キャットフードの没食子酸プロピルは危険?変異原性(遺伝毒性)が認められる

キャットフード 没食子酸プロピル

キャットフードの酸化防止剤:没食子酸プロピル

非常に強力!バターや化粧品、医薬品の合成酸化防止剤

没食子酸プロピル(Propyl gallate)は、食品や化粧品、医薬品などに酸化防止剤や香料として利用されていて、キャットフードでも酸化防止剤としてロイヤルカナンなどに配合されています。1818年にフランスの薬学者によって発見された有機化合物で、「もっしょくしさん」または「ぼっしょくしさん」プロピルと読みます。

没食子酸プロピルは、日本でも食品添加物として指定添加物リストに登録されています。油に溶けにくく、添加した食品を紫色に変色させる欠点があるものの、BHTやBHAと比べても非常に高い抗酸化作用があり、少量の添加で強力な酸化防止効果が期待できます

現在は食品利用はほとんどなく、ペットフードへの使用も少なくなった

ただ試験などで危険性が認められたため、現在は没食子酸プロピルが食品に使用されることはほとんどなくなりました。

キャットフードなどのペットフードでも、BHT、BHA、エトキシキンと同様に、没食子酸プロピルは体への悪影響が心配されるため、没食子酸プロピルをつかったキャットフードメーカーは以前より少なくなりました。

没食子酸プロピルには変異原性(遺伝毒性)がある

染色体異常試験、DNA修復試験で陽性が確認

没食子酸は変異原性(遺伝毒性)が確認されています。変異原性とは、DNAや染色体に変化を引き起こす性質をいい、正常な遺伝情報に影響を与えたり、生殖機能に影響します。

ラットによる試験では、没食子酸が含まれた餌を与えた結果、没食子酸プロピルの含有量はかなりの量ではあったものの、染色体試験、DNA修復試験ともに陽性の反応を示しています。

また猫が摂取した時の影響や、他の物質と摂取した時の作用についてもはっきりとは分かっていません。

発がん性は認められていない

没食子酸プロピルは遺伝毒性はあるものの、IARC(国際がん研究機関)によって発がん性は認められていません。

没食子酸プロピルはペットフード安全法で上限値が定められていない

没食子酸プロピルは、BHA、BHT、エトキシキンのようにペットフード安全法で使用量に制限や上限値が設けられているわけではなく、制限なく使用することができます。

だからといって、猫の無毒性量を超え、体に影響が出るほどの没食子酸プロピルを使用するメーカーはほとんど存在しないと思いますが、配合されてしまう可能性として0ではありません。

また、没食子酸プロピルは他の物質や成分との反応でどのような影響が出るかも分かっていません。このため、キャットフードのように様々な食材や栄養素が含まれる場合、他と反応してどのような危険があるか分からない懸念点もあります。

まとめ

  • 非常に強力な抗酸化作用がある
  • キャットフードでは最近はあまり使用されない
  • 没食子酸プロピルは添加すると紫色に変色させる
  • 変異原性(遺伝毒性)が認められる
  • ペットフード安全法で上限値が定められていない
  • 猫の体への悪影響や他物質との反応による危険性がはっきり分かっていない

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2020年3月19日

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。日本化粧品検定協会会員。