猫種 | アビシニアン |
英語表記 | Abyssinian |
原産国 | エジプト |
毛種 | 短毛種 |
毛色 | |
模様 | ティックドタビー |
毛質 | ダブルコート |
体型 | フォーリン |
太高 | 40~60cm |
体重 | オス:3~4.5kg メス:2.5~3.5kg |
アビシニアンの誕生・起源
さまざまな起源説がある
アビシニアンの起源には諸説あり、エジプト、エチオピア、イギリスなどさまざまな説が挙がっています。
◆エジプト起源説
古代エジプトの壁画や彫像には、現在のアビシニアンに非常に似たスレンダーでエレガントな猫が描かれていることから、アビシニアンは古代エジプトで崇拝されていた猫を祖先とする可能性が高いとされています。
◆エチオピア起源説
アビシニアンの名前は、エチオピアの旧国名「アビシニア」に由来するという説があります。
イギリス・エチオピア戦争のあとイギリス兵が連れて帰ったとされるメス猫がいます。「ズーラ」と名付けられ、これがアビシニアン種の始まりだとする記録があります。
ただし、ズーラがエチオピア原産の猫であったのか、エチオピアを経由して他の地域から来た猫であったのかについては明確な証拠がなく、議論が続いています。
◆東南アジア起源説
遺伝学的研究によれば、アビシニアンはインド洋沿岸地域や東南アジアの猫が祖先である可能性もあります。これらの地域の猫たちは、野生的な特徴を持つ猫としてアビシニアンに似た姿を持っている場合があり、この地域からアビシニアンが派生したと考える説もあります。
品種としての発展
アビシニアンは起源はさまざまありますが、その後イギリスに渡って改良され、1871年にイギリスのロンドンのクリスタルパレスで開催された猫展覧会(キャットショー)にデビューします。
その後20世紀初頭にはアメリカに輸出され、さらなる品種改良が行われました。とくに短毛でティックド(毛一本一本に複数の色が交じる)被毛の特徴が強調され、現在のアビシニアンの外見が確立されました。
飼育頭数ランキングでは第20位
引用画像:家庭どうぶつ白書2023|アニコム
アビシニアンが日本にやってきたのは1970年代後半~1980年代とされています。日本ではペット文化が発展し、純血種の猫に対する需要が高まっていました。とくにアビシニアンの優雅な外見と活発でフレンドリーな性格が注目され、愛猫家の間で人気が広がりました。
アニコムが発表した飼育頭数ランキング(2023年)では、全年齢では第20位、0歳のみでは第23位にアビシニアンが入っています。
アビシニアンの性格
活発でエネルギッシュ
アビシニアンは動きが機敏で運動量の多い猫種であり、その活動的な性格から「猫界のアスリート」とも呼ばれることもあります。
高いところに登ったり、ジャンプを繰り返したりと、常に身体を動かすことを楽しみます。そのため十分に体を動かせる環境が必要で、キャットタワーやトンネル型のおもちゃがあると好まれます。
好奇心旺盛
アビシニアンは新しいものに対する興味が強く、家の中を探索することを楽しみます。引き出しや棚を開けて中を覗いたり、家電や小物に興味を示したりと、日常生活の中で好奇心を発揮します。
こうした行動は賢さのあらわれとも言えますが、危険な場所や物品には注意が必要です。
社交的で愛情深い
アビシニアンは人懐っこい性格を持ち、飼い主さんや家族と過ごす時間を好みます。膝の上でくつろぐというよりは、飼い主さんの近くで遊んだり、一緒に過ごしたりすることを好む傾向があります。
また、他の猫や犬とも比較的仲良くなりやすいため、多頭飼いにも適しています。
甘えん坊でありながら独立心もある
甘えん坊な一面を持ちながらも、完全な依存的ではありません。飼い主さんが不在の際には自分で遊びを見つけたり、環境に適応したりする独立心を持っています。
ただし、長時間の放置が続くとストレスを感じることもあるため、適度なスキンシップが必要です。
知的でトレーニングしやすい
アビシニアンは高い知能を持つため、簡単なしつけを覚えることができます。例えば、名前を呼ぶと返事をする、遊びのルールを覚える、ボールを投げると取ってくる、といった行動をする子もいます。しつけには困らない猫種です。
アビシニアンの毛色・模様
ティックドタビー模様
アビシニアンの被毛の特徴は、ティックドタビー模様です。
ティックドタビーとは毛一本一本が複数の色の帯で構成されており、一本の毛に2~3回色が変わるティッピング(帯状模様)が見られます。この特殊な模様が全体として均一な色調を生み出して単色に見える一方で、光の当たり方によって複雑な陰影があらわれます。
この特徴的なティックドタビー模様は、イエネコの祖先とされるリビアヤマネコに由来していると考えられています。
主な毛色
アビシニアンには4つの代表的な毛色があり、それぞれがティックド模様を基にしています。
- フォーン:淡いクリーム色のベースに、薄い茶色のティップが入る
- ブルー:グレーがかった色調で、毛先にはスレートグレーのティップがある
