目次
キャットフードの原材料:グリンピース(green peas)
栄養価が高い植物
グリンピースはマメ科エンドウ属の植物で、エンドウ豆の仲間です。サヤエンドウの中の豆がある程度まで成長して成熟する前に収穫したものをグリンピースといい、グリンピースが完全に成熟して皮が硬くなり豆にも多少のシワが出てきた種子をエンドウ豆といいます。
グリンピースは未成熟でありながら栄養が豊富であるため、キャットフードの原材料として使われるだけでなく、ご家庭でもキャットフードへのトッピングや手作りごはんに取り入れることもおすすめです。
グリンピースとグリーンピースの違いは?
「グリンピース」と「グリーンピース」は同じものを指します。違いはなく、どちらもエンドウ豆の未成熟な緑色の豆を意味します。
グリンピースは英語「green peas」をカタカナ化したもので、日本語表記で簡略化されています。一方、グリーンピースはより英語に忠実な表記です。
また、グリーンピースは環境保護団体のグリーンピース(green peace)が連想されるため、食べ物や料理の場合はグリンピースと呼ばれていることが多いそうです。
本記事ではグリンピースと表記していきます。
グリンピースが原材料のキャットフード例
- マッサンペットフーズ/エリザベスキャットフード
- ナチュラルバランス/グリーンピース&ダック
- FINEPET’S/キャットフード
- アカナ/パシフィカ
- ヤラー/グレインフリーキャットフード
グリンピースの栄養素とメリット
下表はグリンピース/ゆで、青エンドウ/ゆで100gの栄養素です。
グリンピース | 青エンドウ | |||
---|---|---|---|---|
エネルギー | 99 | 129 | kcal | |
タンパク質 | 8.3 | 9.2 | g | |
脂質 | 0.2 | 1.0 | g | |
ビタミン | βカロテン | 430 | 43 | μg |
ビタミンB1 | 0.29 | 0.27 | mg | |
ビタミンB2 | 0.14 | 0.06 | mg | |
ビタミンC | 16 | Tr | mg | |
ナイアシン | 2.2 | 0.8 | mg | |
葉酸 | 70 | 5 | μg | |
食物繊維 | 水溶性食物繊維 | 0.9 | 0.5 | g |
不溶性食物繊維 | 7.7 | 7.2 | g |
※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
未成熟のグリンピースの方が栄養価が高い
未成熟のグリンピースと完熟の青エンドウの栄養素を比べると、βカロテン、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、葉酸、食物繊維は完熟してエンドウ豆になると少なくなり、ビタミンCにいたってはほとんど無くなっています。
すべての栄養素がそうではありませんが、完熟のエンドウ豆よりも未成熟のグリンピースの方が栄養価が高いことが分かりました。
植物性タンパク質が豊富
グリンピースは良質な植物性タンパク質が豊富に含み、豆類の中でも比較的多い含有量となります。そのため、肉類以外のタンパク質源としてキャットフードに使用されることが増えています。
肉類にアレルギーを持っている猫や、植物性タンパク質を補いたいときにおすすめです。
不溶性食物繊維が豊富
グリンピースには食物繊維が豊富に含まれていますが、そのほとんどが不飽和食物繊維です。不溶性食物繊維は腸内の老廃物を排出し、便秘解消を助ける効果があります。
また消化をゆっくり進めるため食べすぎを防ぎ、血糖値とコレステロールの調整するため心血管疾患や糖尿病予防となります。
便秘や下痢がちな猫に適したキャットフードの原材料として採用されることが多くみられます。
グリンピースがキャットフードの原材料に使われる理由
グレインフリーキャットフードによく使われる
グリンピースは原材料のメインとして配合されることはほとんどなく、芋類や他の豆類と一緒にキャットフードに配合されます。
とくにグレインフリーキャットフードのレシピにおいては穀物の代わりとなり、炭水化物(エネルギー)として活用できたり、アレルギー対策や療法食にも使用されることもあります。
アレルギー発症リスクが低い
猫は特定の動物性タンパク質や穀物にアレルギーを持つことがありますが、グリンピースは小麦や乳製品、大豆などの主要アレルゲンと比べると、アレルギーの発症リスクが低い食品です。そのため、アレルギーが心配な場合に代替として利用されることがあります。
低GI食品で血糖値が上がりにくい
食後の血糖値の上昇スピードを示す指標をGIといいますが、グリンピースのGI値は22~54とされており、低GI食品に分類されます。数値が低いほど血糖値の急上昇を抑える効果があります。
- 血糖値コントロール:低GI食品のため、糖尿病予防や血糖値管理に役立ちます。
- 腹持ちがいい:食物繊維とタンパク質のバランスが良く、満腹感が持続します。
- 肥満防止:血糖値の急上昇を防ぐことで、脂肪蓄積のリスクを低減します。
持続可能性と環境への配慮
グリンピースは環境への負担が少なく、持続可能な原材料として注目されています。
マメ科植物であるグリンピースは、根に共生する根粒菌によって窒素を固定し、肥料の使用量を減らすことができます。また栽培に必要となる水やエネルギーの消費が比較的少なく、畜産業と比べて温室効果ガス排出量が低い特徴があります。
グリンピースがキャットフードの原材料に使われる注意点
猫の主要なたんぱく源は動物性
猫は肉食動物であるため、主要な栄養源として動物性タンパク質が必要となります。
そのため、グリンピースをサポート的ではなく主要な原材料としているキャットフードでは、十分なタンパク質を摂取できない恐れがあります。
グリンピースのフィチン酸
グリンピースに含まれるフィチン酸とは植物に自然に含まれる化合物で、カルシウムや鉄、亜鉛などのミネラルと結合し、吸収を妨げることがあります。
過剰摂取すると消化不良や栄養不足などを引き起こす恐れがあるため、キャットフードの給与量はきちんと守ることが大切です。
まとめ
- グリンピースはグレインフリーキャットフードでよく使われる原材料
- 完熟のエンドウ豆よりも栄養価が高い
- 肉類や乳製品と比べてアレルギー発症リスクが低い
- キャットフードの給与量を守り、過剰摂取を避ける