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猫にとって特に必要とされる動物性タンパク質は肉だけでなく魚介類からも摂取できます。また栄養素の中にはオメガ3脂肪酸など、魚介類に多く含まれる必須栄養素もあるので、アレルギーがなければぜひ食べてもらいたい食材のひとつです。
ここではキャットフードに使われる魚介類の栄養素の特徴を詳しくご紹介します。
キャットフードの原材料:魚介類
キャットフードの原材料として、魚は世界的にはそれ程人気があるわけではなく、海のない国や地域もあるため、安定供給を考えても陸地で育てられる肉原料の方が原材料として一般的です。
ですが日本では魚のキャットフードは人気が高く、猫=魚好きという印象も強いのではないでしょうか。魚には肉には含まれない健康維持に欠かせない栄養素が豊富に含まれているので、猫もそれを分かって好んで食べるのかもしれません。
魚介類に豊富な栄養素
動物性タンパク質・オメガ3脂肪酸
魚介類には、動物性タンパク質やオメガ3(EPAやDHA)という必須脂肪酸が豊富に含まれています。
動物性タンパク質は猫のエネルギー源であり、しなやかな体や艶やかな被毛をつくり、体の機能を正常に保つために必要な栄養素です。
また、脂質に含まれるオメガ3脂肪酸という必須脂肪酸も、猫の必須栄養素のひとつで、肉に多いオメガ6脂肪酸とバランス良く摂取することで皮膚や被毛の健康を維持します。オメガ6の不足は稀ですが、オメガ3は意識的に摂取しないと不足しやすいので、魚はオメガ3の良い供給源となります。
【一覧表】キャットフードの魚介類と豊富な栄養
魚の種類 | 豊富な栄養 | タンパク質(g)/100g | 脂質(g)/100g | カロリー(kcal)/100g | 分類 |
---|---|---|---|---|---|
サーモン | ・タンパク質 ・オメガ3脂肪酸 ・アスタキサンチン ・ビタミンB群 ・ビタミンE | 22 | 4.1 | 132 | 白身魚 |
タラ(コッド) | ・タンパク質 ・ビタミンD ・ビタミンB12 ・ヨウ素 ・セレン ・リン | 15.27 | 0.41 | 69 | 白身魚 |
カレイ | ・タンパク質 ・ビタミンD ・ビタミンE ・ビタミンB群 ・リン ・セレン ・ヨウ素 | 19.6 | 1.3 | 95 | 白身魚 |
ヒラメ | ・タンパク質 ・ビタミンD ・ビタミンE ・ビタミンB群 ・リン ・セレン ・ヨウ素 | 21.2 | 3.7 | 124 | 白身魚 |
トビウオ(アゴ) | ・タンパク質 ・ビタミンD ・ビタミンE ・ビタミンB6 ・ビタミンB12 ・リン | 21 | 0.7 | 96 | 白身魚 |
マス | ・タンパク質 ・ビタミンD ・ビタミンB群 ・リン ・カリウム | 20.8 | 14.7 | 226 | 白身魚 |
サワラ | ・タンパク質 ・オメガ3脂肪酸 ・ビタミンD ・ビタミンB群 ・リン ・亜鉛 ・カリウム | 20 | 10 | 177 | 白身魚 |
鯛 | ・タンパク質 ・オメガ3脂肪酸 ・ビタミンD ・ビタミンE ・ビタミンB群 ・リン ・セレン ・マグネシウム ・カリウム | 21.7 | 10.8 | 194 | 白身魚 |
サバ(マッカレル) | ・タンパク質 ・脂質 ・オメガ3脂肪酸 ・ビタミンD ・ビタミンB群 ・リン ・セレン | 20.7 | 12.1 | 202 | 赤身魚 |
ニシン(ヘリング) | ・タンパク質 ・オメガ3脂肪酸 ・ビタミンD ・ビタミンE ・ビタミンB群 ・リン | 17.4 | 15.1 | 216 | 赤身魚 |
マグロ(ツナ) | ・タンパク質 ・ビタミンD ・ビタミンB群 ・カリウム ・リン ・セレン | 26.4 | 1.4 | 125 | 赤身魚 |
カツオ | ・タンパク質 ・オメガ3脂肪酸 ・ビタミンd ・ビタミンB群 ・セレン ・リン | 15 | 3.72 | 99 | 赤身魚 |
イワシ(サーディン) | ・タンパク質 ・オメガ3脂肪酸 ・ビタミンD ・ビタミンB群 ・リン ・セレン | 19.8 | 13.9 | 217 | 赤身魚 |
フィッシュミール | ※配合される魚による | - | - | - | 混合 |
白身魚ミール | ※配合される魚による | - | - | - | 混合 |
オキアミ(クリル) | ・タンパク質 ・オメガ3脂肪酸 | 15 | 3.2 | 93 | 甲殻類 |
緑イ貝 | ・タンパク質 ・タウリン ・グルコサミン ・コンドロイチン | 10.3 | 1.6 | 70 | 貝類 |
しらす | ・タンパク質 ・ビタミンD ・セレン ・EPA ・DHA | 15.0 | 67 | ||
