キャットフードの原材料:ベニバナ油(safflower oil)
ベニバナ油(サフラワーオイル)は、キク科ベニバナ属の種子から採取される植物性油脂です。1950年ごろはアメリカにて塗料やワニスなどの原料として利用されていましたが、1960年ごろから食用へと徐々に用途が変化していきました。
ヒマワリ油(サンフラワーオイル)と名前が非常に似ているため間違われやすいですが、ヒマワリ油はヒマワリの種子から抽出された油で、ベニバナ油とは全く異なる種類です。
オリーブオイルやごま油と比べて味があっさりとしていて香りもほとんどないため、キャットフードの原材料として使用しても他の原材料(肉や魚など)の風味を邪魔しにくいのが特徴です。
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ベニバナ油の栄養素と猫におけるメリット
リノール酸:皮膚や被毛の健康維持
猫の必須脂肪酸としてオメガ6のリノール酸とアラキドン酸、オメガ3のα-リノレン酸があります。これらは体の健康維持に欠かせない脂肪酸ですが体内で合成することができないため、食べ物から摂取しなければなりません。
リノール酸は皮膚からの水分喪失を防ぐ働きがあり、皮膚の免疫力向上やバリア機能として活躍します。オメガ3脂肪酸とバランスよく摂取することで、皮膚や被毛の健康維持に効果があります。
オレイン酸:悪玉コレステロール値の減少、動脈硬化や高血圧の予防
オレイン酸はオメガ9の脂肪酸です。ラードなどの動物性脂肪やオリーブオイルなどの植物性油に豊富に含まれ、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を減少し、逆に善玉コレステロール(HDLコレステロール)を増やす働きがあります。それにより、動脈硬化や高血圧を予防・改善する効果があります。
ビタミンE:強い抗酸化作用
ビタミンEはトコフェロール4種とトコトリエノール4種の合計8種類の化合物の総称をいい、緑黄色野菜やナッツ類、植物油など植物性原料に豊富に含まれています。脂質とともに腸管からリンパ管を通じて体内に吸収されますが、そのほとんどがα-トコフェロールであることから、1日に必要なビタミンE量はα-トコフェロールの目安量で示されています。
ベニバナ油には、ヒマワリ油に次いでα-トコフェロールが豊富に含まれています。
ビタミンEは強い抗酸化作用を持つため、活性酵素による細胞の酸化を防ぎ、体内に増加する過酸化脂質を抑制します。そのため、老化の予防に期待できます。
トランス脂肪酸
トランス脂肪酸とは、過剰摂取をすることで血液中の悪玉コレステロールが増加する一方で、善玉コレステロールが減少し、心臓疾患の発症のリスクが増大するといわれています。そのためトランス脂肪酸の摂取には注意が必要となり、食品界でも注意喚起がされています。
ベニバナ油に含まれるトランス脂肪酸の量は100gあたり0.1g未満となっており、他の油と比べて非常に少ない量となっています。(ヒマワリ油0.219g、こめ油0.3g、アマニ油0.3g、ごま油0.6g、キャノーラ油は0.8g、サラダ油は1.2g)
猫にベニバナ油を与えるときの副作用や危険性
副作用なし
ベニバナ油による副作用や危険な症状は報告されていません。
リノール酸の過剰摂取に注意
AAFCOによると、キャットフードのリノール酸含有量の下限は0.6%以上と設定されていますが、上限や含有量の制限はありません。またリノール酸はさまざまな食べ物に含まれており、不足することは稀といわれています。
そのため、キャットフード以外の食べ物(おやつや盗み食いなど)による過剰摂取にならないよう注意が必要です。
リノール酸の過剰摂取はアレルギーやガンの発症の原因や、善玉コレステロールの減少、血栓性動脈硬化症(心筋梗塞や脳梗塞)の誘発、アトピーやアルツハイマーの誘発などを引き起こすリスクが高くなります。
まとめ
- ベニバナ油は猫に副作用や危険性はない
- 他の油に比べてビタミンEが豊富で、トランス脂肪酸が大幅に少ない
- リノール酸の過剰摂取に注意が必要