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キャットフードの原材料:ウナギ(eel)
ウナギはウナギ科ウナギ属に分類される魚です。高級食材として有名ですが、それはウナギの獲れる量が減り、需要と供給のバランスが崩れてきていることが原因です。「土用の丑の日」があるだけあって夏バテや疲労回復に効果的な食べ物で、夏の暑い時期に食べたり、たまのご褒美として食べる方も多いのではないでしょうか。
ウナギの豊富な栄養について、猫が得られるメリットについて、ご紹介します。
ウナギが原材料のキャットフード:イティ
イティはニュージーランド産の原材料のみを使用したペットフードメーカーです。下記のイティの記事は猫用キャットフード/チキン&サーモンの紹介ですが、ウナギを使用したビーフ&イールも販売されています。
ウナギの栄養とメリット
下表は、ウナギの蒲焼きと白焼き100gあたりの栄養素です。
蒲焼き | 白焼き | ||
---|---|---|---|
エネルギー | 285 | 300 | kcal |
水分 | 50.5 | 32.1 | g |
たんぱく質 | 23.0 | 20.7 | g |
脂質 | 21.0 | 25.8 | g |
ナトリウム | 510 | 100 | mg |
カリウム | 300 | 300 | mg |
カルシウム | 150 | 140 | mg |
レチノール(ビタミンA) | 1500 | 1500 | μg |
食塩 | 230 | 220 | g |
ビタミンB1 | 0.75 | 0.55 | mg |
ビタミンB2 | 0.74 | 0.45 | mg |
※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
EPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)
EPAとDHAは体内で合成することができない不飽和脂肪酸です。
EPAは血管や血液の健康維持に効果的の成分です。血液をサラサラにし、心筋梗塞や脳梗塞などの血管の病気を予防します。またコレステロールの調整や中性脂肪を減らす働きを持ちます。
DHAは脳の構成成分で、脳の働きを活発にし、血液のつまりを予防します。
「高脂肪は体に悪いのでは?」と心配する方も多いですが、EPAとDHAは良質な脂です。そのため、ウナギを与える量や頻度に気を付ければ心配ありません。
ビタミンA
ビタミンAは主にレチノールとβ-カロテンの2種類で、ウナギを含む動物性食品にはレチノールが主に含まれています。とくにウナギは、他の魚類に比べてビタミンAが多く含まれています。
ビタミンAは皮膚や眼、骨、粘膜などの健康維持に関与しています。粘膜形成を正常化することで病原体の侵入を防ぎますが、ビタミンAが不足すると粘膜が弱くなり、免疫力の低下や感染症にかかりやすくなります。
ビタミンB1、B2
ビタミンB群は全部で8種類あり、互いにサポートし合いながら働く栄養素です。
ビタミンB1は食べ物の糖質をエネルギーに変換するのに必要なビタミンで、糖質を分解する働きを持ちます。そのため、糖質が多い食べ物を摂取すればするほどビタミンB1は不足されていきます。おやつやつまみ食いなどでキャットフード以外の食べ物から糖質を多く摂取している猫は、ビタミンB1の摂取を意識することが大切です。ビタミンB1は主に豚肉や穀物に多く含まれていますが、ウナギは豚肉と同等の含有量を誇ります。
ビタミンB2は脂質をエネルギーとして作り出すのをサポートする栄養素です。また皮膚や被毛などの健康維持や成長をサポートする働きを持ちます。ビタミンB2は主に魚や乳製品に多く含まれ、ウナギの含有量は魚類の中でトップクラスです。
猫は食べ物からビタミンAを摂取しなければならない
ビタミンAは、猫にとって重要な栄養素の一つです。
しかしカボチャやニンジンなどの緑黄色野菜に含まれているβ-カロテンをビタミンAに変換する酵素を持っている犬と違い、猫はその酵素を持っていません。そのため、食べ物からビタミンAを摂取することが大切となります。
ビタミンAはキャットフードにも含まれているので、きちんとキャットフードを食べていれば問題ありません。しかし食欲が落ちている猫やキャットフードへの食いつきが悪い猫には、少量からウナギを与えてみましょう。ウナギは魚類の中でもビタミンAを多く含む食べ物としてトップクラスなので、猫のビタミンAの供給に効果的です。
ウナギは貧血や夏バテに効果的!
私たち人間も、「ウナギは貧血や夏バテに効果的」「ウナギを食べると疲労回復する」と聞いたことがあるでしょう。それは猫も同じで、ウナギは貧血ぎみの猫、夏バテぎみの猫、体力が落ちている猫におすすめの食べ物です。
猫はもともと肉食動物なので、たんぱく質を必要とします。ビタミンB1は食べ物の糖質をエネルギーに変換しますが、例えば毎日食べるキャットフードが炭水化物が多いものの場合、その分ビタミンB1が必要となります。
体を作るうえでたんぱく質・糖質・脂質からエネルギーを作り出していますが、十分なエネルギーを作り続けるにはビタミンB群の働きが必要不可欠になります。そのためビタミンB群が不足すると十分なエネルギーを作り出すことができず、元気がなくなったり疲労につながります。
「愛猫にウナギをあげたいけど高い…」という方は、アナゴがおすすめです。ウナギと比べると栄養価は少し下がりますが、含まれている栄養素は似ているので代用が可能です。
猫にウナギを与えるときの注意点
生のウナギは絶対に与えない
生のウナギの血液やぬるぬるした成分には「イクチオヘモトキシン」という強い毒性が含まれていて、摂取すると中毒症状があらわれます。このイクチオヘモトキシンは加熱することで無毒化されるので、猫にウナギを与えるときは必ず焼いたものを与えましょう。
そもそも生のウナギを猫に食べさせる機会はほとんどないと思いますが、万が一猫が口にしてしまったらすぐに病院で診てもらいましょう。
人間用のウナギは水で洗うか焼く
人間用に販売されているウナギは調味料が大量に使用されているので、そのままを猫に与えてはいけません。蒲焼きは醤油やみりんなどの調味料、白焼きは塩分が豊富に含まれています。
猫に人間用のウナギを与えるときは、水で洗い流したあとにフライパンで焼いてください。またはお湯で茹でることで調味料や余分な脂質を落とすことができます。
また生のウナギをご自宅で焼く場合は、塩や味付けはせずに白焼きにしましょう。
与えすぎは肥満や病気の原因に
ウナギは栄養価が高い一方で、カロリーや脂質、コレステロールが高めです。そのため与えすぎると下痢になったり、肥満や病気の発症につながります。肥満気味の猫には与えるのは避け、健康的な猫であっても継続的な摂取はおすすめできません。
ウナギを与えるときは1日の適正総カロリーの5%を目安に、キャットフードにトッピングしたり、おやつやご褒美として与えましょう。
小骨を取り除く
ウナギの小骨は細く小さいため、健康的な成猫であれば気にせずそのまま食べることができます。しかし子猫やシニア猫の場合は喉に刺さって傷つけてしまったり、消化不良となる恐れがあります。なるべく小骨を取り除き、身をほぐしてあげると安心です。
まとめ
- EPAとDHAは血管の健康維持やコレステロールの調整、脳の活性化に効果的
- ウナギにはビタミンA、B1、B2が豊富に含まれている
- ウナギは夏バテや疲労回復に効果的
- 人間用のウナギを与えるときは洗い流して焼く