キャットフードのコリン。生体膜を構成、神経伝達物質アセチルコリンとして脳や認知機能をサポート

キャットフード コリン

キャットフードの栄養素:コリン(Choline)

コリンは、水溶性のビタミンB群に似た生理作用をもつ栄養素(ビタミン様物質)です。

他のビタミンより多くの量を必要とします。コリンは肝臓で合成できるため、人にとっては必須栄養素ではありませんが、犬や猫など多くの動物は食べ物からコリンを摂取する必要があります。

コリンは他のビタミンとは異なり補酵素として作用はしませんが、細胞膜の構成や補修を行ったり、アセチルコリンという神経伝達物質として働くなど重要な役割を担っています。

コリンが豊富な食材

コリンはレシチンとして食事中に多く存在するので、レシチンが豊富な卵黄などは有用な供給源となります。摂取後は体内の消化酵素によってレシチンの脂肪酸がひとつ遊離したリゾレシチンという形に変化し、吸収後にレシチンに再合成されます。

動物は葉酸やビタミンB12の作用によってメチオニンからコリンを合成できます。猫の場合、3.75gのメチオニンがコリン1gに相当するので、キャットフード中に十分な量のメチオニンが含まれれば、コリンも多少補うことができます。

猫におけるコリンの働き

レシチンを構成、生体膜の構造維持や補修

コリンを含むレシチン(ホスファチジルコリン)は、生体膜の構成や補修を行い、細胞膜の構造を守っています。

また、レシチンには乳化作用、酸化防止作用、保水作用など様々な働きがあり、フードの乳化剤としても利用されています。

脂質の代謝や輸送

またコリンはレシチンとして肝臓で行われる脂質の代謝に関与しています。肝臓に脂質が蓄積を防ぐ働きもあります。

このためコリンが不足すると脂肪肝を引き起こします。

アセチルコリンの前駆物質

コリンは代表的な神経伝達物質であるアセチルコリンの前駆物質です。アセチルCoAとコリンが合成することでつくられ、副交感神経や運動神経など筋収縮に作用します。

レシチンは脳細胞に到達し、記憶力や認識機能、筋肉の動きなど様々な生化学的なやりとりをサポートしたりコントロールする働きがあります。

また、近年の研究ではアルツハイマー病は脳内のアセチルコリン活性が低下していることから、アセチルコリンの活性低下が認知障害などの障害を引き起こす原因になると考えられています。

キャットフードに必要なコリンの量・基準

キャットフード コリン画像引用元:2016 AAFCO Midyear Meeting Committee Reports

ペットフード公正取引協議会が採用するAAFCOのガイドラインによると、ドライタイプのキャットフードのコリンの最低基準は、幼猫用・成猫用とも2,400mg/kgと定められています。

最大値(上限値)の設定はありません。

コリンの欠乏/過剰摂取

欠乏症

  • 成長抑制
  • 脂肪肝
  • 出血性腎不全

多くの動物ではコリン欠乏により脂肪肝、出血性腎不全、成長抑制を生じます。

過剰摂取

  • 赤血球減少

要求量の3倍程のコリンを摂取すると、中毒症を生じ赤血球数が減少します。

まとめ

  • ビタミン様物質であり補酵素としては作用しない
  • 他のビタミンよりも要求量が多い
  • 人にとっては必須栄養素ではないが猫には必要
  • 生体膜の構造維持や脂質の代謝、神経伝達物質などの働きがある
キャットフード ビタミン

キャットフードのビタミン類。猫の必須ビタミンの種類と働き、欠乏症/過剰摂取の症状を解説

2018年9月25日

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。日本化粧品検定協会会員。