- ルディ:赤みがかった茶色の被毛に、黒いティックド模様が入る
- レッド:オレンジや赤褐色を基調とした色で、赤系のティップが特徴的
被毛の質感
アビシニアンの被毛は短くて密度が高く、なめらかでシルクのような手触りです。この質感は毛色と模様を一層際立たせ、光沢感を生み出します。
アビシニアンの顔・体型
バランスの取れたくさび形の顔
アビシニアンの顔は、バランスの取れた楔形(くさび形)をしています。細長くもなく、丸すぎない形状で、滑らかなラインが特徴的です。
大きくてアーモンド型の目は、顔立ちを引き立てる魅力的な要素です。目の色は金色、緑、ヘーゼルなどで、被毛の色と調和した明るい輝きを放ちます。アイラインのような濃い色の縁取りがあり、目元をより印象的にしています。
大きめで先端が少し丸みを帯びた耳は、ピンと立ち、顔全体に活発で好奇心旺盛な表情を与えます。耳は広めにセットされており、外界の音に敏感に反応します。
鼻筋はまっすぐで、マズル(口元)は引き締まっており、全体的にすっきりとした印象を与えます。顔全体に知的でエレガントな雰囲気があります。
筋肉質でしなやか
アビシニアンは大きすぎず、小柄すぎない適度なサイズで、筋肉質でありながらしなやかさを兼ね備えた体型が特徴です。見た目はスリムに見えますが、実際に抱き上げると意外と重量を感じられます。
この体型は「セミフォーリンタイプ」と呼ばれるもので、スレンダーながらもエレガントで力強さを感じさせます。この美しい姿を見られることも飼い主さんの楽しみの一つです。
アビシニアンの飼い方
生活環境
アビシニアンの飼い方や暮らし方を理解することは、健康で安全な生活をするうえで重要となります。アビシニアンを迎える前に飼い方をしっかりと確認しましょう。
食事管理
アビシニアンは筋肉質な体型を維持するため、高品質でバランスの取れたキャットフードを選ぶことが大切です。運動量が多いためエネルギーを摂取しなければなりませんが、過剰な食事は肥満の原因になるので注意が必要です。
子猫、成猫、シニア猫と成長段階に応じた栄養バランスを考慮し、年齢に適したキャットフードを選びましょう。また、水分摂取が重要なので新鮮な水を常に用意したり、ウェットフードを適度に取り入れると良いでしょう。
ブラッシング
アビシニアンの被毛は短毛で滑らかなので、頻繁なブラッシングは必要ありません。ただし、抜け毛を除去して皮膚を健康に保つために、週1回程度のブラッシングを行うのが理想的です。
ブラッシングには柔らかいブラシやラバーブラシを使用し、優しく行いましょう。とくに換毛期には毛が抜け替わるため、頻度を増やすことで毛球症のリスクを減らすことができます。また、被毛のケアを通じてスキンシップを図ることができ、猫との信頼関係を築くきっかけにもなります。
また、アビシニアンは飼い主さんとの交流を好むため、ブラッシング時には優しく声をかけたり、スキンシップを図りながら行うと良いでしょう。これにより、猫がブラッシングを嫌がることなくリラックスできる環境を作ることができます。
遊び
アビシニアンは好奇心が強く、遊びを通じてエネルギーを発散することが必要です。とくに動くものや音がするおもちゃ、猫じゃらしなどは狩猟本能を刺激するため、アビシニアンにとって最適です。
また知的であるため、単調な遊びでは飽きてしまう可能性があります。定期的におもちゃを変えたり、工夫したゲームを取り入れることで、飽きさせないようにしましょう。1日2~3回、1回10~15分程度の遊び時間を確保することが理想です。
アビシニアンのかかりやすい病気
進行性網膜萎縮
アビシニアンは遺伝性疾患の「進行性網膜萎縮」にかかりやすいとされています。
進行性網膜萎縮とは、網膜の光受容体(桿体細胞と錐体細胞)が徐々に劣化することによって機能を失う病気です。初期には夜盲症(暗い場所で視力が低下)がみられ、症状が進行すると日中の視力も徐々に低下します。最終的に完全に失明することがあります。
猫の場合は後天性が多くみられますが、アビシニアンやペルシャは遺伝的に発症しやすいといわれています。一度発症すると回復は難しいため、遺伝子検査などの予防を行うことで繁殖前にリスクを低減することができます。
歯周病
アビシニアンはそのスリムな顎の構造により歯石や歯垢が溜まりやすく、歯石の蓄積や歯肉の炎症につながりやすい傾向にあります。初期は口臭や歯肉炎、歯茎の炎症、食欲不振があらわれ、放置すると歯周病に進行し、最終的には歯が抜け落ちる可能性があります。
アビシニアンの価格
アビシニアンの価格は、一般的な相場として生後3か月以内の子猫は10万円~50万円程度とされています。
毛色や血統、年齢などにより価格は変動しますが、人気の毛色のブルーは相場より5~10万円ほど高い傾向にあります。
まとめ
- 起源はエジプト、エチオピア、イギリスなど諸説ある
- 活発で賢く、甘えん坊でありながら独立心もある
- 筋肉質でしなやかな体型を持つ
- 遺伝的に進行性網膜萎縮にかかりやすい