キャットフードの栄養素:ビタミンK
ビタミンKは血液凝固作用、骨代謝や細胞増殖に関わる脂溶性ビタミンです。
ビタミンK依存性タンパク質の活性化に必要不可欠な必須栄養素として、現在5種類が確認されています。
- ビタミンK1(フィロキノン/ferrochinnone)
- ビタミンK2(メナキノン/menaquinone)
- ビタミンK3(メナジオン/menadione)
- ビタミンK4(メナジオール/menadiol)
- ビタミンK5(4-アミノ-2-メチル-1-ナフトール)
摂取されたビタミンKは小腸から吸収され、他の脂溶性ビタミンと同様に肝臓に運ばれます。ビタミンK2は消化管内微生物によって合成され結腸から吸収され、ビタミンK3は体内でビタミンK2に代謝され作用します。
ビタミンKの主な供給源
緑黄色野菜、魚粉、卵黄に含まれるビタミンK1(フェロキノン)と、納豆やチーズなどの発酵食品に多く含まれるビタミンK2(メナキノン)があります。
ペットフードで栄養添加物として使用されるのは合成されたビタミンK3です。
猫におけるビタミンKの働き
血液凝固因子のプロトロビン合成に関わる
ビタミンKは猫の体内での血液凝固作用に関わっています。
血液凝固因子である「プロトロビン」はビタミンK依存性タンパク質であり、ビタミンKによって活性化されることで作用します。
ビタミンKがない場合、プロトロビンは不活性のままで血液凝固作用を発揮できず、出血時に血が止まらず止血できなくなります。
骨代謝や細胞増殖を調節
プロトロビン以外にもビタミンK依存性タンパク質は数種類あり、骨代謝や細胞増殖に関わるタンパク質の活性にも関わっています。
キャットフードに必要なビタミンKの基準
ペットフード公正取引協議会が採用するAAFCOのガイドラインによると、ドライタイプのキャットフードのビタミンKの最低基準は、0.1mg/kg以上と定められています。
最大値(上限値)の設定はありません。
ビタミンKの欠乏/過剰摂取
欠乏症
- 血液凝固時間の延長(血液凝固不全)
- 出血性病変
ビタミンKが欠乏すると、出血が生じやすくなり、血液凝固時間延長や骨形成障害などが生じます。
特に猫はツナやサケを摂取すると、ビタミンK2欠乏が生じやすくなることが知られています。
殺鼠剤やフジバカマという植物に含まれるクマリンなどの薬剤はビタミンKの働きを阻害するので(抗ビタミンK因子)、血液凝固不全を引き起こします。
また、セフェム系抗生物質は、消化管でのビタミンK2合成を抑制するため、より多くのビタミンKが要求されます。
過剰摂取
- 中毒性や危険性は低い
ビタミンK1やK2の毒性は低く、過剰摂取による中毒症状は報告されていません。
ビタミンK3の過剰摂取は致命的な貧血や黄疸を生じる場合があります。ビタミンK3を大量に配合している場合は注意が必要です。
まとめ
- 血液凝固や骨代謝、細胞増殖に関与
- ペットフードではビタミンK3が添加される
- 猫はツナやサケを食べると欠乏しやくなる
- 欠乏すると出血時に血が止まらなくなる