キャットフードのヨウ素。働きと必要量、猫の甲状腺機能亢進症との関係は?

キャットフード ヨウ素

キャットフードの成分:ヨウ素(I)

ヨウ素(Iodine)とは

ヨウ素(Iodine、I)とは、ヨード(沃度)とも呼ばれる原子番号53の元素で、猫の体内ではヨウ素のほとんどが甲状腺に存在しています。

単体のヨウ素は毒物や劇物取締法によって、毒性が強い物質として「医薬用外劇物」に指定されていますが、ヨウ素は生体では必須微量ミネラルの一つで、猫にとっても必要不可欠な栄養素です。

ヨウ素は海水に多い物質です。生物の体内に入ると濃縮されるため、海の中でも特に海藻類や乾燥した魚に多く含まれます。

ヨウ素が多く含まれる食べ物
  • 昆布
  • わかめ
  • ひじき
  • 海苔
  • 寒天
  • 煮干し
  • 調味料

ヨウ素の働きと作用

ヨウ素は甲状腺ホルモンの構成成分です。

代謝を活性化させる

ヨウ素が構成する甲状腺ホルモンは、猫の体内に入ると血流にのって全身の細胞の代謝を促す作用があり、生命活動に必要不可欠なエネルギー代謝を得るための糖代謝や蛋白質の合成を促進したり、心臓・胃腸、脳など様々な器官の働きを活性化させます。

子猫の細胞分化を促す

また、甲状腺ホルモンは成長ホルモンとともに脳、末梢組、織、骨格などの発達に関わり、子猫の発育や成長のために必要な細胞の分化を促進します。このため成長期の猫は成猫以降の猫より多くヨウ素が必要とします。

キャットフードに必要なヨウ素量

ヨウ素 キャットフード画像引用元:2016 AAFCO Midyear Meeting Committee Reports

AAFCOが2016年発表のキャットフードの栄養基準には、ヨウ素(Iodine)は子猫や成長期の猫で1.8~9.0mg/kg、成猫期以降の猫で0.6~9.0mg/kgの範囲内の値が設定されています。子猫や成長の猫は成猫期の猫に比べて最低値が3倍(0.6mg/kgと1.8mg/kg)になっています。

ヨウ素の栄養基準で特徴的なのは、上限値(9.0kg/kg)が設定されていることです。他のミネラルには最低基準はありますが、上限値は設定されていません。このことからヨウ素の過剰摂取は猫の健康を損なうことがわかります。

猫のヨウ素欠乏/過剰摂取

ヨウ素欠乏(ヨード欠乏症)

ヨウ素の必要量は微量で、日本は特に海に囲まれ土壌にもヨウ素が含まれるため、猫もヨウ素欠乏にはなりにくいと言われています。

ただ、海がない大陸内陸部の国ではヨウ素不足はよくあることで、ヨウ素が欠乏すると甲状腺機能低下症や喉付近が腫れる甲状腺腫になる原因となります。

ヨウ素の過剰摂取

日本の場合、猫も普段からヨウ素が含まれる食べ物を摂取しているので欠乏症には比較的なりにくく、むしろ海苔や海藻をおやつとして食べたがる猫は、ヨウ素の過剰摂取の方に注意が必要です。

ヨウ素の過剰摂取は甲状腺機能低下症の原因になります。甲状腺機能低下症とは文字通り甲状腺の機能が低下する病気で、甲状腺機能が落ちることで心拍数や血圧の低下、食欲減退、神経麻痺などの症状を引き起こします。

海外で普段ヨウ素が欠乏している大陸内部の地域でヨウ素を過剰に摂取するとヨウ素誘発性機能亢進症を発症します。

ヨウ素と甲状腺機能亢進症の関係

甲状腺機能亢進症とは

甲状腺機能亢進症は、甲状腺が何らかの原因で調節されずに働き続けることで、甲状腺ホルモンが必要以上に分泌される病気です。高齢猫に多い病気で、原因はバセドウ病や癌、過去の甲状腺ホルモン薬の過剰投与などがあります。

ヨウ素が欠乏しやすい大陸地域では、ヨウ素の過剰摂取によってヨウ素誘発性機能亢進症を発症しますが、日本のように十分なヨウ素を摂取できる地域では、過剰摂取が甲状腺機能亢進症の原因にはなることは少ないと言われています。

低ヨウ素療法食で甲状腺ホルモンの産生を抑える

甲状腺機能亢進症を発症したら、治療としてヨウ素を1/4~1/5ほど制限した低ヨウ素療法食(ヨウ素0.32pm以下の療法食)を与えてヨウ素をに制限します。

ヨウ素は甲状腺ホルモンの構成成分なので、ヨウ素を制限することで甲状腺ホルモンの産生を抑制し、合わせて薬の投与や甲状腺の切除手術などを行います。

まとめ

  • ヨウ素は海藻類や煮干しに多い
  • 過剰に摂取すると甲状腺機能低下症になる
  • 高齢猫は甲状腺機能更新症になりやすく、治療で低ヨウ素食が用いられる

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【監修・執筆】鈴木利奈

一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。