キャットフードの原材料:コリアンダー(coriander)
コリアンダーはセリ科の一年草で、地中海地域を原産とします。主に種子が利用され、独特の香りと風味が特徴で香辛料として使用されることが一般的です。
英語では「コリアンダー」、和名では「コエンドロ」、中国では「香菜(シャンサイ)」、タイ語では「パクチー」、ポルトガル語では「コエントロ」などと呼ばれます。こんなにも呼び名が変わる食べ物は珍しいですね。
パクチーとの違いは?

コリアンダーとパクチーはどちらも同じ植物を指します。
コリアンダーは主に種子や粉末のスパイスを指し、香ばしく温かみのある風味が特徴です。スパイスカレーやビリヤニ、タンドリーチキンなどによく使用されます。
一方、パクチーは葉や茎のハーブを指し、強い青臭さと柑橘系の香りを持ちます。フォーやトムヤムクン、サラダなどによく使用されます。
コリアンダーはキャットフードの原材料で使用されますが、パクチーは原材料でほとんど使用されません。
コリアンダーが原材料のキャットフード例
キャットフードで使用される目的
コリアンダーの独特な風味により、食欲を増進させる効果が期待されます。
またコリアンダーの抗菌作用を利用してキャットフードの保存性を高めるために活用され、人工的な保存料を減らし、自然由来の成分を重視したキャットフードの製造が可能になります。
コリアンダーが原材料のキャットフード例
コリアンダーを原材料に使用しているキャットフードはハッピーキャット以外では見つけることができませんでした。ハッピーキャットでは、消化を助け身体の機能を健康に保つためにコリアンダーなどのハーブを配合していると公表しています。
ティンバーウルフ セレンゲッティでは旧レシピでコリアンダーを使用していたようです。
コリアンダーの栄養と猫における健康効果
コリアンダー/葉/生の栄養素(100gあたり) | |||
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エネルギー | 18 | kcal | |
水分 | 92.4 | g | |
タンパク質 | 1.4 | g | |
脂質 | 0.4 | g | |
炭水化物 | 4.6 | g | |
ミネラル | カリウム | 590 | mg |
カルシウム | 84 | mg | |
マグネシウム | 16 | mg | |
リン | 59 | mg | |
ビタミンA | β-カロテン | 1.7 | mg |
ビタミンE | α-トコフェロール | 1.9 | mg |
β-トコフェロール | 0 | mg | |
γ-トコフェロール | 0.2 | mg | |
δ-トコフェロール | 0 | mg | |
ビタミンK | 190 | μg | |
ビタミンC | 40 | mg |
※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
植物由来の香り成分
コリアンダーには香り成分のゲラニオールやボルネオール、リナロールなどが含まれています。これらは植物由来の天然化合物でさまざまな健康効果があり、多くのアロマやエッセンシャルオイル、香水、食品添加物などに使用されています。
ゲラニオールとはコリアンダーやバラ、ゼラニウムなどの精油に含まれる香り成分です。抗菌作用、抗酸化作用、抗炎症作用、虫除け効果もあり、多用途な有用成分として知られています。
ボルネオールとはボルネオ島産の樹木やハーブから得られる香り成分として知られています。抗菌作用、抗炎症作用、鎮静効果、神経保護作用があり、用途の広い自然由来の有用成分です。
リナロールとはコリアンダー、ラベンダー、ベルガモットなどの精油に含まれる香り成分です。リラックス効果や鎮静作用、抗菌作用、抗炎症作用もあり、皮膚のトラブル改善や免疫力の向上に寄与する可能性があります。
抗酸化作用
コリアンダーに含まれるゲラニオールやビタミンC、β-カロテンには強い抗酸化作用があります。
体内の活性酵素を取り除き、細胞の修復や再生をすることで細胞の老化を防ぎ、免疫力を向上する効果が期待されます。とくに高齢猫やストレスを抱える猫にとって有益です。
消化促進効果
コリアンダーに含まれるゲラニオールは腸内の蠕動運動を刺激し、胃腸の働きを促進します。また消化酵素の分泌を促進し、食物の分解と吸収を効率的に行うのをサポートします。
さらに抗炎症作用と抗菌作用により抗炎症作用と抗菌作用により、胃腸内の炎症を軽減し、消化不良やガス溜まりなどのトラブルを緩和する効果が期待されます。
リラックス効果
コリアンダーに含まれるリナロールにはリラックス効果があり、神経の興奮を抑える作用があります。それによりストレスや不安の軽減、心の落ち着きをサポートすることが期待されています。また、コリアンダーの香り成分が嗅覚を通じて脳に働きかけ、自律神経を整えることでリラックス効果を高めるとも言われています。
さらに抗酸化作用によるストレス軽減や、消化促進による身体的なリラクゼーション効果も組み合わさり、総合的に体全体をリラックスさせます。
猫はコリアンダーを食べても大丈夫!
食べても大丈夫!でも過剰摂取はNG
コリアンダーには猫にとって中毒となる成分は含まれていないため、食べても大丈夫です。
コリアンダーはパウダータイプとホールタイプのものがありますが、パウダーの方が与えやすく食べやすそうです。キャットフードにトッピングすることで、独特な香りで食欲が促進することが期待できます。
しかし市販のコリアンダーは香辛料や塩分が含まれていることが多く、猫にとって有害となります。与える場合は無添加で新鮮なコリアンダーを選びましょう。
また、過剰摂取は消化不良となるため、トッピングする場合はごく少量にしましょう。嗜好性を高めるために使用するのがおすすめです。
アレルギーの可能性はゼロではない
コリアンダーはアレルギーを発症しにくい食べ物とされていますが、発症の可能性はゼロではありません。初めて与えるときは少量からスタートし、食べたあとは異常がないか猫の様子を観察してください。
とくに人参やパセリ、セロリなどのセリ科の食べ物にアレルギーを持っている猫は注意しましょう。
まとめ
- コリアンダーは主に種子や粉末、パクチーは葉や茎を指す
- コリアンダーの香り成分に多くの健康効果がある
- コリアンダーは食べても大丈夫だが過剰摂取に注意する