キャットフードのビタミンE(トコフェロール)。抗酸化作用で細胞の老化や組織の機能を守る!

2022年4月5日

ビタミンK

ビタミンKはあまり聞き慣れない方もいるかもしれませんが、フィロキノン、メナキノン、メナジオン、メナジオールなど腸内の細菌で合成されるビタミンです。

ビタミンKは、出血した時に体外に血が出続けないように、血を止める「凝血因子」を形成するための調整を行っています。

多く含まれる食べ物

ブロッコリー、小松菜、ほうれん草、モロヘイヤ、鶏肉 等

ビタミンK キャットフード

キャットフードのビタミンK。血液凝固作用や骨代謝・細胞増殖に関与!欠乏/過剰摂取時の症状

2022年5月9日

ビタミンB群

ビタミンB群とは、8種類のビタミンBの総称で、チアミン、リボフラビン、ナイアシン、ピリドキシン、パントテン酸、葉酸、コバラミン、ビオチン、コリンなどそれぞれに働きを持っています。

B群の全体では上でも話した酵素の働きを担っており、猫の代謝を助けるための補酵素となります。

多く含まれる食べ物

レバー、肉 等

キャットフードのビタミンB1(チアミン)。糖質代謝の補酵素、神経伝達物質の合成を助ける

2022年5月18日
キャットフード 葉酸

キャットフードの葉酸。DNA合成や造血に深く関与。欠乏は巨赤芽球貧血を引き起こす

2022年1月19日

ビタミンC

ビタミンCはアスコルビン酸であり、抗酸化成分として働きますが、ビタミンCはその中でも特に免疫系の細胞を守っています。

また白血球を刺激したり、同じ抗酸化成分であるビタミンEを再生したりなどの働きもあります。

多く含まれる食べ物

柑橘類、いちご、芋類 等

ビタミンの欠乏症/過剰摂取

ビタミンの摂取量は多すぎても少なすぎても、健康に支障をきたします。

 欠乏症過剰摂取
ビタミンA夜盲症、眼球乾燥症、網膜の変性、粗毛、皮膚障害、脳脊髄圧上昇、腎炎、骨強度低下、食欲不振、体重減少、虚弱、免疫機能低下骨の奇形、自然骨折、内出血、皮膚の肥厚・角質化、赤血球数減少、結膜炎、腸炎、肝臓・腎臓機能低下、食欲不振、体重減少
ビタミンDクル病、骨軟化症、低カルシウム血症、副甲状腺機能亢進症、下半身麻痺、運動失調高カルシウム血症、軟組織でのカルシウム異常沈着
ビタミンE肝臓壊死、筋萎縮、繁殖障害、黄色脂肪症、間質性心筋炎、骨格筋炎、肝門脈単核細胞湿潤中毒性は低い
ビタミンK血液凝固不全ビタミンK3は致死的な貧血、黄疸
チアミン
(ビタミンB1)
脚気、浮腫、神経炎、筋肉衰弱、神経症、食欲不振、成長抑制中毒性は低い
リボフラビン
(ビタミンB2)
体重減少、脂漏性皮膚炎、紅斑、白内障、繁殖障害、食欲不振中毒性は低い
ナイアシン
(ビタミンB3)
皮膚炎、下痢、中枢神経異常中毒性は低い
パントテン酸
(ビタミンB5)
成長抑制、脂肪肝、体重減少運動失調、筋肉の脆弱化、平衡感覚欠如
ビタミンB6神経炎、貧血、筋肉脆弱化中毒性は低い
葉酸悪性貧血、舌炎、白血球減少中毒性は低い
ビオチン皮膚炎、成長阻害、奇形、皮膚病、精神病、精神異常、無気力、成長低下中毒性は低い
ビタミンB12悪性貧血、神経障害、成長抑制中毒性は低い
コリン成長抑制、脂肪肝、出血性腎不全赤血球減少

総合栄養食のキャットフードを与えていれば、ビタミンが多すぎたり少なすぎるといったことが起きることはありませんが、おやつやキャットフード以外の物をよく与えると栄養バランスが偏る可能性があるので注意しましょう。

ビタミンには脂溶性ビタミンと水溶性ビタミンがありますが、水溶性ビタミンは体に蓄積されにくく不要分はすぐに排泄されますが、脂溶性ビタミンは体内に蓄積しやすく過剰症になりやすい傾向があります。

まとめ

  • ビタミンは五大栄養素のひとつ
  • 必要量は他の栄養素に比べて微量
  • 補酵素として働き体の正常の可能や生命活動を保っている

ABOUTこの記事をかいた人

一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。