キャットフードの与え方(給餌方法)について解説

鈴木さん
キャットフードの与え方として、猫にはどのタイミングでどのくらいの量のキャットフードを与えるのが正解なんでしょうか。
猫田
実はキャットフードの与え方(給餌方法)にはいくつか方法があります。それぞれにメリットとデメリットがあるので、方法と一緒に紹介していきますね。

キャットフードの与え方(給餌方法)

キャットフードの与え方(給餌方法)には、基本的にこの3つがあります。

キャットフードの与え方
  • 完全自由摂取方式
  • 時間制限給与法
  • 質的制限給与法 

またこの方法を組み合わせた新しい与え方も考えられているので、まずはこの基本的な与え方について見ていきましょう。

完全自由摂取方式

完全自由摂取方式とは、あらかじめ1日に必要な量よりも多いキャットフードを皿に用意しておく与え方です。猫がいつでも食べたいだけ自由にキャットフードを摂取できる給与方法になります。

この与え方のメリット

  • 飼い主の作業が少ない
  • 猫の本来の食事の仕方に近い
  • 猫にとってストレスが少ない
  • 様々な成長段階に対応できる

完全自由摂取方式のメリットは飼い主側の作業負担が少ないという点と、猫にとって本来の少食多食の摂取方法に寄り添えるという点です。

猫は本来、野生化では小動物を1日のうちに何度も狩って少しずつ何度も食事をする動物ですので、好きな時に好きな分だけ食べられる完全自由摂取方式というのは、猫にとってもストレスが少ない与え方と言えます。

さらに自由に摂取させることで、妊娠期や授乳期、成長期など通常より多くのエネルギーや栄養が必要な成長段階にも対応できるメリットがあります。

この与え方のデメリット

  • 体重管理ができない
  • 肥満になりやすい
  • 容器など衛生的に良くはない
  • キャットフードが酸化してしまう

しかし猫に食べる量をすべて任せるということになりますので、デメリットとしては体重管理やカロリー管理ができないこと、そして肥満を引き起こしやすい点があります。

好きなだけ食べても太らない猫もいますが、常にキャットフードが置かれた状態では狩りや運動をせずにフードにありつけてしまうので、体重が増えやすいデメリットがあります。

また完全自由摂取方式はキャットフードを1日中置きっぱなしにしてしまうので、衛生的にはよくありません。キャットフードも空気に長時間さらされることで酸化(劣化)してしまいます。

時間制限給与法

時間制限給与法とは、1日に数回、時間を決めてキャットフードを猫に与える方法です。1回の給与時間は最大30分程度として時間内であれば食べるだけ与えます。決めた時間内に食べきれなかったキャットフードはそのままにせず回収します。

この与え方のメリット

  • 衛生的
  • 酸化や劣化を最小限に防げる
  • 生活リズムがつくりやすい
  • キャットフードを決められた時間に食べる癖が付く 

時間制限給与法でキャットフードを与えるメリットには、ゴミやほこりがかぶることなく衛生的で、キャットフードの酸化(劣化)を最小限に抑えた状態で与えられるという点です。

また猫も徐々に時間が決まっていて与えられる時間が決まっていると分かると、その時間に合わせてキャットフードを食べに来るようになったりその時間内に食べきるようになるケースもあります。

この与え方のデメリット

  • 早食いや吐き戻しの原因になる
  • 必要な栄養を摂取できない
  • 猫のストレスになる
  • 時間を決めなければならない 

この与え方のデメリットは、時間制限を設けることで、猫が栄養を必要な分摂取できない可能性が出てくる点です。本来の猫の食べ方や野生の狩りや食事の歴史を考えても、猫は犬のように一度に沢山のキャットフードを食べる動物ではありません。少食多食の猫の食べ方に寄り添うならこの方法は最も合っていないと言えます。

またたとえ時間内に食べるようになっても、猫が早く沢山食べようとよく噛まずに飲み込んで喉にキャットフードを詰まらせてしまったり、吐き戻しや消化不良の原因になる可能性もあります。

メリットもありますが、個人的には猫にとって負担が大きい方法のように感じます。

質的制限給与法

質的制限給与法とは、決めた一定量のキャットフードを1日数回に分けて与える方法です。給与回数は1日あたり1~3回程度。

時間制限給与法と違うのは、時間が経って猫が食べなくてもキャットフードは片付けないという点と、いくら欲しがっても与える量は決まった量以上は与えないという点です。決められた量の範囲ならいつでも好きな時に食べることができます。

この与え方のメリット

  • カロリー管理がしやすい
  • 肥満になりにくい
  • 食欲や食べた量が把握しやすい
  • 猫のペースで食べることができる

時間制限給与法のメリットとしては、カロリー管理がしやすく猫が食べ過ぎる心配がないため肥満になりにくい点が挙げられます。時間制限と違ってすぐにフードが下げられるわけではないので、猫が食べたいペースで決められた量を食べられるという点でストレスは少ないかと思います。

また決めた量を与えるので、猫がどのくらい食べたか、食欲はあるのかを確認することができ、細かい猫の変化に気づきやすくなります。

この与え方のデメリット

  • 緻密な計算が必要
  • 成長段階に応じた計算が求められる
  • 手間がかかる
  • 計算を間違えたときのリスク

質的制限給与法のデメリットとしては、猫やその猫の成長段階に応じた計算が必要である点です。子猫~成猫になる途中の成長期の猫や妊娠猫や授乳中の猫は、通常の成猫よりも多くのエネルギーを消費します。反対にシニア猫になると活動量が少なくなるため、必要なカロリーの量は少なくなります。

このように質的制限給与法の場合は、他の方法と違って成長段階や運動量、活動量、その猫の健康状態に合わせてキャットフードの量を緻密に計算して与えなければならないデメリットがあります。

もし計算を間違えてしまったり、妊娠中なのに気づかずにいつも通りのキャットフードを与えてしまっている場合、その猫が栄養失調になってしまったり必要なエネルギー量を摂取できなくなってしまう可能性があるため、徹底的な管理がしやすい反面、リスクもあるということになります。

キャットフードの理想的な給与方法とは

猫の性格や食べ方、飼い主のライフスタイルによる

キャットフードの理想的な与え方は、正直、飼い主さんのライフスタイルや猫の性格・食べ方などによると思います。

たとえばよく家をあける飼い主さんに1日3回の給与をすることは難しいので必然的に完全自由摂取方式になりますし、忙しいなら猫の体調をこまめにチェックしてキャットフードの量などを細かく計算することは難しいと思います。

また猫によっても、自分で勝手に必要な量だけ食べられる猫には完全自由摂取方式でもそこまで問題はないかと思いますが、小食であまり一度に沢山食べられない猫に対して時間制限給与法でキャットフードを与えるのは、栄養失調の危険があるため、猫にとって良い与え方とは言えません。

給与方法を組み合わせる

基本的な与え方はあくまで参考程度に、猫の性格と飼い主さんのライフスタイルを考慮に入れて上の方法を組み合わせて与えることで、猫にとっても飼い主さんにとっても良い与え方が見つけられると思います。

たとえば「基本的には完全自由摂取方式だけど1日2回は余ったキャットフードを捨てて新しいフードに変える」ですとか「時間制限給与法だけど時間は1~2時間にする」など、飼い主さんと猫にストレスのない方法に変えてもいいかと思います。

与え方の正解は1つではないので、ぜひ一度考えて工夫してみてはいかがでしょうか。

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。日本化粧品検定協会会員。