キャットフードの成分:モリブデン(Molybdenum)
モリブデンとは
モリブデン(Molybdenum)とは、体内の代謝や血液に関わる栄養素で、肝臓や腎臓に多く存在する必須微量ミネラルのひとつです。
1778年にスウェーデンの化学者によって発見された金属元素であり、molybdenumはギリシャ語で「鉛」を意味する言葉です。モリブデンは植物にとっても必須元素になるので、穀物や野菜などにも含まれています。
動物体内には1~4mg/kgで存在しているとされていますが、成人の体内のモリブデン量は9mg以下なので、たとえば4kgの猫の場合は体内に4~16mgのモリブデンが存在していることになりますが、実際は最低値位かもっと少ないかもしれません。
モリブデンが豊富な食べ物
モリブデンは豆類や穀類に特に多く含まれています。また動物性食品では豚レバーなどに多く含まれています。また、モリブデンの吸収率は非常に高く、人の場合ですが、経口摂取したモリブデンの吸収率は88~93%と約9割が体内に取り込めていることが分かります。
モリブデンの働きや作用
鉄分の働きを高めて貧血予防
血のミネラルとも呼ばれるモリブデンは、生体内では造血に関わり、鉄分の働きを高めて貧血予防に役立ちます。
補酵素として代謝を助ける
画像引用元:6. 2. 8.モリブデン(Mo)|厚生労働省
モリブデンは、キサンチンオキシダーゼ、アルデヒドオキシダーゼ、亜硫酸オキシダーゼの補酵素(モリブデン補欠因子)として機能しており、亜硫酸から硫酸、ヒポキサンチンからキサンチン、キサンチンから尿酸への反応を触媒することによって、プリン、ピリミジンを含む複素環式化合物、及び亜硫酸を酸化、無毒化している。伝的なモリブデン補欠因子欠損症では、亜硫酸の蓄積によって脳の萎縮と機能障害、痙れん、精神遅滞、水晶体異常、及びキサンチン代謝異常による血清尿酸濃度の異常などが生じる。
モリブデンはオキシターゼの補酵素として機能し、体内の化学反応の触媒として体内の代謝や機能を維持しています。不足することは少ないものの、モリブデンが不足すると、脳や神経障害などが引き起こされ、体に異常が現れます。
キャットフードにおけるモリブデンの必要量
AAFCO・FEDIAFでの最低基準はなし
キャットフードの栄養基準では、モリブデンの基準は設定されていません。
必須栄養素の多くはキャットフードの栄養基準を定めるAAFCOやFEDIAFなどで最低基準などが定められていますが、モリブデンの必要量は微量であり、また吸収率も高いので、通常の食事が摂取できていれば不足することは稀なので設定する必要がないのかもしれません。
まとめ
- 造血や代謝に関わる必須微量ミネラル
- 吸収率が高く不足することはめったにない
- キャットフードの最低基準なども設定されていない