キャットフードの原材料:紅麹色素(Monascus color)
紅麹色素とは「ベニコウジカビ(Monascus purpureus)」という糸状菌の一種の培養液から生産されたアンカフラビン類・モナスコルブリン類を主成分とする天然由来の赤色着色料で、日本では古くからかまぼこや練り物などの食品にも利用されています(既存添加物に登録)。
キャットフードでも着色目的で「紅麹色素」を使用した製品がいくつかあります。天然由来ということで合成着色料ではなく添加物の中では安全性が高いと言われていますが、菌から生産された色素ということで、体に悪いものではないか、アレルギー性や発がん性など猫への危険性を心配される方も多いようです。
猫における紅麹色素の危険性
紅麹菌が生成するかび毒「シトリニン」の腎臓毒性
紅麹色素で最も危険視されているのは、紅麹菌が生産する「シトリニン」というカビ毒で、シトリニンは試験されたすべての動物において腎臓毒性が確認されています。
猫はもともと腎臓への負担がかかりやすく慢性腎臓病になりやすい動物なので、紅麹色素のシトリニンにより腎臓に大きなダメージを受ける可能性があるため、大きな懸念点のひとつになるかと思います。
画像引用元: 欧州連合(EU)、紅麹由来のサプリメント中のかび毒シトリニンの基準値を設定|食品安全委員会
2. 欧州食品安全機関(EFSA)の「フードチェーンにおける汚染物質に関する科学パネル」(CONTAMパネル)は2012年3月2日、欧州委員会(EC)の要請に応じて、食品及び飼料中のシトリニンの存在に関連した公衆衛生及び動物衛生へのリスクに関する意見書を採択した。CONTAMパネルは、腎毒性に関する利用可能なデータに基づいてシトリニンのリスクを判定することを決め、腎毒性の懸念がないレベルを算出した。無毒性量(NOAEL)の20μg/kg体重/日に不確実係数100を適用すると、ヒトにおける腎毒性の懸念がないレベルは0.2μg/kg体重/日になる。CONTAMパネルは、腎毒性の懸念がないレベルにおけるシトリニンについて、利用可能なデータに基づき遺伝毒性及び発がん性の懸念を排除することができないと結論づけた。
人間のシトリニンに対する腎毒性の懸念がないレベルは、1日あたり0.2μg/体重(kg)としていますが、猫の場合は定かではありません。
また、欧州連合によると、紅麹菌によるシトリニンは、腎毒性だけでなく発がん性や遺伝毒性についても懸念を排除できないとも結論付けています。
同じカビ毒に代表されるアフラトキシンはペットフード安全法で規制されていますが、シトリニンは規制はされていません。
短期毒性は確認されていない
紅麹色素自体に短期毒性や発がん性は確認されていません。ただ、ベニコウジ色素は古くから使われている使用実績があることから、研究や試験データが合成添加物に比べるとデータが少なく、主食として長期的に少量ずつ混入した場合の慢性毒性等についてははっきりと分かっていません。
まとめ
- 紅麹菌が生産する赤色色素
- 古くから利用されている天然由来の既存添加物
- 腎毒性、発がん性、遺伝毒性が報告されている