2021年8月イギリスで猫330匹以上が死亡。リコールキャットフードで猫汎血球減少症を発症?

イギリス リコール キャットフード

2021年8月 イギリスでネコ汎血球減少症で330匹以上の猫が死亡

2021年8月、ロンドンの王立獣医大学(RVC:Royal Veterinary College)は、イギリスで少なくとも330匹以上の猫が、最近リコールされたキャットフードの毒素に関連している可能性のあるネコ汎血球減少症(feline pancytopenia)によって死亡したことを報告しました。

300匹 猫  キャットフード 画像引用元:abc NEWS|Over 300 cats die in the UK from illness that could be linked to toxic pet food

ネコ汎血球減少症は、血液中の赤血球、白血球、血小板の数が急速に減少し、深刻な病気を引き起こす血液の病気で、発症した猫の6割が死亡しています(死亡率63.5%)。RVCによると、8月2日の時点で528例の猫の汎血球減少症が報告されていますが、実際の症例数は報告よりもはるかに多い可能性があります。

緊急リコールされたキャットフードが発生原因?

原因は、RVCと食品基準庁(FSA)が調査中で、正式には特定されていませんが、FSAはネコ汎血球減少症の発生はリコールされた猫製品に関連している可能性があると述べています。

今回のネコ汎血球減少症による猫の死亡原因の可能性と考えられているのが、6月にリコールされたSainsburyの低アレルギー性キャットフード、Pets at Home社の ApplawsAVAなどで、他いくつかのキャットフードブランドが調査対象となっています。

これらの製品は、イギリスのボストンにあるFold Hill Foods社の同工場(Fold Hill Foods Ltd:Old Leake, Lade Bank, Boston, PE22 9RJ. Site code GB218E5009.)で製造された製品ということで、Fold Hill Foodsの自社製品も一部自主回収を行っています。

リコール キャットフード イギリス画像引用元:Fold Hill Foods Ltdからのリコール声明(Recall Statement from Fold Hill Foods Ltd.:現在削除済み)

AVA(Pets at Home社)

  • Kitten Chicken 300g/ Kitten Chicken 2kg Adult Chicken 300g/ Adult Chicken 2kg/ Adult Chicken 4kg
  • Adult Fish 2kg
  • Mature Chicken 7+ 2kg- / Mature Chicken 7+ 4kg
  • Senior Chicken 12+ 2kg
  • Sensitive Skin & Stomach 1.5kg
  • Weight Management 1.5kg
  • Hairball 1.5kg
  • Oral Care 1.5kg
  • British Shorthair 1.5kg
  • Persian 1.5kg
  • Maine Coon 1.5kg

Applaws

  • Chicken 400g, 2kg and 7.5kg
  • Chicken & Salmon 400g, 2kg and 7.5kg
  • Kitten Chicken 400g, 2kg and 7.5kg
  • Chicken & Lamb 400g, 2kg and 7.5kg
  • Chicken & Duck 400g, 2kg and 7.5kg
  • Ocean Fish 350g, 1.8kg and 6kg
  • Senior Chicken 400g, 2kg and 7.5kg

Sainsbury’sの低アレルギーレシピ

by Sainsbury’s Hypoallergenic Recipe

  • Hypoallergenic Recipe complete dry cat food with salmon 1+years 800g
  • Hypoallergenic Recipe complete dry cat food with chicken 1+years 800g

一部リコール製品から検出されたカビ毒「マイコトキシン(mycotoxin)」

2021年7月16日、FSAはリコールされたキャットフードのサンプルの一部から有害物質のマイコトキシンが検出されたことを報告しています。

マイコトキシンとは、カビの二次代謝産物として参照される毒の総称です。カビ毒で有名なアフラトキシンB1も代表的なマイコトキシンの一つですが、今回リコール製品から検出されたマイコトキシンがどの種類のカビ毒なのかは分かっていません。

ただ、マイコトキシンが猫の汎血球減少症の原因かどうかは調査中で未だ不明のため、FSAやRVCによる新たな調査結果が更新されたら随時更新していきたいと思います。

まとめ

  • イギリスで300匹以上の猫が死亡
  • 血液の病気「ネコ汎血球減少症」を発症
  • AVA、Applaws、Sainsbury’s低アレルギーレシピが緊急リコール
  • リコール商品のサンプルから検出されたマイコトキシンを調査中
キャットフード リコール

【2022年】リコールされたキャットフード製品とメーカー。緊急リコールと自主回収との違い

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一般社団法人ペットフード協会ペットフード販売士、キャットフード勉強会ディレクターとして、キャットフードに関する情報を提供しています。また、日本化粧品検定協会のコスメコンシェルジュ資格を有し、ペットフードだけでなく化粧品にも精通しています。販売時に必要な知識となる薬機法などについてもご紹介ができます。日本化粧品検定協会会員。