スズキ | ・タンパク質 ・ビタミンA ・ビタミンD ・ビタミンB群 ・リン ・マグネシウム | - | - | - | その他 |
アンコウ | ・タンパク質 ・ビタミンB12 | - | - | - | 白身魚 |
キス(シロギス/アオギス) | ・タンパク質 ・ビタミンD ・ビタミンB群 ・リン | - | - | - | 白身魚 |
ギンヒラス(シルバー) | ・タンパク質 ・オメガ3脂肪酸 ・ビタミンD ・ビタミンE ・ビタミンB群 ・カリウム ・リン | - | - | - | 白身魚 |
メルルーサ(ヘイク) | ・タンパク質 ・ビタミンB12 | - | - | - | 白身魚 |
アジ | ・タンパク質 ・ビタミンD ・ビタミンB群 ・ナイアシン ・セレン | 19.7 | 4.5 | 112 | 赤身魚 |
サーモン
キャットフードで最も人気な魚原材料がサーモン(鮭)です。サーモンは「アスタキサンチン」という赤い色素によって身が赤くなっていますが、白身魚に分類されます。ただサーモンは脂質も多いためオメガ3脂肪酸も豊富に含まれています。
サーモンそのものが使用されることも多いですが、サーモンオイルのように魚油として用いられることも多いです。
タラ
タラは白身魚の代表格で、淡泊であっさりしたキャットフードによく使用されます。タラは脂質や炭水化物が非常に少ないので、ヘルシーなキャットフードを作るのにも便利な魚です。
また白身魚ミールの大部分はタラであるとも言われています。タラはヨウ素とセレンが豊富な変わった魚です。
カレイ・ヒラメ
カレイやヒラメも白身魚の代表格です。種類として仲間になるので、カレイとヒラメの栄養素も高タンパクで低脂質という点が似ていますが、脂質はヒラメの方が高めです。
白身魚や白身魚ミールに含まれていることもあり、クセのない淡泊な味が特徴です。
トビウオ
トビウオは青っぽい姿から青魚と言われることもありますが、栄養や身の状態などから白身魚に分類されます。キャットフードでは味付けや香りつけの意味合いで使われることが多いです。
高タンパクでありながら、脂質量は白身魚の中でも非常に低いです。ビュンビュン飛ぶあの運動量が関係しているのかもしれません。ビタミンも豊富ですが、リンの含有量が他の魚よりも高い点は気になるところです。
マス
マスはサケ科の魚で、サーモンや鮭に該当しない魚がまとめてマスと呼ばれています。そのためマスはサーモンと栄養なども似ており、脂質も多い傾向にあります。そのため栄養素なども似ており、サケとマスをまとめて「トラウト」という名前で表記されていることもあります。
またマスの種類は幅広いため、栄養素やサイズもとれる地域などによって様々です。豊富なビタミンが特徴ですが、ミネラルはやや偏っているので他原材料と併用されることが多い魚です。
サワラ
サワラは見た目や味は白身魚、成分は赤身魚というおもしろい魚です。部位や魚によって赤身が強い魚もいれば白身が強いこともあります。栄養面でみれば、白身魚にしては脂質が多く脂肪酸も多く含まれていて、ビタミンも豊富です。
サワラはキャットフードのメインの原材料として使用されることは少ないですが、フィッシュミールや複数の魚と一緒に利用されることが多いです。
タイ
タイは外見は赤く鮮やかな赤身のイメージが強いですが、身は白いため白身魚に分類されます。キャットフードでは国産のおやつやウェットフードでよくみかける印象です。
タイは白身魚ですが脂質が多く脂肪酸も豊富に含んでいます。ミネラルでは特にセレンの含有量が多いですが、リンやマグネシウムの含有量も多いので、その点はフードで使用する際の懸念点かもしれません。
サバ
高タンパク質ですが、脂身が多くて高脂質な魚です。特にサバの脂質にはDHA・EPAが豊富に含まれています。DHAやEPAは皮膚や被毛の健康維持、血管系の病気や疾患の予防効果、脳の活性化など様々な効果も期待できます。
ただし脂質の過剰摂取による肥満や脂質が酸化することによって起こる「黄色脂肪症(イエローファット)」のリスクもあるため、高脂質なサバが豊富なキャットフードではビタミンEや抗酸化物質が配合されているかが重要です。
ニシン
ニシン(ヘリング)は海外のキャットフードでは割とメジャーな魚原料です。ノルウェーのような大西洋で多く獲れる魚なので、特にヨーロッパ産のキャットフードでは見られることが多いかもしれません。
非常にエネルギッシュな魚でタンパク質やアミノ酸もバランス良く含まれていますよね。ニシンはサバ以上に脂質の多い魚なので、黄色脂肪症の心配はありますが、ニシンのオイルに非常に多くのオメガ3脂肪酸が含まれているので、EPAやDHAの摂取を目的にもよく利用されます。
