猫の尿が臭い原因
猫特有のたんぱく質「コーキシン」が触媒となり、アミノ酸「フェリニン」を生産
猫の体内構造は、私たち人間と異なり、正常な腎臓機能であっても、尿の中に大量のたんぱく質が存在するという珍しい生理現象があります。その中でも「コーキシン」と呼ばれる猫特有のたんぱく質が、腎臓の尿細管で合成された後、尿中に分泌されます。
このコーキシンが、同じくネコ科の動物にだけ特異的に存在する、アミノ酸の一種「フェリニン」の生産を触媒することによって、猫特有の尿の臭いが発生しています。
「フェリニン」が分解されて生じる「3-メルカプト-3-メチル-1-ブタノール」が臭いの原因
また、猫の尿に含まれる臭い成分の揮発性の分析結果では、猫の尿から約100種類もの揮発性物質が検出され、その中に、フェリニンが分解されて生じる「3-メルカプト-3-メチル-1-ブタノール」とその類似化合物が含有されていることが発見されています。この「3-メルカプト-3-メチル-1-ブタノール」が、猫の尿に特有の臭いを発生させる原因物質となっていたわけです。
去勢・避妊をすると分泌量が減り、臭いも減る
ある調査結果では、コーキシンとフェリニンの分泌量は、去勢前の雄猫は非常に多く、去勢後の雄猫と雌猫は少ないことが明らかになっています。また、フェリニンの分泌量の比較では、去勢前の雄猫が雌猫の約4.5倍と大きな差が出ています。
猫の尿の臭いはテリトリー誇示や異性にアピールするため
ネコ科だけがフェリニンを排出する理由は科学的には判明していませんが、猫が行うスプレー行為(尿を一直線に飛ばして臭い付けを行う行為)などからも、強い臭いを残すことでテリトリーの誇示をしたり、異性にアピールすることが目的と考えられています。
猫の尿の臭いが変わったら病気のサイン
通常の臭いをしっかり覚えておきましょう。臭いが変わったら病気のサインです。膀胱炎や糖尿病が一番に考えられます。
膀胱炎の場合は細菌によりアンモニア臭が強くなり、膿尿になると発酵したような臭いで、尿の色も膿が混ざってきますので目で見てわかるようになります。
糖尿病の場合は尿中に糖が出て、進行すると果物のような甘酸っぱいアセトン臭がします。飲水量も増え、尿量も増えますのでトイレの臭いは強くなります。
猫の尿の臭いは軽減できない
上記のように猫の尿の臭いは猫特有のものであり、軽減できないと考えてください。
このため猫の尿臭が気になる場合にはどのように消臭するかが問題となってきます。
消臭剤は各社から販売されていますので会うものを確認してもらうとして、それ以外でできることはトイレの数を増やすことで清潔を保ったり、トイレの掃除回数を増やすことが大切です。
猫の臭いは強いため、砂を全て交換してもトイレ自体に臭いが残ってしまいます。この臭い残りを少しでも減らすことが部屋内の尿の臭いを減らすことにつながりますので、できる限りトイレを汚さず、こまめに掃除をするようにしましょう。