猫はさんまを食べても大丈夫!血液改善や脳の活性化。生食はNG。気を付けたい中毒まで

猫はさんまを食べても大丈夫!血液をサラサラしたり脳を活性化させる!生食はNG。気を付けたい中毒まで

さんま(Pacific saury)

「猫といえば魚」という印象があるように、食卓にさんまが並んでいると、近寄ってきておねだりする猫も多いのではないでしょうか?

さんまはEPAやDHA、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、カルシウム、タウリンなど栄養が豊富に含まれています。とくにタウリンは猫にとって必要な栄養素です。

実は、さんまは猫に食べてほしい食材の一つですが、注意が必要な場合もあります。さんまを食べることによるメリットと、与え方の注意点をご紹介します。

さんまの栄養素とメリット

下表は100gあたりのさんまの栄養素です。

エネルギー281kcal
たんぱく質23.3g
脂質22.8g
カリウム260mg
カルシウム37mg
エイコサペンタエン酸(EPA)1300mg
ドコサヘキサエン酸(DHA)2000mg

※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

EPAは血液をサラサラにする

EPA(エイコサペンタエン酸 )は魚に豊富に含まれる不飽和脂肪酸で、オメガ3脂肪酸に分類されます。魚以外で豊富に含まれている食材はあまりないため、意識して摂取したい栄養素です。EPAは血液をサラサラにする働きを持つため血中の詰まりを解消し、脳梗塞や心筋梗塞になるのを防いでくれます。

DHAは悪玉コレステロールを減らす

DHA (ドコサヘキサエン酸 )はEPA同様、不飽和脂肪酸の一種で、血液をサラサラにする働きを持ち、それに加えて悪玉コレステロールを減らす働きを持ちます。脳細胞を活性化させるので、認知症予防にも効果的です。DHAは脳や粘膜に多いので、成長期の猫には取り入れたい栄養素です。

タウリンを摂取することができる

猫は体内でタウリンを生成することができないため、タウリンそのものを摂取させる必要があります。そのような点で、さんまは有効な食材といえます。

タウリンは血液を適正に維持し、動脈硬化や視力の低下などを予防します。このように、タウリンは一つの臓器に働くのではなく、体内のさまざまな器官に効果があるといわれています。

猫はタウリンが不足すると、タウリン欠乏症を発症する恐れがあります。視力や心臓、肝臓の健康維持に大きな影響を及ぼすため、総合栄養食のキャットフードにはタウリンを含むように定められています

さんまの注意点や危険性

青魚のアレルギー

猫によっては、さんまのような青魚にアレルギー反応を示す子もいます。初めて与えるときは少量にし、食べたあとの様子をしっかりと観察してください。元気がない様子や、下痢や嘔吐、皮膚の腫れや赤みなどの症状があらわれたらすぐに動物病院で診てもらいましょう。

ヒスタミン中毒

ヒスタミン中毒とは、ヒスタミンを含む魚を摂取することで発症する中毒のことです。

さんまには猫に必要な栄養素であるヒスチジンが含まれているのですが、これが細菌の脱炭酸酵素によってヒスタミンという物質を生成します。魚を常温で長時間放置することで細菌の数も増加することに伴って、ヒスタミンの数も増加していきます。ヒスタミンは熱に強いので、一度生成されると熱処理をしても分解することはありません。ヒスタミン中毒になると、下痢や嘔吐、顔や舌の腫れ、蕁麻疹などの症状があらわれます。

新鮮なさんまは背中が青黒く光り、身が引き締まっています。購入するときは注意して選び、帰宅後はすぐに冷蔵庫に入れましょう。

アニサキス中毒

アニサキスは寄生虫の一種です。さんまやサバ、カツオ、イカなどの魚介類の内臓に寄生していて、鮮度が落ちると内臓から筋肉に移動します。生の状態で食べるとアニサキス中毒を引き起こし、下痢や嘔吐、激しい痛みを伴います。

アニサキスは熱に弱いため、熱を加えることでほぼ死滅します。猫に与えるときはよく焼いたり煮ることで、アニサキス中毒の危険性を避けることができます。

黄色脂肪症

EPAやDHAなどの不飽和脂肪酸は猫に必要な栄養素ですが、酸化しやすいという特徴があります。その酸化を防ぐために抗酸化作用を持つビタミンEが働くのですが、不飽和脂肪酸を過剰摂取するとビタミンEが消費され続け、不足してしまいます。この症状を、黄色脂肪症(別名イエローファット)といいます。

黄色脂肪症を発症すると腹部にしこりができて激しい痛みを伴うため、変な歩き方をしたり、お腹を触られるのを嫌がるようになります。

細かい骨を取り除き、味付けをしない

スーパーで売っている塩さんまや、醤油などで味付けされたさんまは、猫にとってはとても濃い味付けとなり、過剰な塩分摂取につながります。人間用に調理されたさんまを「一口だけなら」と与えるのはおすすめできません。

猫に与えるときは、生さんまを焼いたり茹で、骨を取り除き、細かくカットするようにしましょう。骨を取り除くことで、喉に刺さって傷つけてしまったり、胃腸に負担がかかるのを防ぐことができます。ミキサーやフードプロセッサーで細かく砕く方法もおすすめです。

また、さんまは栄養価が高い一方でカロリーや脂肪分が多い食材です。肥満の原因となってしまうため、与えすぎには十分に注意しましょう。

さんまを食べた方がいいのはどんな子?

総合栄養食タイプのキャットフードをきちんと食べているのであれば、タウリンは不足することはありません。しかし、下記のような猫はさんまを食べることをおすすめします。

  • 食欲不振で、適正量のキャットフードを食べない
  • キャットフードよりも、手作り食を食べることが多い
  • キャットフードよりも、おやつを食べることが多い

病気や怪我で食欲がなくキャットフードを食べない場合、健康維持に必要なタウリンを摂取できない可能性があります。また、おやつを食べ過ぎてしまうとキャットフードへの食いつきが悪くなり、タウリンが不足してしまいます。

さんまは、おやつやキャットフードのトッピング、時々のご褒美として活用しましょう。与えるときは「焼いたり煮たさんまを細かく刻んだものを小さじ1程度」が適量です。

まとめ

  • さんまに含まれるEPAやDHAは血液をサラサラにする
  • 不足しがちなタウリンを摂取することができる
  • アレルギーや中毒には十分な注意が必要

さんまは与え方に注意が必要な食材ですが、猫の健康に良い効果をもたらします。「猫の健康のために与えていたけど逆効果になってしまった」という事態を防ぐため、きちんと注意点を確認して安全に食べさせてあげましょう。

ABOUTこの記事をかいた人

古川菜々

愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士、愛犬飼育スペシャリスト、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。文章を通して猫ちゃんの魅力を発信できること、多くの飼い主さんの悩みや不安を解決できることに魅力を感じ、動物ライターに。飼い主さんと猫ちゃんの幸せのお手伝いになれれば嬉しいです。