同じ物ではありませんが、活躍する場所は同じです。
ここではプレバイオティクスが猫にとってどんな働きやメリットがあるのか、またプロバイオティクスとの違いを紹介したいと思います。
キャットフードの原材料:プレバイオティクス(Prebiotics)
善玉菌の活動を促進するオリゴ糖や食物繊維など
プレバイオティクス(Prebiotics)は、体に良い働きを行う微生物(善玉菌)の活動や成長を促進する難消化性成分の総称です。プレバイオティクスは猫の体内に入った時に胃や小腸で消化吸収されず大腸まで届き、善玉菌の餌となったり善玉菌が過ごしやすい環境を作ります。
プレバイオティクスは1994年に行われた腸内細菌に関するワークショップで提唱された比較的新しい言葉なので知らない方も意味をご存知ない方も多いかもしれません。
- オリゴ糖
- 難消化性デキストリン
- グアーガム
- イヌリン etc…
プレバイオティクスには上記のようなキャットフードでもよく使用されるオリゴ糖や食物繊維類が例に挙げられます。難消化性デキストリンやイヌリンなどは便通改善の猫用サプリメントにも使用されています。
キャットフードの原材料名欄に「プレバイオティクス」と表記されることはあまりありませんが、オリゴ糖などは腸内環境への配慮を考えたキャットフードではよく見る原材料です。
プロバイオティクスと違い
プロバイオティクスは、ビフィズス菌やカゼイ菌などの乳酸菌を始め、主に腸内で善玉菌として働く微生物(菌類)です。プレバイオティクスが体に有益な働きをもたらす微生物の働きを促進する物質なのに対し、プロバイオティクスは良い働きをする微生物(菌類)そのものを指します。
プレバイオティクスがプロバイオティクスをサポートすることで、プロバイオティクスはより活発に働くことができるという関係性になっています。
プロバイオティクスはキャットフードでも「プロバイオティクス配合」のように乳酸菌類をまとめて表記されることがあります。
プレバイオティクスの効果と作用
猫の腸内環境の改善
猫にプレバイオティクスを摂取させることで、大腸内の環境を整え、悪玉菌の増殖を抑制し、善玉菌を成長ならびに活性化させることができます。これによって腸内環境が整うことで便通改善や大腸内で起こりうる問題の予防や改善になります。
- 善玉菌の活性化
- 悪玉菌増殖の抑制
- 便通改善
- 大腸癌や炎症性腸疾患の予防や改善
猫の免疫機能の調整と維持
大腸は第二の脳とも言われ、自己を守る免疫機能とも関係しているので、腸内環境を整えることは猫の体全体に良い影響を与えます。プレバイオティクスを猫が摂取すると腸内細菌が低級脂肪酸を産生し、マクロファージを活性化させることで免疫の調節にも役立つと考えられています。免疫機能が調節されることでアレルギー反応、リューマチなどの慢性疾患への効果が期待されています。
セルロースはプレバイオティクスではない
画像引用元:腸内筋叢はコントロールできるか? プレバイオティクス
セルロースを始めとした不溶性食物繊維は、ヒトはもちろん腸内細菌にとっても、大腸を通過しているあいだという限られた時間の条件下では難消化性であり、腸内細菌のエサになるというプレバイオティクス作用を発揮することは難しい。しかし、その吸水性や吸水にともなう膨張性などから、軟便化や物理的な腸管刺激、便の嵩増しなどのプレバイオティクス作用以外による整腸効果は期待される。
同じ食物繊維でよくキャットフードに利用されているのがセルロースですが、セルロースは不溶性食物繊維であり吸水性があるので、便のかさを増したり不要物を体外に排出する助けをするなど整腸作用は期待できますが、善玉菌に利用されることはないためプレバイオティクスの作用はありません。
まとめ
以上、プレバイオティクスについて解説しました。プレバイオティクスはプロバイオティクスに比べると聞き慣れない言葉ですが、影響する腸内の環境を良い状態に保つために必要な良い物質です。
愛猫のうんちの調子がよくない、お腹の調子が悪くなりやすかったり、免疫調整に心配のある猫にはプロバイオティクスと一緒にプレバイオティクスも摂取できる食事管理をしてあげてみてはいかがでしょうか。