目次
スコティッシュフォールドの誕生・起源

1961年、スコットランドで発見
スコティッシュフォールドの起源は、1961年にスコットランドの農場で生まれた1匹の白猫、「スージー(Susie)」にさかのぼります。スージーは他の猫には見られない特徴的な折れ曲がった耳を持っており、この耳の形状は自然発生的な突然変異によるものでした。
スージーは、ウィリアム・ロスという地元の農場主に見出されました。ロスはスコティッシュフォールドの独特な外見に興味を持ち、スージーの子猫を譲り受けて繁殖を始めました。この最初の繁殖により、複数の子猫に折れ耳の特徴が受け継がれることが確認され、スコティッシュフォールドの品種としての歴史が始まりました。
1994年、公認の猫種として登録
1970年代になると、スコティッシュフォールドはアメリカに輸入され、品種改良が進みました。アメリカの猫愛好家協会(CFA)では、スコティッシュフォールドは1978年に正式な品種として登録しています。
スコティッシュフォールドの交配では稀に奇形(関節異常など)の猫が生まれることがあったことから、イギリスでは繁殖を禁止していた時期もありました。しかし研究が重ねられ、1994年にスコティッシュフォールドとして公認されました。
日本でも人気が爆発
スコティッシュフォールドが日本で本格的に紹介されたのは1970年代後半といわれています。とくに1980年代以降、日本でペットブームが起こる中で「癒し系」の猫種としてのイメージが強く、その特徴的な折れ耳と愛らしい外見、穏やかな性格が魅力として大きく広まりました。
テレビや雑誌などのメディアでも取り上げられることで人気が急速に拡大し、現在スコティッシュフォールドは日本国内で非常に人気のある猫種の一つとなりました。ランキングでも連続で1位を獲得する人気ぶりです。
スコティッシュフォールドの性格

穏やかな性格
スコティッシュフォールドは穏やかな性格で、騒がしくすることが少なく、マイペースに生活する傾向があります。他のペットや子供との相性も良く、静かで平和的な生活を好む傾向があります。
他の猫や人との共同生活にも向いていて、初めて迎える猫としては非常に飼いやすいといわれています。
人懐っこく愛情深い
スコティッシュフォールドはとても人懐っこい性格で、甘え上手でおとなしい子が多い傾向があります。
人や他のペットに対して有効的で、家族と過ごす時間を大切にします。膝の上でくつろいだり、側に寄り添うことを好むなど、愛情表現が豊かです。他の猫種よりも「甘えん坊」と感じられることが多いでしょう。
適応力が高い
スコティッシュフォールドは新しい環境や変化にも比較的順応しやすい性格です。他のペットや子どもとも上手に付き合えるため、家族構成が多様な家庭にも適しています。
遊び好きで好奇心旺盛
スコティッシュフォールドは穏やかな性格を持つ一方で、遊び好きな一面も持っています。とくに飼い主とのおもちゃ遊びを楽しみ、狩猟本能を刺激する遊びには積極的です。
スコティッシュフォールドの毛色・模様

毛色や模様のバリエーションが豊富

スコティッシュフォールドはさまざまな毛色を持っています。また単色だけでなく、模様のバリエーションが幅広いのも特徴です。
とくに「タビー」や「キャリコ」は独自の美しさを楽しむことができ、多くの愛猫家に愛されています。
短毛種がスタンダード
スコティッシュフォールドは短毛種と長毛種が存在しますが、長毛種は遺伝的に劣勢のため少なく、短毛種の方が多い傾向です。
短毛種は密度が高く柔らかい毛並みを持ち、手触りがなめらかです。
長毛種はふわふわした被毛で、エレガントな雰囲気を持っています。長毛種のスコティッシュフォールドは「ロングヘアフォールド」や「ハイランドフォールド」などとよばれ、毛色や模様が被毛の長さによって印象が変わるのも魅力の一つです。
スコティッシュフォールドの顔・体型

立ち耳のスコティッシュフォールド
特徴的な折れ耳
スコティッシュフォールドの特徴は、なんといっても折れ耳です。
フォールド(fold)には「折る」「折りたたむ」という意味で、折れ耳が名前の由来にもなっていますが、立ち耳の子もいます。
折れ耳は優性遺伝子によるものですが、折れ耳同士を交配すると骨や関節の異常が発生する可能性があることが分かり、繁殖には慎重な管理が求められるようになりました。現在では、健康リスクを抑えるために、折れ耳(フォールド)と立ち耳(ストレート)の猫を交配するのが一般的となっています。
丸みのある顔と大きな目
スコティッシュフォールドの最大の特徴はその折れ耳ですが、それだけではありません。
丸みを帯びた顔、ふっくらとした頬、大きな目も魅力です。これらの特徴は愛らしい表情を生み出し、多くの愛猫家を惹きつけています。
平均的なサイズで短い足
頭から尻尾まで約60cm程度まで成長し、メスよりもオスの方がやや大きめに育つことが多いですが、大人でも3~6キロ程度の体重が平均的です。肉付きがいいのでむちっとした体つきで、ややがっしりとした体型をしています。
他の猫種と比べても同じくらいのサイズですが、足や尻尾が短めなので、全体的にやや小さい印象を受けるかもしれません。
スコティッシュフォールドの飼い方