ニシンはキャットフードを製造する際はサーモンより高値が付く魚なので、プレミアムキャットフードなどに使われることが多いです。
マグロ
お寿司の定番ネタといえばマグロ。キャットフードではツナ(Tuna)と表記されることが多いですが、ドライフードのメインとしてはあまり使用されず、猫缶やレトルトなどウェットフードや一般食で利用されている印象です。
マグロは部位によって脂質量が大きく違いますが、赤身部分は高タンパクでありながら非常に低脂質で、ビタミンDやビタミンB群を多く含んでいます。
常に泳いだ状態の回遊魚のマグロは筋肉が多いため、タンパク質が特に豊富で、アミノ酸もバランス良く含まれています。
カツオ
日本では鰹節やダシなど和食でおなじみのカツオ。日本人に馴染み深いこともあり、食いつきや嗜好性を重視した国産ウェットフードで使用されることも多い印象です。
ただ海外ではカツオが使用されているキャットフードはあまり見られません。日本でもカツオというより鰹節が使われているものも多いため、トビウオ(アゴ)と同様、風味付けの意味合いが強いのではないかと思います。
栄養面ではタンパク質が多く脂質もほどほどという感じです。
オキアミ
オキアミはスーパーフードとして注目されている食材で、タンパク質やDHA・EPAを補う食材として重宝されています。
オキアミはサクラエビと非常に見た目がよく似ていますが、生き物としての種類は異なります。
緑イ貝
緑イ貝はタウリンやグルコサミン、コンドロイチンが豊富に含まれています。
タウリンは猫にとって必要不可欠な栄養素であり食事から摂取しなければならないので、緑イ貝は有効な食材です。
またグルコサミンやコンドロイチンは関節の軟骨を構成する成分としてサプリメントなどにも配合される成分ですが、関節に良いという根拠や実証はないとのことです。
フィッシュミール・白身魚ミール
様々な魚を混ぜて作られたフィッシュミールや白身魚ミールを使うメーカーも多いです。ミールは、上記で紹介した魚をはじめ様々な魚がまぜこぜに配合された魚の粉末です。
魚が配合されていることに間違いはありませんが、その品質や魚の特定ができないため、フィッシュミールを避けて、魚の種類が特定できるキャットフードを選ぶ方も多いです。
フィッシュミールは青魚、赤身魚、白身魚すべてが対象になりますが、白身魚ミールは上記で紹介したような原材料が使用されます。
白身魚は赤身魚や青魚に比べてアレルゲンのリスクが低いので、青魚にアレルギーの出ている猫にも与えることができます。
赤身・白身・貝類/甲殻類別でみる栄養傾向
赤身魚
青魚・赤身に分類される魚には、タンパク質だけでなく脂質も多く含まれる傾向があります。
青魚の脂質には、食事から摂取する必要がある必須脂肪酸で、抗炎症作用をもつEPAやDHAなどのオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。
白身魚
白身魚は、タンパク質が豊富ですが低脂質な身が特徴です。
さっぱりとしていて、青魚や赤身魚に比べるとタンパク質量も脂質量も控えめですが、ヘルシーなキャットフードに仕上げるには良い食材で、またアレルギー対応食に
ただすべての白身魚が低脂質というわけではなく、サーモンやタイなど脂質が多い白身魚もいるので、魚それぞれで判断しましょう。
貝類・甲殻類
貝類には、猫の必須栄養素として有名な「タウリン」が豊富に含まれています。またビタミンB12やレチノールなど、動物性原料からしか摂取できない栄養も豊富に含まれています。
甲殻類の例としては、オキアミ(エビの仲間)やエビ、カニなどが挙げられます。動物性タンパク質、オメガ3脂肪酸のEPA・DHA、エビやカニにはアスタキサンチンという抗酸化物質も含まれています。
おすすめ魚系キャットフードも紹介
魚系キャットフードを探すなら
魚系キャットフードは、オメガ3脂肪酸やミネラルが多くなりやすく、肉原料メインのキャットフードよりも、栄養バランスを適正にもっていくのが難しいと言われています。一部の栄養成分が飛び抜けて高くなってしまったり、バランスや比率が適正な範囲ではないものも調べているとあります。
このため魚系のキャットフードはやみくもに探すのではな、きちんと成分バランスや比率をチェックしましょう。当サイトでもおすすめの商品を紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。
キャットフードの魚介類まとめ
以上今回はキャットフードの魚介類についてお話してきました。簡単に復習しましょう。
- 魚介類には動物性タンパク質や必須脂肪酸が豊富
- 赤身魚か白身魚かによって豊富な栄養が異なる
- 魚系キャットフードは栄養のバランスを摂りにくいので成分を見ながら選ぶ