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キャットフードのアミノ酸:ヒスチジン(Histidine)
ヒスチジン(Histidine)はタンパク質を構成する猫の必須アミノ酸のひとつで、神経伝達や赤血球形成、また成長促進作用や脂肪燃焼作用があります。
人の場合、ヒスチジンは乳幼児の成長には必要不可欠なものの、大人になると合成して作り出すことができるため、ヒスチジンは必ずしも必須アミノ酸というわけではありません。
- マグロ
- カツオ
- カジキ
- サバ
- イワシ
- サンマ
- ブリ
- ラム肉
- 鶏肉
ヒスチジンは赤身魚(青魚)に特に多く含まれています。キャットフードでは特に魚系の商品が多いので、ヒスチジンは比較的摂取しやすいアミノ酸です。
栄養添加物としては、L-ヒスチジン及び L-ヒスチジン塩酸塩などがよく使用されています。
猫におけるヒスチジンの働き
ヒスチジンは体内に入ると、酵素(脱炭酸)によって脱炭酸反応を起こし、ヒスタミンという神経伝達物質を生合成します。体内で合成されたヒスタミンは神経伝達や成長促進に関与したり、ヘモグロビン・赤血球の構成要素として重要な役割を果たしています。
- ヒスタミンの合成
- 神経伝達物質
- 赤血球の形成
- 成長促進作用
- 脂肪燃焼作用
- インスリン分泌亢進
- 抗酸化作用
また、ストレス緩和や脳組織の死滅が抑制される効果なども報告されています。ヒスチジンは、神経伝達物質として中枢の視床下部乳頭体でヒスタミンニューロンという脳を構成する神経細胞を構成しています。
キャットフードに必要なヒスチジンの量・基準
ペットフード公正取引協議会が採用するAAFCOのガイドラインによると、ドライタイプのキャットフードのヒスチジンの最低基準は、幼猫用最低基準が0.33%、成猫用最低基準が0.31%と定められています。
発育や成長に必要不可欠な成分ということで、幼猫・成長期の猫のキャットフードの最低基準はやや高めの設定になっています。最大値(上限値)の設定はありません。
ヒスチジンの欠乏症
欠乏症
- 発育不良
- 体重減少
- 拒食
- 負の窒素出納(タンパク質不足)
- 白内障
ヒスチジンは成長や発育に必要な栄養素なので、不足するとタンパク質不足、発育不足や体重減少、拒食などを引き起こします。猫の場合は長期的な不足によって白内障のリスクが高まります。
ヒスチジンから合成される「ヒスタミン」は中毒やアレルギー症状を起こす
画像引用元:ヒスタミン(概要)|食品安全委員会 内閣府
ヒスチジンについては、過剰摂取による健康被害はありませんが、ヒスチジンから合成される「ヒスタミン」は食中毒やアレルギー症状を引き起こします。
赤身魚・青魚に多く含まれるヒスチジンは漁獲されてしばらく経つと、鮮度が落ちて魚肉に含まれる酵素や細菌によってヒスタミンを合成します。体内では酵素によってヒスタミンが合成されるため、体に必要な分を調節して変化させますが、細菌によってヒスタミンが増えすぎると毒性を持ちます。
多量のヒスタミンを含んだ魚を食べた猫はヒスタミン中毒によって激しい炎症や消化器症状を引き起こします。ヒスタミンは一度生成されると加熱しても壊れないので、キャットフードにしても、手作りごはんにしても、魚に含まれるヒスチジンがヒスタミンへ変化する前の新鮮な状態で調理することが大切です。