生活環境
折れ耳の猫は耳の通気が悪いため、外での汚れや感染症リスクを避けるために、頻繁に外に連れ出すのは避けた方が良いでしょう。
スコティッシュフォールドは穏やかな性格ですがキャットタワーの上り下りなどを好むので、設置すると良い刺激になります。しかし骨や関節に問題を抱えやすいため、ジャンプを多用しないで済む階段状の設計がおすすめです。
食事管理
スコティッシュフォールドは肥満になりやすい傾向があるため、食事によるカロリーコントロールが重要です。高品質でバランスの取れたキャットフードを選び、おやつは与えすぎに注意して体重管理を意識して適量を与えましょう。
子猫期、成猫期、シニア期と成長段階に応じたキャットフードを選ぶことも重要です。
ブラッシング
スコティッシュフォールドの被毛は短毛と長毛の2種類があり、それぞれに適したブラッシングが必要です。
短毛種の場合は週に1~2回の軽いブラッシングで抜け毛を除去し、皮膚を清潔に保ちます。長毛種の場合は毛玉ができやすいため、週に3~4回が良いでしょう。とくに換毛期には毛の抜け替わりが増えるため、ブラッシングの頻度を上げましょう。
柔らかいブラシを使用し、優しくブラッシングすることで猫が嫌がらず、スキンシップの一環としても楽しめます。耳掃除や爪切りも定期的に行い、全身の清潔を保つことが重要です。
遊び
スコティッシュフォールドは穏やかな性格ですが、遊びを通じて運動不足やストレスを解消することが大切です。遊びの時間は1回10~15分程度を1日に数回が理想的です。
ボールやネズミ型のおもちゃ、レーザーポインターなどで狩猟本能を刺激し、適度に体を動かせる遊びを提供しましょう。骨や関節に負担をかけないようジャンプを多用する遊びは避け、床で楽しめる遊びを中心にします。
スコティッシュフォールドのかかりやすい病気

純血種は寿命が短い傾向
一般的に、純血種は混血種に比べて寿命が短いという特徴があります。そのため、猫全体の寿命は15歳程度である一方で、スコティッシュフォールドの寿命は10~13年程度のことが多い傾向です。
通気性が悪いため「外耳炎」になりやすい
耳が折れているため通気性が悪く、耳の病気になりやすい点も注意しなければなりません。
とくに外耳炎になりやすいため、定期的に耳掃除をし、異変があった場合は速やかに動物病院に連れていくようにしましょう。
スコティッシュフォールド特有の「骨軟骨異形成症」
スコティッシュフォールドは、先天的に骨格に障害を持っていることがあります。
とくに「骨軟骨異形成症」はスコティッシュフォールド特有の遺伝性疾患で、骨や関節に異常が生じる病気です。スコティッシュフォールドの特徴的な折れ耳を形成する遺伝子(FDF4遺伝子変異)が原因で発生し、耳の軟骨だけでなく全身の軟骨や骨の発育にも影響を及ぼします。
骨軟骨異形成症は折れ耳は優性遺伝であり、折れ耳同士の交配は病気の発症リスクが非常に高くなります。折れ耳と立ち耳の猫を交配するのが一般的となっているのはこのためです。
原因となる遺伝子が解明され、折れ耳×立ち耳の交配をすることで以前よりは症状が軽度になることが分かっていますが、重症度との関連や病変の発現パターンなどとの関連が明らかになっていないため、複数の因子が関与していると考えられています。
痛みを紛らわすための「スコ座り」
スコティッシュフォールドによくみられる「スコ座り」。背中を地面につけ、後ろ足を前に投げ出して座る姿勢のことをいいますが、人間が座っているように見えることからスコ座りとよばれています。スコティッシュフォールド以外の猫種でもみられることがあり、多くの猫好きにとって愛らしい仕草の一つとされています。
スコ座りはリラックスしている状態のときに見せることもありますが、骨軟骨異形成症の影響により関節や骨に影響を及ぼし、関節に体重がかからないように痛みを避けているためとも考えられています。
立ち耳のスコティッシュフォールドは病気になりにくい
折れ耳のスコティッシュフォールドは骨や耳の病気になりやすい特徴がありますが、立ち耳のスコティッシュフォールドは病気になりにくく、遺伝的にも強い個体が多いとされています。
立ち耳のスコティッシュフォールドは、折れ耳の原因となる遺伝子(FDF4遺伝子変異)を持たないため骨や関節に異常が出るリスクが低く、また耳の通気性も良いことから耳の病気にもなりにくいといわれています。
スコティッシュフォールドの価格

スコティッシュフォールドは人気猫種ということもあり、6万円~40万円と幅広い価格です。
折れ耳は希少性と人気の高さから価格が高くなる傾向があります。また毛色や模様によっても価格が変動し、人気が高いキャリコ(三毛猫)は高い価格がつきます。また成猫よりも子猫の方が高い傾向です。
まとめ
- 折れ耳と丸い顔が特徴の猫種
- 社交的で穏やか、甘え上手な性格
- 折れ耳は骨病変や関節疾患、耳の病気に注意