キャットフードの原材料:鯛(sea bream)
日本では古くから縁起の良い食べ物として親しまれている鯛。味・色・姿の三拍子がそろった魚で、「めでたい」という語呂合わせもあってお祝いには欠かせないですよね。
猫は鯛を食べても大丈夫です!鯛は香りが良く栄養価が高いので、さまざまなキャットフードやおやつの原材料として使用されています。
この記事では鯛の栄養素やメリット、与えるときの注意点についてご紹介します。
鯛を与えるときの注意点
生食はNG!アニサキス中毒
鯛に限らず、生の魚にはアニサキスが潜んでいる可能性があります。アニサキスは長さ2~3cmの寄生虫で、目視で確認することができます。鮮度が落ちると内臓から筋肉に移動し、生きたまま食べると食後数時間で下痢や嘔吐、激しい腹痛などを引き起こします。鯛はアジやサバ、カツオに比べると発生率は低いですが、十分に注意しましょう。
アニサキスは加熱処理で死滅させることができるので、猫に与えるときは必ず加熱処理をしてください。
寄生虫タイノエ
鯛の口の中には、タイノエという寄生虫が潜んでいる可能性があります。白色でシッポのようなものが付いており、体長2~4cmの少々気味の悪い見た目です。鯛のエラや口の中に寄生して栄養を吸い取ります。
タイノエは寄生虫ですが、タイノエの影響を受けた鯛を食べてしまっても人や猫に寄生せず、有害な毒も持っていないため心配する必要はありません。しかしタイノエの影響を受けた鯛は脂のノリが悪く身の肉厚さも無くなっているので、味や風味は良くないでしょう。
鯛を丸々一匹購入する場合は、口の中もチェックしてみてください。
骨を取り除く
猫はごはんを丸飲みしてしまう傾向にあるので、骨が喉に引っかかったり詰まったりする恐れがあります。とくに鯛の骨は硬く鋭いので、猫に与えるときは必ず取り除きましょう。
鯛の栄養素とメリット
下表は、真鯛/養殖/皮つき/生100gあたりの栄養素です。
エネルギー | 160 | kcal |
たんぱく質 | 20.9 | g |
脂質 | 9.4 | g |
ビタミンB1(チアミン) | 0.32 | mg |
ビタミンB7(ビオチン) | 7.7 | μg |
ビタミンD | 7.0 | μg |
※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
高たんぱく質・低脂質
鯛には100gあたり20.9gと豊富なたんぱく質でありながら、他の魚と比べて低脂質の魚です。たんぱく質は内臓や筋肉、皮膚、被毛など体のあらゆる部位の構成成分で、とくに猫は肉食動物なのでたんぱく質の摂取が重要となりエネルギーに変換されます。
高たんぱく質・低脂質なのでダイエット中の猫や、運動好きの猫におすすめです。
ビタミンB1(チアミン)
ビタミンB1は糖質をエネルギーに変換したり、神経系の機能を正常に保つ働きを持ちます。
猫は体内でビタミンB1を合成することができないため、食べ物からきちんと摂取しなければなりません。
ビタミンB7(ビオチン)
ビオチンはビタミンB7で、皮膚の乾燥やフケの発生、脱毛を抑える働きがあります。猫は体内でビタミンB7を合成することができないため食べ物の摂取が必要となり、きちんと摂取することで被毛の質や柔らかさが改善し、フケが減少したといわれています。
ビタミンD
ビタミンDはカルシウムの吸収をサポートする働きがあるため、骨や歯の発達や維持に欠かせない栄養素です。人や草食動物は日光を浴びることでビタミンDを合成できますが、猫は合成することができないため、食べ物からの摂取が必要となります。
鯛のおすすめの与え方
前述でご紹介した通り、鯛にはビタミンBやビタミンDなど体内で合成することができない栄養素が豊富に含まれています。総合栄養食であるキャットフードを食べていれば不足することはありませんが、キャットフードへの食いつきが悪い子や食欲が落ちている子は注意が必要です。
おすすめは茹で調理
猫に鯛を与えるときは加熱処理をしましょう。
おすすめは、焼きよりも茹で調理です。茹でることで茹で汁に栄養が流れ出すので、キャットフードにトッピングすることで香りが立ち、食欲が促進されます。キャットフードへの食いつきが悪い子に良いでしょう。
皮も食べても大丈夫
鯛の皮は薄いので食べても大丈夫です。パリパリに焼いたり、柔らかくなるまでしっかりと茹でましょう。与えるときは小さくカットしてください。
天然は低カロリー・低脂質
天然の鯛は、養殖の鯛と比べるとたんぱく質量はほとんど変わらないものの、低カロリー・低脂質です。カロリーや脂質の摂取をさらに抑えたい場合は天然の真鯛がおすすめです。
まとめ
- アニサキス中毒の恐れがあるため、生食はNG
- 高たんぱくで低脂質、ビタミンが豊富に含まれている
- 鯛は加熱調理することで香りが立つので、食欲促進に期待