2024年フランスで犬猫の店頭販売が禁止に!イルカショーやサーカスなども規制の対象に

フランス 猫

<最新ニュース>フランスで犬猫の店頭販売禁止などが盛り込まれた法改正案が可決

改正によって定められた新たな規制

2021年11月18日、フランスは、2024年から犬や猫をペットショップで販売することを禁止する法改正案が、ほぼ全会一致の賛成332票、反対1票、棄権10票で可決しました。

フランスでは、現在約2,200万頭の犬や猫がペットとして飼育されており、国民の2人に1人がペットと暮らしているというペット愛好国のひとつとして知られていますが、現地の動物福祉団体やメディアによると、毎年10万頭のペットが捨てられていると報じています。

フランスでの飼育放棄や遺棄、動物の衝動買いなどを防ぐための取り組みとして、犬や猫の店頭販売禁止の他、以下のような項目が成立しました。

  • 犬や猫のペットショップでの販売禁止
  • ショーウィンドウでの動物展示や陳列を禁止
  • ペット購入者に飼育に責任を持つ誓約書の提出を義務づけ
  • 未成年者に購入の場合は保護者の同意を義務づけ
  • オンライン(ネット上)販売も規制対象
  • 動物の放棄の厳罰化
  • サーカスやイルカショーの段階的な禁止
  • ミンク養殖の禁止

2024年1月以降は、ペットショップでの犬や猫の販売が禁止され購入はできなくなるため、認可されたブリーダーから購入するか保護団体からの譲渡方法がとられるようになります。ウサギや魚などもショーウィンドウへの陳列は禁止となります。

また、2026年からはイルカショーやシャチショー、2028年からは移動式サーカスの野生動物の利用も段階的に禁止するとしています。

フランスの動物愛護に関する法律の歴史

動物虐待処罰法として制定された「グラモン法」

フランスは、ペット先進国で動物虐待や動物愛護への考え方が進んでいたイギリスが非常に近くにあり、フランスも少なからずイギリスの影響を受けています。イギリスでは1822年には家畜の虐待を防止するマーチン法が制定されており、その数十年後、フランスも後を追うように動物保護に関する法律の制定や団体の設立がされています。

フランスでは、1846年に動物保護協会が設立し、その4年後(1850年)に動物虐待に関する処罰を規定した「グラモン法」が制定され、1876年には動物実験反対連盟の発足しました。

1963年の刑法典では、物や財産としっかりと区別されている

制定からおよそ100年後の1963年、グラモン法は廃止し「刑法典」によって虐待法等が規定されるようになりました。

また、1994年に改正された刑法典では、動物に対する虐待が「財産に対する罪」ではなく「その他の罪」として規定されています。

フランス 刑法典 動物引用元:動物の法的地位 -憲法の観点からの考察-

1994年のフランス刑法典では、動物に対する虐待が、「人に対する罪」、「財産に対する罪」、「国家・公安に対する罪」のいずれでもない、「その他の罪」に入れられ、しかも「ヒト胚の保護に関する罪」等と同じ編に入れられたことから、動物が「人」と「財産(物)」とは区別され、「ヒト」に近づいていることが見て取れる

日本の法的な考え方では、ペットや動物は「所有物」や「財産」として扱われますが、フランスの刑法典では、動物への罪に対して、人でも物でもない「その他」の罪として物や財産としっかりと区別されていることから、より人の地位に近づいたことがわかります。

まとめ

  • 2021年11月18日に法改正案が可決
  • 動物愛護、動物保護に関する規制が新たに加わった
  • 犬猫のペットショップでの販売を禁止
  • フランスでの動物の飼育放棄や遺棄、動物の衝動買いの防止が目的
フランス キャットフード

フランスのペットフード事情。飼育率No.1のペット先進国!2021年12月可決の法改正案

2021年12月20日

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。日本化粧品検定協会会員。