キャットフードの鯛。高たんぱく・低脂質でダイエットにおすすめ。寄生虫に注意が必要

キャットフードの鯛。高たんぱく・低脂質でダイエットにおすすめ。寄生虫に注意が必要

キャットフードの原材料:鯛(sea bream

日本では古くから縁起の良い食べ物として親しまれている鯛。味・色・姿の三拍子がそろった魚で、「めでたい」という語呂合わせもあってお祝いには欠かせないですよね。

猫は鯛を食べても大丈夫です!鯛は香りが良く栄養価が高いので、さまざまなキャットフードやおやつの原材料として使用されています。

この記事では鯛の栄養素やキャットフードに使用されるメリット、与えるときの注意点についてご紹介します。

鯛は原材料としてよく使用される

さまざまな製品の原材料に使用される

鯛はドライフードやウェットフード、おやつ、パウダー、トッピングなどさまざまな製品の原材料として使用されています。

「鯛」と呼ばれる魚には、分類学的にタイ科に属するものと、「○○鯛」と名が付くがタイ科ではない魚が含まれます。

  • タイ科に属する鯛:真鯛、チダイ、クロダイなど
  • タイ科ではない○○鯛:金目鯛、甘鯛、石鯛など

キャットフードの原材料ではさまざまな鯛が使用されることがあり、原材料欄の表記にも違いがあります。

鯛が原材料のキャットフード

原材料に鯛を使用しているキャットフードです。赤文字は原材料欄の表記です。

  • シシア/ウェットフード ツナ&シーブリーム(
  • スマック/キャットフード キャットスマック金目鯛味(金目鯛エキス
  • 犬猫生活/鯛パウダー(国産天然鯛
  • ネスレ/モンプチ キャットフード真鯛パウダー入り(真鯛パウダー

このように一概に鯛と言ってもメーカーによって原材料に使用する鯛に違いがあり、鯛の身だけでなくパウダー状やエキス状など加工状態も異なります。これらの他に、シーブリームと記載されることも多くあります。

鯛をキャットフードの原材料に使用するメリット

真鯛/養殖/皮つき/生100gあたりの栄養素
エネルギー160kcal
たんぱく質20.9g
脂質9.4g
不飽和脂肪酸リノール酸420mg
α-リノレン酸72mg
ビタミンB7(ビオチン)7.7μg

※出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年

高たんぱく質・低脂質

鯛には100gあたり20.9gと豊富なたんぱく質でありながら、他の魚と比べて低脂質の魚です。たんぱく質は内臓や筋肉、皮膚、被毛など体のあらゆる部位の構成成分で、とくに猫は肉食動物なのでたんぱく質の摂取が重要となりエネルギーに変換されます。

高たんぱく質・低脂質なのでダイエット中の猫や、運動好きの猫におすすめです。

不飽和脂肪酸が豊富

鯛には不飽和脂肪酸であるリノール酸α-リノレン酸が豊富に含まれ、体内で合成することができないため必須脂肪酸に分類されます。

血中の中性脂肪を減少させてコレステロール値のバランスを保つ働きがあり、皮膚の乾燥を防ぎ、被毛のツヤを保ち、免疫機能の向上に大きく効果があります。

ビタミンB7(ビオチン)

ビオチンはビタミンB7で、皮膚の乾燥やフケの発生、脱毛を抑える働きがあります。

猫は体内でビタミンB7を合成することができないため食べ物の摂取が必要となり、きちんと摂取することで被毛の質や柔らかさが改善し、フケが減少したといわれています。

ご家庭で鯛を与える場合のおすすめの与え方

基本的に総合栄養食であるキャットフードを食べていれば栄養が不足することはありませんが、キャットフードへの食いつきが悪い子や食欲が落ちている子は栄養が偏ったり不足する恐れがあります。

猫の食欲促進や食いつきの向上を望む場合は、ご家庭で鯛を与えるのもおすすめです。

おすすめは茹で調理

鯛に限らず、生魚にはアニサキスなどの寄生虫が潜んでいる恐れがあるため、猫に鯛を与える場合は必ず加熱調理をしましょう。

おすすめは、焼きよりも茹で調理です。茹でると茹で汁に栄養が流れ出すので、猫に与えるときは常温にまで冷ましてから茹で汁も与えましょう。香りが立つため食欲促進が期待でき、キャットフードへの食いつきが悪い子におすすめです。

また、鯛の皮は薄いので食べても大丈夫です。油なしでパリパリに焼いたり、柔らかくなるまでしっかりと茹でましょう。与えるときは小さくカットしてください。

天然の鯛は低カロリー・低脂質

天然の鯛は、養殖の鯛と比べるとたんぱく質量はほとんど変わらないものの、低カロリー・低脂質です。カロリーや脂質の摂取をさらに抑えたい場合は天然の真鯛がおすすめです。

ご家庭で鯛を与える場合の注意点

生食はNG!アニサキス中毒

鯛に限らず、生の魚にはアニサキスが潜んでいる可能性があります。アニサキスは長さ2~3cmの寄生虫で、目視で確認することができます。鮮度が落ちると内臓から筋肉に移動し、生きたまま食べると食後数時間で下痢や嘔吐、激しい腹痛などを引き起こします。鯛はアジやサバ、カツオに比べると発生率は低いですが、十分に注意しましょう。

アニサキスは加熱処理で死滅させることができるので、猫に与えるときは必ず加熱処理をしてください。

参考:厚生労働省「アニサキスによる食中毒を予防しよう」

寄生虫タイノエ

鯛の口の中には、タイノエという寄生虫が潜んでいる可能性があります。白色でシッポのようなものが付いており、体長2~4cmの少々気味の悪い見た目です。鯛のエラや口の中に寄生して栄養を吸い取ります。

タイノエは寄生虫ですが、タイノエの影響を受けた鯛を食べてしまっても人や猫に寄生せず、有害な毒も持っていないため心配する必要はありません。しかしタイノエの影響を受けた鯛は脂のノリが悪く身の肉厚さも無くなっているので、味や風味は良くないでしょう。

鯛を丸々一匹購入する場合は、口の中もチェックしてみてください。

骨を取り除く

猫はごはんを丸飲みしてしまう傾向にあるので、骨が喉に引っかかったり詰まったりする恐れがあります。とくに鯛の骨は硬く鋭いので、猫に与えるときは必ず取り除きましょう

まとめ

  • アニサキス中毒の恐れがあるため、生食はNG
  • 高たんぱくで低脂質、ビタミンが豊富に含まれている
  • 鯛は加熱調理することで香りが立つので、食欲促進に期待

ABOUTこの記事をかいた人

古川菜々

愛玩動物飼養管理士2級、ペットセラピスト、ペット看護士、愛犬飼育スペシャリスト、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。帝京科学大学アニマルサイエンス学科卒業。文章を通して猫ちゃんの魅力を発信し、また多くの飼い主さんの悩みや不安を解決することで、飼い主さんと猫ちゃんの幸せのお手伝いになれれば嬉しいです。