【世界初!】ネズミ培養肉を使ったキャットフードが登場!栄養素と安全性について解説。

キャットフード ネズミ 培養肉
猫田
アメリカのペットフード会社から世界初のネズミの培養肉をつかったキャットフードが登場しました!
鈴木さん
ネズミですか!猫本来の食事で考えると、ネズミはとても自然ですし体にも合いそうですね。でも培養肉ってどうなんでしょうか?
猫田

新しい肉原材料として登場してきたネズミ肉。猫本来の食に最も近い小動物でありながら、これまでの選択肢には挙がることのなかったということで、興味深い原材料です。

さらに人口増加に伴う食糧難を救う代替肉して注目される「培養肉」は世界で研究が進められています。今回はネズミの培養肉について私自身も勉強しながらご紹介したいと思います。

<2021年8月>ネズミの培養肉を使用したキャットフードが発表

Because, Animals社が発表した「Harmless Hunt Mouse Cookies for Cats」

キャットフード ネズミ 培養肉画像引用元:AXIS |ネズミの培養肉を用いたキャットフード

2021年、アメリカのペットフードメーカーのビコーズアニマルズ社(Because, Animals)は、世界初のネズミ培養肉を使用したキャットフード「ハームレスハント(Harmless Hunt Mouse Cookies for Cats)」の販売を発表しました。現在公式サイトから予約注文を受け付けていて、2022年には一般販売を予定しています。

ネズミ肉を使用したHarmless Hunt Mouse Cookies for Catsは、ハート型クッキーのトリーツ(おやつ、副食)で、肉は100%培養肉を使用し、他カボチャや酵母などを配合して作られています。

現状、総合栄養食の販売はありませんが、トリーツの販売で売上がたてば、総合栄養食の販売もすぐに検討されるのではないでしょうか。

食肉としても注目の「培養肉(Cultured meat)」とは

培養肉は動物の細胞を培養して得られる

培養肉は、動物の可食部の細胞を組織培養によって得られる肉で、多くの動物を屠殺する必要がなく、沢山の動物の命を救うことができます。

培養肉は増え続ける世界人口に対して食糧難を打開するための代替肉として大きな期待が寄せられていて、すでに海外ではバーガーのパテ(肉部分)やチキンナゲットなどに利用するお店も増えてきており、日本でも日清食品グループが研究を進めています。

培養肉 キャットフード

キャットフードの培養肉。犠牲を減らし動物の命を守る新たな選択肢!生産方法と栄養の違いは?

2021年9月7日

培養肉の安全性、味や栄養成分の違い

培養肉と聞くと、科学的で少し不安な気持ちになる方もいるかと思いますが、培養肉は厳密な管理体制の中で生産が可能なので、より衛生的な肉原料の生産が可能になります。また、動物肉で心配されるような寄生虫や細菌の繁殖などの心配がないので、むしろ安全性が高いと言えます。

また、培養肉は味や食感、肉部分の栄養成分も再現できます。食感に関しては、現状、ステーキのような完全な肉の食感を再現できるほどの技術はないため、ミンチ肉(挽肉)系の料理に使用されていますが、キャットフードやドッグフードのようなドライフードに混ぜ込まれる肉の場合は、細かくして混ぜられて製造されるので、食感の問題は少ないかと思われます。

ネズミ肉のキャットフードについて

ネズミは猫本来の食事に最も近い?

現在、キャットフードでは牛や豚などを使ったキャットフードが多くありますが、猫が野生で暮らした場合、自分よりもはるかに大きい牛や豚などの動物を食べることはほとんどなかったでしょう。

猫は、古くからネズミや小鳥などの小動物を食べてきた肉食動物です。歴史的な背景から見ても、人が稲作や農耕を始めた時代から、猫は穀物を守る番人として貯蔵されている穀物に近づくネズミを狩って食べていたことが分かっています。

このためネズミ肉というのは、現在販売されているキャットフードの肉原料と比較しても最も猫本来の食事に近い食材と言えます。

ネズミ肉のキャットフードがなかった理由

これまで、ネズミ肉は食用として一般的ではなく、キャットフード用にネズミを繁殖させて飼育管理から屠殺や解体を行うのは非効率的であり、不衛生な印象や、美味しそうなイメージがつけにくいなど、様々な理由でネズミ肉のキャットフードは登場していませんでした。

しかし今回、ネズミの組織を培養してネズミ肉を生産することで、飼育管理や屠殺、解体の必要なく、効率的かつ衛生的に、猫本来の食事に近いネズミ肉を使用したキャットフードが実現しました。

また、猫にとってネズミは完全栄養食とも言われていますが、それは、猫がネズミの肉だけでなく内臓に含まれる消化された植物などを一緒に摂取することで、利用しやすい状態に消化された様々な栄養素を得られるからです。

しかし今回のように、ネズミの細胞組織を培養して、単純にネズミの肉部分だけを生産する場合、内臓や内臓に含まれる消化されかけの植物など、肉以外に含まれる栄養素が摂取できないので、完全栄養食とはいえないかもしれません。

ネズミ肉を使ったキャットフードの日本での販売は?

今のところ、ビコーズアニマルを輸入販売する日本の正規輸入代理店はありません。今後、国内の企業がビコーズアニマルと契約を結んで代理店となり、国内に輸入販売する企業が出てくる可能性はありますが、現状アメリカでも予約販売の段階なので、一般販売を予定している2022年以降となるでしょう。

まとめ

  • ネズミの培養肉を使用した猫用クッキー(トリーツ)
  • 現在予約販売開始、一般販売は2022年を予定
  • ネズミは猫本来の食事に最も近い肉原料の一つ
  • 培養肉は衛生管理がしやすく安全性も高い
  • 日本での販売は未定

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。 日本化粧品検定協会会員。